記憶的戦闘隊


2014年11月02日 遠い記憶が蘇る!

今、COMBAT DVD のテレビコマーシャルが流れている!


「密かに持ち続けているエピソード」

この数日間「COMBAT DVD BOX」のテレビコマーシャルが盛んに流されている。「COMBAT」は私が中学生の頃に毎週観ていたテレビシリーズだ。大正製薬提供だったなあ。ヨーロッパ戦線のアメリカ軍戦闘部隊を丹念に描いたドラマだ。そうなると当然、毎回ドイツ軍との戦闘が出てくることになる。このドラマを見る限り、アメリカ軍目線で作られているのだから「アメリカの正義 VS ドイツ軍の悪」という構造が中学生の脳に刻みつけられた。


サンダース軍曹

このドラマの主人公はサンダース軍曹。ヴィック・モローが演じていた。当時彼が持つ「トンプソン・マシンガン」が憧れだったなあ。ヴィック・モローはその後、1982年に映画「トワイライト・ゾーン」でベトナム戦争のシーン撮影中に落下してきたヘリコプターのローターに巻き込まれて死亡した。そのシーンは映画「トワイライト・ゾーン」の中で見ることができる。

さて、このドラマ「COMBAT」に関する記憶の中で鮮烈なものが2つあるので書き留めて置こう。すでにかなり昔に書いた記憶があるので、ご存知の方もいらっしゃるだろうがね。

「COMBAT」その1
まず、セリフの件。今回のコマーシャルでも始まってすぐに「チェックメイト・キングツー、こちらホワイトロック!」とセリフが聞こえてくる。50年ほど前は、日本中の子供達が「チェックメイト・キングツー、こちらホワイトロック!」と叫びながら戦争ごっこをして遊んでいたのだ。当時は何も疑問を持っていなかったのだが・・・。そして私の知人は「株式会社ホワイトロック」というのを立ち上げた。電話に出る際「はい!こちらホワイトロック!」と言いたかったのだろう!それほど「チェックメイト・キングツー、こちらホワイトロック!」は当時の子供達に鮮烈に刻み込まれたセリフだったのだ。

だが、15年ほど前、このセリフに疑問を持った友人がいた。

「なぜ、チェックメイト・キングツーに対して、ホワイトロックなのだろう?チェックメイトと言えばチェス用語だ。ホワイトロックは 本当はホワイトルークではないのだろうか?それを聞いた途端、あっ!そうか!と私も気づいてしまったのだ!そして調査を開始した。その結果、テレビシリーズでは「ホワイトロック」とセリフで言っていたが、VHSで販売された「COMBAT」シリーズでは明らかに「ホワイトルーク」と発音している回があるという事実だった。

当初、日本語翻訳の際に翻訳者が原稿の「White rook」を「White rock」と見間違え、そのまま「ホワイトロック」としてしまったと推察される。翻訳者にも「rook」なる単語の知識がなく、このドラマの通信系はチェス用語で統一されているという発想がなかったのだろう。当時の日本人にも「rook」がお城の形をしたチェスの駒という知識はほとんどなかったのだろうね。

そんなわけで、今回のCMで流れているセリフも「ホワイトロック」のままである。60歳前後の男子にとっては懐かしいセリフだが、それは実は誤訳していたという悲しい結論なのだ。一旦染み付いたセリフはもう精神的に固定化しているので、いまさら「ホワイトルーク」と言われてもなあ・・・。なんだかピンとこないのだよ!

「COMBAT」その2

サンダース軍曹の上官であるヘンリー少尉は「リック・ジェイソン」が演じていた。端正な顔立ちの紳士である。1970年代に「リック・ジェイソン」はトヨタ セリカのテレビコマーシャルに出演していた経緯がある。



私は当時テレビコマーシャル制作会社に勤務していた。そんなある日のこと、まだ下っ端だったので電話番をしていた時の出来事だが・・・。1本の電話がかかってきた。私が受話器を取り上げると、そこから聞こえてきたのは英語だった。焦りつつ聞き耳を立てた。

「Hello! I'm Rick Jason!」いきなりそう聞こえてきたのだ。「えっ?リック・ジェイソン?ホント?えっえっえっ!!!」とドギマギする私だった。一体何が起こった?ワケがわからないままに耳をすますと、どうも、撮影のために来日したので、友人である当社の山里専務と会いたいと言っているようだった。しかし、その時専務は外出中だったので、私は知る限りの英単語を並べて「山里は出かけていて、数時間後に戻ってくる予定。Mr. Jason から電話があったことを伝えておく」と伝え、なんとか意思の疎通ができた。

数時間後、その電話の件を戻ってきた専務に伝えたところ、間違いなくあの「COMBAT」のリック・ジェイソンであると教えてくれた。やはり・・・。残念ながら後年になり、リック・ジェイソンは癌に侵され2000年10月16日に拳銃自殺した。これが私の中でずっと「俺はリック・ジェイソンと言葉を交わした!」と密かに持ち続けているエピソードなのだ。今流れているコマーシャルを見るたびに、あの日「COMBAT」のヘンリー少尉と言葉を交わしたんだなあと、懐かしい遠い日の思い出が蘇るんだよ!


本日の結論
遠い日の記憶は懐かしく甘くそして切ない!

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