青音的再会記

2012年07月28日 いよいよその日がやって来たのだ!


Blue Note Tokyo 20:00



「2012年7月28日セカンド 20時45分開演」

その情報は、今年の頭に突然飛び込んできた。
ノルウェイから届いたメールは「昨夜、Larry Carlton のライブに行った際に彼が禅駆動を使っているのをみた。Robbenも使っていると聞いた。私にも禅駆動を作ってもらいたい!」とのオーダーメールだった。その時点で Larry の使用は私も初耳だったのだ。しばし驚いた後に、事実関係を調べ始めた。そして画像を見つけた。確かにその画像の足下には私の作ったペダルらしきものが置いてある。


ノルウェイの画像

しかし、私は Larry の為にペダルを作った記憶が無かった。果たしてどこから手に入れたものなのか?その事実関係は、今年の2月29日に判明した。Robben Ford が来日してジャズライブを行ったが、その際に私は招待されて一緒に来日していたツアーマネージャーのRickとビルボード東京で話すことが出来た。Rick は Larry のツアーマネージャーでありゼネラルテックでもある。

Rick はこう説明してくれた。
「Larry が使っているのは弾駆動だよ。Larry が新しいオーバードライブを探していたんで、
 私が ebay で見つけて落札し Larry に試奏してもらったんだ。
 そうしたら気に入ってね!使うことにしたんだよ。
 でも、Larry には禅駆動の方が合うみたいだね。
 Larry の為にボリュームをAカーブに変更した禅駆動は作れるかい?」

その数日後、私はLarry用の禅駆動とRick用の弾駆動を製作し発送した。結果は上々である。Larry がかなり気に入って使っているとのメールがしばらくして Rick から届いた。

それから1か月過ぎたとき、私は Larry Carlton が今年も来日すると知った。Rickに問い合わせしてみると、確かに日本縦断ツアーが夏にあるという。そこで「私を招待してもらえませんか?」と頼んでみたところ、Rickは「喜んで!再会が嬉しいよ!」とのメールを返してくれた。ありがたいご配慮である。そこで調子に乗ってもうひとつリクエストをしてみた。いつも通訳として同行してもらっている橋本氏と、私の義理の息子である桑本氏も一緒に招待してもらいたいとね。これまた快諾だった!その招待日は「2012年7月28日セカンド 20時45分開演」だ。

その後はこの日が来るまで、 Robben のヨーロッパツアー同行中のRickと何度かメールのやり取り行いつつ、3人で楽しみに待っていたのである。7月21日の北海道ライブから日本ツアーをスタートした Larry だが、徐々に南下し暑さが再び戻ってきた東京方面へついに到達した。驚くべき事実は、7月20日に来日して即北海道へ移動し、翌日21日にはライブスタートなのだ。スケジュールに隙間無し・・・元気だねえ!

かくして、7月28日20時。ブルーノート東京入り口で橋本氏と待ち合わせ。私は桑本氏と向かった。実は今回もまたこの重要な場面で、自分のカメラを部屋に置き忘れて来たことに電車の中で気付いた。大失態だ!でも大丈夫!きっと橋本氏が最新のカメラを持ってくるはずなのだ!

20時ちょうどに会場へ入る。私がブルーノート東京へ入るのは2回目だ。ずいぶん昔に前の場所にあったころジャズライブで来たことがある。出演者が誰だったかはすっかり忘れてしまっているがね。ちなみに、橋本氏は私の音楽的専属通訳としてその能力を強化するため勉強し、最近になって英検1級に合格したという。あっぱれ!

そしてこれが今回の来日メンバーである。

Larry Carlton(g)
ラリー・カールトン(ギター)
Greg Mathieson(key)
グレッグ・マシソン(キーボード)
Abraham Laboriel(b)
エイブラハム・ラボリエル(ベース)
Keith Carlock(ds)
キース・カーロック(ドラムス)
Rick Wheeler
ツアーマネージャー(ゼネラルテック)

受付で「招待されているのですが・・・」と名前を伝えたところ「本日は、4名さまで承っております」 と担当者から返ってきた。なに?4名?「いやいや、3名ですよ!」と口走ってしまった私だった。よく考えれば、招待が4名になっているのであれば、開演までまだ45分あるのだから近所の知り合いに電話を掛けて呼び寄せることも可能だったのだが・・・。もったいないことをしたなあ。これが正直者の悲しさってやつだ。

担当者から招待者の入場は最後になると説明され、8時40分に案内すると言われた。待合室で時間はつぶせないので、一旦外へ出て、レストランで水分補給しながら待つことにした。やがて時間になり再度、Blue Note 東京へ入場。開演ギリギリに会場へ案内されたが、さらにそこから場内案内係がエスコートするまで待たなければならなかった。

で、入り口で待っているうちに演奏開始。イントロがあったあと、メンバーがステージに上がってすぐに「Room 335」のイントロが流れ始めた!おおお!この分かりやすい展開に会場はすぐに盛り上がりを見せたのであった。

で、5分ほどして我々が案内されたのは2階席。舞台に向かって左側の2階だった。ほぼ屋根裏部屋的位置である。野球やサッカーで言えば、放送席的な位置だと思っていただきたい。おかげで、Larry の動きは丸見え。足の動きもとても明確に観察出来た。Larry がフットスイッチを踏んだ際に、明らかに禅駆動のサウンドが聞こえてきた。なるほど・・・と思っていたのだが、あとになってこれが実は違っていることが判明する。

演奏の内容については、今更言うことは無い。素晴らしいトーンで名曲を次々に披露してくれた。これ以上何を書けば良いのだろうかね?Larry はちょっとした客イジリもやり、けっこうウケていたなあ。ステージの上手に座っているRickの姿が見えたが、それも半分ほど終わった時点でその位置から移動してしまい見えなくなった。

アンコールが終わり、穏やかで鮮やかなギタートーンに満ち足りた我々は、バックステージに向かうべく行動を開始した。楽屋方面の入り口らしき位置に立っていた係員に声をかけた。状況を説明して、まず Rick を呼び出してもらうことにした。係員は一旦楽屋へ入り戻ってきたが、Rick が不在なのでしばらく待っていてほしいと伝えてきた。ライブ直後なので、Rick はセットの片付けをしているのだろう。

5分ほど待ったとき、突然 Rick が目の前を横切った。おおお!!!「ハイ!Rick!」とあわてて声をかけ呼び止める私だった。Rick はその声にすぐ振り向いて・・・「ハイ!タナベさん!元気?」と返してくれた。こうなればしめたものである。Rick はまだステージの片付けがあるので「先に楽屋へ入って待っててね」と告げてステージ方面へ消えていった。

この段階まで来て、どうも今まで会ったミュージシャンと扱いが違う感じがしてきた。Blue Note 東京のガードが固いというか、楽屋担当の女性を通してしか楽屋に入れないのはもちろん、楽屋に入ってもその先へは担当女性から声がかからないと進めない感じなのだ。そのような状況で、いったん楽屋に入ったものの Larry にすぐに会えず、他のメンバーとしばし雑談して待つことに。橋本氏は、他のメンバーへ積極的に話しかけ彼らのサインをもらっていたなあ。

しかし、なかなか Rick も戻ってこないし、楽屋から聞こえてきた Larrry の声で分かったのだが、23時になったらここを出るというのだ。いかんいかん!もうすぐではないか!それではこちらから積極的に動くべきだろう!橋本氏に声をかけすぐに Larry のいる部屋へと入ろうとした時、なんと Larry が私の真後ろに出てきたのだ。

私が挨拶をすると、Larry は怪訝な顔をしつつ挨拶を返してくれたが・・・。まずは私が何者であるかを強く認識してもらわなければ、その先には進めない。そこで思い切って話しかけることにした。

「私は禅駆動を持ってきました」

「私も同じペダルを持っているよ」(この時点でまだLarry は私が何者か気付いていなかった)

「いやいや、あなたには禅駆動のスペアが必要だろうと考え、
 あなたにギフトとしもう一台作ってきたのですよ」

「オウ!あなたが禅駆動の作者ですか!素晴らしい!大好きなペダルですよ!」( Larry の表情急変!)

なんてな会話が飛び交い、スペアの禅駆動を手渡すことに成功したのだった。その際に橋本氏は「シリアルナンバーは335だからね!」とも伝えたのだ。もちろんそれに対して Larry は大ウケしていたなあ。ヨカッタよかった!



こうなればもう躊躇することは無い。一緒に写真をお願いして。サインももちろんねだるのである。で、今渡した禅駆動を持って Larry と一緒の写真を撮ろうとした時、Larry はこう言ったのである「この写真は広告に使うのかい?」あわてて橋本氏は「いやいや!これは彼の記念のために撮るのです」とフォロー!これで無事に撮影は完了した。


Mr. Larry Carlton の痩せ具合がちょっと心配だね。


しかし、そのままだと Larry と 私が一緒の画像は表に出せなくなるので、2枚目に禅駆動抜きでもう一枚撮影させてもらった。橋本氏、桑本氏も記念写真とサインをもらい。すべての予定が終了。というわけで Larry が禅駆動を持っている画像は、当家の玄関でしか見ることが出来ないのだ!そこへ Rick が戻ってきた。2人にお礼を述べつつ再会を約束し、楽屋を出た。


相変わらず Rick は陽気だ!

楽屋の出口にもう一人のスタッフが立っていた。Sammy だ。ギターテックである。Larry や Robben 、Landou 等、多くの有名ギタリストのギターテックをしているという。Rick の子分的存在なのか?すでに楽屋で待ち時間の際に私と Sammy は名刺交換は済ませていたのだが・・・。と、その時!Sammy が「今回のステージのセッティングを見ていく?」と声をかけてくれた。望むところである。ステージに上がり、彼の説明を聞いた。


ギターテックの Mr. Sammy Sanchez

今回の機材は、ギターアンプ「Bludo Tone」とラックのコーラス・ディレイである。足下にはそれをコントロールするフットスイッチとワウ、ボリュームペダルが並んでいた。右端のスイッチにはギターアンプのディストーションチャンネルのオンオフが2系統あった。なるほど。ということは今回のセッティングに禅駆動は入っていないと。







Sammy の説明によると、この機材のセットが持って行けないときに禅駆動を使うのだという。なるほど、そう言うことなのね。Larry が現在使っているギターアンプ「Bludo Tone」を持って行けないときに禅駆動を使うってことね。正しい使い方だ!了解!先ほどライブ中に私が「禅駆動」のサウンドだと感じたのは「Bludo Tone」の歪みチャンネルだったというわけだ。ふっふっふ・・・面白いねえ!

*その直後、禅駆動を気に入った Larry Carlton は「Bludo Tone」を使うときでも常に禅駆動、あるいは弾駆動を一緒に使うようになった。以下がその証拠画像。ちなみに Larry は世界中にペダルボードをいくつか置いてる(推測6〜7台)ツアーの際、いちいち持ち歩くのが面倒だからだ。現在、そのすべてに禅駆動か弾駆動が搭載されている。以下の画像は日本に常設されている Larry のペダルボード。Free The Tone の林さんが管理をしている。



本日の結論
感動の面会と再会だった。
だが・・・私は7月30日セカンドにもこっそりブルーノート東京へもう一度行くのだ!

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