風吹的文学賞

2016年10月14日 ノーベル文学賞について!


ボブ・ディラン



「ミュージシャンというジャンルの端の端で」

昨夜、ボンヤリとテレビの画面を眺めていたら、ニュース速報の文字が現れました。何があったんだ?と注視したところ「ノーベル文学賞はボブ・ディラン氏」の文字が・・・。なんだこれは?おおお!!!そうかそうか!ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞した!!!ということだったんだね。

この直後、妙に嬉しい気持ちがこみ上げてきた私でした。その根源はなんだったんだろうね?と一晩考えていました。彼のノーベ賞受賞は私にとって何も関わりないことなのですが、このフワリとした気分の源はどこにあるのだろう?とこれまたぼんやり考えていました。

ボブ・ディランの音楽を初めて聞いたのはいつごろだったでしょうね。私の記憶では中学生の頃。そして高校時代は私自身もバイトで買ったフォークギターでフォークソングを楽しんでいました。ベトナム戦争、反戦集会、学生運動と、60年台の終わりから70年台頭まで反戦歌が流行っていました。そんな中で、意識しなくても必ず耳にしていたのが、ボブ・ディランの歌でした。幾つかの日本の歌の歌詞にも彼の名前が出てきますね。昨夜から私の頭の中をリフレインしているのが、ガロ『学生街の喫茶店」。〜〜〜片隅で聴いていたボブ・ディラン〜〜〜 の部分が妙に頭から離れません。

ボブ・ディランについて、多くの方が昨夜から語り始めていますので、私の拙い知識であれこれ申し上げても意味はなく、ただ自分の心の持ちようがどこにあるのかを確認したくて書き始めただけですから。ノーベル賞においてミュージシャンが受賞したのは初めてですね。そしてそれが文学賞であること。「平和賞」ではない点がとても気に入りました。

オバマ大統領が「ノーベル平和賞」を受賞したからと言って世界は「平和」になったのでしょうか?核廃絶の演説を行ったに過ぎなく「平和賞」は「平和っぽく演じた賞」に思えてなりません。ノーベル賞は世界の人類にとって貢献した人物に与えられるもの。「平和」に貢献するってことは平和になったという実績があってのものだと思うのですがね。どうなんでしょ?

その点で言えば「文学賞」は具体的に「文学としても文章を記述した実績」に対して送られるもの。では文学とは何か?調べてみたところ、このような記述が。

「思想や感情を、言語で表現した芸術作品。詩歌・小説・戯曲・随筆・評論など」

なるほど。「詩歌」という表記がなされていますね。ボブ・ディランの歌詞に「思想や感情」が表現されているので「文学」であると。次に気になるのが「文学」と定義される文字の物理的量は?ということ。歌詞は短いですよね文学としては。極端に言えば「思想や感情」が表されていれば、1文字でもよいのか?ということなのですが・・・。流石に1文字では「思想や感情」は出てこないですよね。俳句程度の長さがないと「思想や感情」は出てこないですが・・・。しかし、俳句で「感情」は理解できますが「思想」まで踏み込めるかというとどうも違う気がしますね。

「歌詞」はそれだけで考えてよいのか?という疑問も出てきます。メロディーと一体となって感情に訴える部分も大きい。文学はメロディーは評価していないの?との疑問もわきます。まあ評価対象外なのでしょうが、そこには「長年の実績」というものが評価されるので、あのメロディーが全く存在しなかったら、ボブ・ディラン はノーベル文学賞を受賞できたのか?と考えれば一概にメロディーが全く無視されているとは言い切れないと思いますがね。

と、ここまで書いてきて、ようやく自分の中に湧き上がった妙な感動が少しつかめ始めました。ようするに、ノーベル賞が始まって初のミュージシャン受賞という部分が私に引っかかったんですね。今までのノーベル賞は「自分とは全くかかわらない世界の出来事」のような気がしていました。もちろん受賞者達が発明した多くのものや技術の恩恵は受けていますが、受賞者との接点はまったくなかったと。しかし、今回はミュージシャンです。

今、私がしている仕事は「ミュージシャンに私の作ったブツで表現してもらうこと」です。ミュージシャンというジャンルの端の端で少しだけお手伝いしている感じがしています。つまり、音楽に関わる仕事をしている私の先につながっている多くの人物たちの中からノーベル文学賞受賞者が出たという感覚があるんでしょうね。今日の私には。

ノーベル文学賞はいままで、日本人の川端康成が受賞しても「他人事」でしたが、今回はもっと近いところにある気がします。それはたぶん ボブ・ディラン本人 ではなく「かつて自分が歌ったあの歌が受賞した!」との感が何処かにボンヤリとあるからでしょうかね?


本日の結論
昨夜の Facebook は ボブ・ディラン で溢れかえっていました!

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