急増的燦駆動

2012年03月13日 hFE 値をチェックする!


これは燦駆動に使っているビンテージトランジスタだ。



「NGと書かれているものが存在する」

天気が良くなって気圧が上がったせいか、今日の気分は上々だね。スッキリとして食欲も出てきた。昨日の眠さとはひと味違う感覚だ、こうなると、様々なことをやりたくなるね。で、久々に更新しようと決意したってわけ。

さて、このところやって来るオーダーで特徴的なのは「燦駆動」の増加だ。いままでは忘れた頃にポツリポツリと作っていたのだが、先月後半から立て続けにオーダーが入った。たまたま、当家に試奏に来られた藤田さまが気に入られてオーダーがあってから、それを目にした方々からもオーダーが続いたのだ。

「燦駆動」はFUZZだ。一般的なファズよりコントロールしやすいように作ったつもり。実際に試奏や購入をされた方にはとても評判が良いね。でも、こいつは電源回路がリバースサーキットなので乾電池のみの駆動である。外部電源アダプターは使えないようにしてある。理由を簡単に書くと、リバースサーキットは電源のプラスマイナスが通常とは反対だ。つまりグランドがプラスなのだ。このような状態のペダルを複数繋いだ際に外部電源を繋ぐとショートする危険性がある。

そのような危険性を回避するために、内部の9V乾電池だけで作動させている。FUZZは電力消費量が少ないので、電池駆動で充分なのだがね。実は、私自身はFUZZのサウンドはあまり好きではなかった。そこで自作するには「自分が気に入るサウンド」を目指さなくては成らない。FUZZ臭さを排除して、暴れ感の少ないコントロールしやすい仕上がりを目指したのだ。

で、いくつかトランジスタを試すうちにPNPトランジスタ「AC128/01」にぶち当たった。これは、もう皆様おなじみのシカゴ在住である綿貫さまからプレゼントされたものだった。当初、なかなか上手く作動せずいくつか回路を組んでもサスティーンの長さが極端に違っていて、それが何によって引き起こされている現象なのかが、かなかな特定出来なかった・・・。

そして気づいた。これって、増幅率がバラバラなんぢゃね〜のか? そこで、このトランジスタのhFE値を計測してみた。すると驚きの結果が出てきたのだ!一番低いhFE値は35、最高hFEはなんと1900にもなっていたのだ!1台の燦駆動に3個のトランジスタを使用するので、組み合わせによっては、35x3=105 から 1900x3=5700 までと、とてつもなく増幅率が違う個体が出来上がってしまうのだ。これでは同じ品質で作り続けることは出来ない。

そうなるとトランジスタの選別をする必要がある。数台分の回路を組んで違いを確認したところ、私が目指しているサウンドを得るにはこの幅に収まっている必要があるとのhFE値が判明した。そして、100個のトランジスタ「AC128/01」をチェックしたところ、合格したのは30%以下だったのだ・・・。こりゃイカン!てなことで再度検討した結果、3個のhFE値のバラツキを順列組み合わせでコントロールすれば合格率50%程度まで上がることが判明した。

これらの検証によって、100個のトランジスタ「AC128/01」から燦駆動は16台〜18台作れることが判明。しかしこれはあくまでも推定値に過ぎない。当初の100個分を使い果たしたので、次の100個分のhFE値をチェックしてみることにした。以下の画像はその一部だ。マジックで書き込んでいるのが個別のfHE値だ。最低で39だ。最高で122に見える。しかし!実はそうではない。NGと書かれているものが存在するのだが、これは1500以上の値なのだ。とても使えたものではない。以下の画像には22個が映っているが、私がこの中で使う予定は10個だけだ。ということは、燦駆動3台分にしかならない。さらに、回路基板も手作りなので、これに費やす時間も多い。ということで、面倒な作業が待っている燦駆動製作なのだ!



これでお分かりだと思うが、もともと在庫数の少ないトランジスタ「AC128/01」なのに、選別して使っているので、これから先に何台作れるか?は私にも分からない。ただ、無理矢理予測すれば30台〜50台程度なのだろうなと。こんな現状の「燦駆動」製作状況である。ユーザーの評価では「燦駆動は絶対にマイケル・ランドウが気に入ると思う!」という意見が多い。いずれ、ランドウ本人に試して欲しいものだね。

次の話。

本日、このようなものが送りつけられた。段ボール箱にラベルを貼付けたものである。ラベル単体もある。私が作るペダルの納品時に使ってほしいと、ユーザーの井上さまが作られたものだ。井上さまも面白がって遊びに参加されているようで嬉しいな!そのうち、どなたかのお手元へこの箱を使って納品されるのでよろしくね!



最後に、もう一つだけ情報を。あのペダルボード製作会社Vertex のMasonから昨夜メールが届いた。

Thank you very much Toshihiko!

Michael Landau has been asking me about your pedal, I'm be sure to introduce him to it.

Best regards,

Mason

さてと、この先どうなりますか・・・楽しみですねえ!


本日の結論
今日から3月分のオーダーに手をつけ始めたよ!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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