六弦的同一受
2004年05月15日 壮大なミスディレクションが!
 

PRS SANTANA2


「ギターケースめがけて・・・うあああ〜〜〜!!!」

「PRS SANTANA2」シリーズ最終回となる六弦ネタだ!前回までのネタをまだお読みで無い方々は、まず1回目のネタから先に読んでいただきたい!そして2回目のネタも読んでいただきたい!さらに3回目のネタもじっくり読んでいただきたい。そうしないと今回の話が笑えないのだ!

ではこのシリーズ4回目を始める!
それでは「PRS SANTANA2」引き取りの状況を御報告しよう!果たして受け取りは上手くのだろうか?

5月15日土曜日。出品者は新幹線で広島からやってきた。6時半の朝早い出発である。待ち合わせは「渋谷駅 モアイ像前」11時30分が出品者の指定であった。だが・・・出品者の指定には一つ過ちがあった。渋谷駅前に存在しているのは「モアイ像」ではない。「モヤイ像」なのだ。ではモヤイとは何か?気になるよなあ!調べてみた。


モヤイ像

モヤイ像は昭和55年に、新島の東京都移管100年を記念して新島から渋谷区へ贈られた。イースター島のモアイ像をヒントにしているのはもちろんだが、モヤイとは新島の地元の言葉で共同作業をするという意味がある。このモヤイ像は新島特産の坑火石でつくられている。

この説明によると、なんとか語呂合わせで意味付けをした苦労が忍ばれるなあ。

私がモヤイ像前で出品者を発見するのは簡単だ。PRSのハードケースをぶら下げた人物を目標にすれば良いだけだ。何十人も同じものを持って集合していればパニックに陥るが、持って来るのは高級レザーハードケースのはず。めったに道ばたで目にすることは無いブツなのだ。ターゲットにしやすい。かくして、運命の5月15日朝がやって来た。

前夜01時に寝たはずなのに、04時過ぎには目がもう覚めてしまった。これを「遠足の日のガキと同じじゃねえか!」と思われるだろうが決してそうではない!娘が04時過ぎに、突然ドタバタと廊下を駆け回っていたのだ!ドドドドと地響きを立てトイレに駆け込み、再びバタバタと玄関に向かう向かう音が響き渡って来た!こんな明け方にいったい何が起こっているのだ?かなり慌てている様子だったが・・・。

起き上がって、玄関を見ると車のキーがない。誰かに呼び出されたか?いったい誰だ〜?ううむ・・・。すっかり目が覚めてしまったので、テレビを観たりWEBを観たりしているうちにふと気付いた。おいおい!娘が車に乗っていってそのまんま夜まで帰ってこなかったら、私は「PRS SANTANA2」を引き取りに駅まで行けねえぞ〜!その時点で05時30分だった。

慌てて娘の携帯宛に「いつ帰ってくるんだ?」とメールを送った。すぐに「いま家に向かっている〜」と返信があった。ほほう!わずか1時間半で一体何をやっていたのだ?朝っぱらから・・・。その後娘に聞いたところ、昨夜仲間と飲んでいたのだが、娘はあまり酒が飲めないので先に帰ったようだ。だが、残ったヤツラの一人が飲み過ぎで動けなくなり「助けてくれ!」と娘が「アッシー君」として呼び出されたようだ。おいおい!立場が逆じゃねえのか〜?

私はあまりに朝早く起されてしまったので、腹が減りまくり。ガツガツとたっぷりの朝飯を食った。バースデーケーキの残りまで朝っぱらから食っちまった!久しぶりの朝飯の量 である!ゲフッ・・・!やがて朝風呂を浴び、待ち合わせの渋谷駅に向かった。爽やかな風と鋭い陽射しが気持ちよい!11時には「モヤイ像」前に到着。まだ30分ある。読みかけのミステリー本「そして二人だけになった」を持っていたので、日陰で立ち読みしながら時間を潰していた・・・。

やがて最終ページを読み終えたとき、11時25分になっていた。ふと顔をあげると、私の目の前を「高級レザーハードケース」を持って歩く青いシャツの青年が横切った。おっとっとっと!すぐに後を追う。こちらから声を掛けた。メールで意志は通 じているのだから、挨拶はすぐに済んだ。

人懐っこい笑顔の出品者はいきなり「ここで中身を確認しますか?」と言う。ちょっと待て!ここは往来である!現金引き渡しもあるし、金額確認でかなりの万札を数えなくてはならないだろう?道ばたで現金勘定なんぞ、誰に見られてしまうか分かったもんじゃない!すぐ隣の喫茶店へ同行をお願いした。

ガラス張りの喫茶店に入り、まずハードケースを開けた。おおお〜〜〜!まさにあのWEBで観た「SANTANA2」の美しい木目である!眺める方向を動かすと、メラメラと木目が立体的に動く!みごとだ!実に見事な木目だ〜〜〜!!!裏も観たが、キズは見つからなかった。ほぼ新品状態である!ハードケースもレザー張りでしっとりとした外観だ。高級感がたっぷり。内張りも高級感にあふれている。大満足だ〜〜〜!!!


これが入手したての PRS SANTANA2


この画像は、ほぼ原寸だ!

ところで、こんなオイシイ逸品をなぜ手放すのだろうか?本人に聞いてみた。

「メインで使っているもう1本のホローのPRSしか弾かないんですよ。
 このSANTANA2は全く弾かないし、これから先ももう弾くことは無いと思うので・・・。
 もったいないんで出しました! 」

オークションに登場する高級ギターは概ね、そのような「弾かれない運命」をたどり譲渡されていくケースが多い。弾くことで愛器を傷つけたくないと考えるのは誰しも同じことだ。てなことで「あんまり弾かないけれど取りあえず欲しい!」と思いつめ高級品の新品に手を出すといずれ、私のような「大物釣り」を物色しているヤツラのターゲットになるだけなのだ!(ターゲットかよ!)

そうだ!出品者に重要な話を聞くのを忘れていたぞ。「詐欺」疑惑について感想を聞いた。出品者は、前回までのこのギターに関する独断倉庫3回分を読まれたようだが「まさか・・・自分が詐欺と思われていたとは・・・」とショックのようす。ここで私は、高級ギターをオークションに出される際には「こう記述するべきだ!」と出品のコツを御指導しておいた。次回の御成功を祈る!

そして、今回の「詐欺疑惑」が引き起こされたもう一つの原因が本人の動きの中にあった事が判明した!この出品者は今までに70回程オークションを利用していたベテランなのだが、ふとIDを変えたくなったので、新しくIDを取り直したばかりだったのだ。それで評価が再スタートとなり、非常に少ない評価の段階で高級ギターを出品せざるを得ない事態になったのだ! だが、私にとってはこれが幸いしゲットできたのだがね!

この「PRS SANTANA2」は、添付書類によると2002年2月7日生産と記述してある。購入店の保証書によると2年前の2002年4月6日に販売されたモノのだ。まだまだ新しいブツだなあ〜〜〜!!!こうして和やかなムードの中、無事に取り引きは終了し、二人はそれぞれ渋谷の雑踏に消えて行ったのであった。

で・・・それだけかよ〜〜〜!!!もう一波瀾なかったのかよ〜〜〜!!!ふっふっふ・・・実は・・・。

帰りも妻が駅まで迎えに来てくれた。車にギターケースを積み込み出発。何ごとも起こらずスムーズに自宅マンション前までたどり着いた時だった。私は駐車場まで行かずにマンション入り口の歩道で降りた。ギターケースを右手にぶら下げていた。私が車の陰から出た途端、右前方からマウンテン・パイクがとんでもないスピードで突っ込ん来るのが見えた!小学3年生くらいの男の子だ!少年も私に気付き驚愕の表情だ!

当マンションの入り口前はかなり急な坂道である! 私がいるのは、当然のことだが坂の下側である。上から自転車が私めがけて突っ込んで来たのだ!男の子は急ブレーキを掛けた!だが、長い坂でついた勢いに勝てるわけが無い。私の体をかわす為、少しハンドルを右に切ったようだ。思いっきりギターケースめがけて・・・うあああ〜〜〜!!!うおおお〜〜〜!!!・・・ぶつかるかと思ったその時、私は右手首をひねりギターケースを自転車に対し平行にしたのだ!

次の瞬間、少年の自転車はギターケースの横スレスレを、不安定な状態で坂の下へ向かってブレーキ音を響かせながらすっ飛んで行った!ふう〜〜〜!!!助かった〜〜〜!!!って、少年のその後がどうなったかまでは私の知ったことでは無いが、ガシャンとかグシャッとか事故っぽい音がその後聞こえてこなかったので無事に帰宅したことだろうな。

てなことで、自宅までたどり着いたのに思わぬところで悲劇が生まれる寸前まで行ったのだ!フ〜ッ・・・。



ところで、前回の「本日の結論」に、クイズを残しておいたのを御記憶だろうか?
『 さて・・・上に書いた文章の中に、出品者の名(姓じゃない)が入っているのに気付いた方はいる?』
  (本人しかわかんね〜よ!)


このようなクイズを出しておいた。もうお気付きだろうが、私は出品者の名前をストーリーに自然に埋め込むためだけに、前回のネタを書いたのだ!自然な流れの中で埋め込むのはテクニックを要する。その名前を見つけた方々は、この名前埋め込み話が実は第1回目から壮大な計画の元、組み立てられていたことに気付くはずである!おおお〜〜〜!!!なんという綿密なミスディレクションの構成能力だろうか!さすがに、日頃からミステリーを読み続けているだけの事はあるなあ!(ほんとかよ〜?)

少し前に読んだミステリー「葉桜の季節に、君を思うこと」のラストのどんでん返しにも近い技である!(なんだよそれ?)でも、その名前はあえて秘密にしておこう!出品者本人だけが気付いてくれればそれでよいのだ!わはっはは〜!それでは、このシリーズ4回分の題名を並べてみよう。

1回目 「六弦的同一性」

2回目 「六弦的同一確」

3回目 「六弦的同一興」

4回目 「六弦的同一受」

ふっふっふ・・・名前が分かった方には、矛盾のない自然さをもって1回目からのタイトルをつくり出さなければならなかった事がお分かりだろう?そして、さらに文章そのものにも名前を無理なく登場させる流れにしなければならなかったとお気付きだろう!私はこの数日間、なんと無駄 で自己満足的な努力を裏で行っていたのだろうか! フッ・・・。


本日の結論
出品者だけが分かる仕掛けを造って、なに喜んでんだよ!これもまた一興か?

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