事故的提訴化

2012年07月24日 あの事故の顛末がさらに進展!


この数値がもたらすものとは!



「裁判所へ提訴する」

弁護士が登場してからの事故処理のその後である。
面倒くさいクドイ書き方をするが、我慢してじっくりお読みいただきたい。きっと、あなたが今後事故に巻き込まれた場合、役に立つはずだからね。

過日、私が事故現場の道路幅を計測したことで見えてきた事実が有った。それは道路幅の違いによって、過失割合の認定が違ってくるということ。加害者側の保険会社A○Uが主張する根拠となっているのは「別冊判例タイムズ」に掲載されている判例である。「別冊判例タイムズ」というのは、保険会社が事故処理の際に参考とする判例集である。保険会社同士が、この基準に従って過失割合を検討するのだ。

今回の事故は、別冊判例タイムズ16号の57番「信号機が無い、同じ幅の交差道路である場合」が基準になっている。それによると、加害者の一旦停止違反なので、本来 8:2 であるが、当方が優先道路を徐行して進入しているので 9:1 の過失割合であると書かれているのだ。

だが、別冊判例タイムズ16号の56番「一方が明らかに広い道路である場合」というのがあり、それによると広い幅の道路側が有利になるのだ。

では、ここで今回私が事故に巻き込まれた交差点の状況を再度見てみよう。

警察が作成した「実況見分調書」によると、加害者側の道路幅員6.5m、当方の道路幅員6.5mと書かれている。このまま行けば 9:1をA○Uがゴリ押ししてくるのは見えている。そこで、この数字は本当に正しいのか?と、疑問を持った当方弁護士の指示により、私は現場の計測を自主的にやってみたのだ。その結果、分かったことは「実況見分調書」と私の実測とは違うという事実だった。

実測すると確かに加害者側の道路幅は 6.5m である。しかし、そこに盲点が有ったのだ。その道路が開通した時点では 6.5mだったのだが、道路に不法投棄車両が増えたため、その後ガードレールが設置されたのだ。ガードレールによって車が走れる道路幅は 5.5m と 本来の道路幅より 1m 狭くなっているのだ。こうなると「信号機が無い、明らかに幅の違う交差道路」の扱いとなり、当方が有利になるのではないか?



ここで解釈に微妙な違いが生まれたのである。

つまり今回の事故は、A○Uの言う別冊判例タイムズ16号の57番の事例そのままではなく、56番の事例(一方が明らかに広い道路である場合)と合体した事例であり、弁護士としては知的好奇心をくすぐられる面白い事件だと言えるのだ。弁護士が使用する判例基準書として通称「赤い本」というものがある。以下にその参考ページを示した。加害車両がBで当家車両がAとなる。この場合、道幅が同じとして私は解釈しているが、道幅が違っていた場合はどうなるのか?



道路幅の違いをA○Uに伝えた場合、果たして素直に当方の言い分を認め全額支払うのか?「きっとそれは無いに違いない!」と弁護士は判断した。そこで、当方の資料が全部そろった時点で裁判所へ提訴する方が良いと弁護士は考えた。その理由は、6月末時点で A○U側が、被害を受けた妻に対しての、休業損害、後遺症逸失利益、後遺障害慰謝料、通院慰謝料を、示談の内容に提示してこなかったからだ。さらに、代車の費用まで全額請求してきたからである。これらを総合した請求金額はA○U提示額と雲泥の差が有るのだ。

裁判となれば、道路幅の再認定が行われ「実況見分調書」の記録と、実測の違いが明確になる。裁判所が「道路幅5.5m」を認定すれば、その時点で当方が有利になり、A○Uは反論出来なくなる。さらに、代車の料金全額支払えなどとの理不尽な要求なぞ、 A○Uは恥ずかしくて裁判所では主張出来ないはずなのだ。

交通事故が起こった場合、被害者は加害者側の保険会社に任せてしまうと、車両の修理費用及び通院の日数に対する通院保証程度の金額しか支払われない。さらには不本意な過失割合を持たされ、その金額さえ減額となるのだ。

ここで、車両保険と現実の対処について私が被害者になるまで知らなかった基本的なことを書いてみよう。

1 車両保険は、自分が加害者となった場合に被害者に対する保証をするために入るものである。
  それ故に、自分が被害者となった場合に10:0の過失ゼロを主張すると、
  自分が加入している保険会社は法律的に手出しが出来なくなるのだ。
  つまり自分自身で相手の保険会社と戦わなくてはならなくなる。

2 自動車保険は、自分が加害者になる可能性を考えて加入するが、
  加入者は自分が被害者になるケースをあまり考えていない。

3 自分が被害者となった場合、加害者側の保険会社はなるべく補償額を減らそうと行動する。
  あきれるほどに、無茶な言いがかりをつけ補償額を下げようとする。
  さらに、本来もらえるはずの保証さえ提示せずに示談を要求してくる。

4 自分が被害者となった場合、保険会社との攻防で精神的にかなり消耗する。

5 自動車事故被害に対する保証の要求は、弁護士に任せるべきである。
  その理由は、弁護士が補償の計算をする基準書は保険会社の基準と違いかなり高額となる。
  弁護士が参加した時点で自動的に弁護士用基準書の金額が保証の計算基準となる。

6 弁護士費用はかなり高額だが、自動車保険の「弁護士特約」に加入していると、
  弁護士費用300万円まで保険会社が支払ってくれる(この金額でほとんどのケースはクリア出来る)
  しかも、弁護士特約を活用しても等級が変わらない。
  ちなみに、扱っている保険会社では「弁護士特約」の金額はほぼ年間3,000円以下である。
  保険契約の途中でも、その日から日割りで追加出来るのでなるべく早く弁護士特約に入っていると安心。
  
7 ただし、交通事故被害者になった場合ひとつだけ注意が有る。
  弁護士特約に入っていても、保険会社が弁護士を手配してくれることは無い。
  弁護士にかかる費用は保険会社が全額払ってくれるが、
  あくまでも自力で弁護士を見つけることが前提である。

以上、箇条書きにしたが、ご理解いただけただろうか?
年間の自動車保険額に3,000円程度プラスするだけで、あなたが被害者になった場合かなり有利になるという説明だったのだ。私は今回、弁護士特約に入っていなかった。その為、対応がかなり遅くなってしまった。その間の精神的消耗にはかなりのものがあった。手遅れではあるが、私は弁護士特約を追加契約した。今後被害者となった時に対応するためだ。

保険会社の提示する補償額と、弁護士が介入して保険会社へ請求する補償額の差がどれほど有ると思う?あなたが想像する金額を遥かに超えるのだ。あるケースでは、保険会社からは100万円程度の提示だったが、弁護士が入ることで510万円の保証を受け取れたケースがある。

私は保険屋の回し者ではない。弁護士の回し者でもない。自分が経験した事実から「弁護士特約」が必須であると感じたので、お勧めする次第だ。当方がそろえるべき書類は、今週で弁護士にすべて提出した。これから先、私の事故処理は佳境を迎える。果たしてどのような結末になるのか。たぶん、事故から丸1年経つ11月末頃に決着するかと。裁判の結果が出たら再度お知らせしよう!


本日の結論
自分がいつ交通事故の被害者になるかは誰も予測出来ない。

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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