試奏的業界人

2011年07月24日 メーカーからの試奏者!


tc electronic の高村尚平さん



「私のアイドルなんですよ!」

数日続いた涼しい日々も終わりを告げ、また暑い夏が戻ってきましたね。夏になってからまだ蝉の声を聞いていなかったのですが、今朝方ついに当家の隣からミンミンと聞こえ始めました。これで世間では夏休み気分が盛り上がるんですかね。私にとってはただウルサイですがね!

さて、数日前に「いまならペダル試奏し放題ですよ!」と書いてみたところ、それに反応があって、7月23日午後に試奏したいとメールが届きました。以前からお名前は存じていたのですが「高村尚平」さんという方です。やり取りメールの雰囲気ではどうもギタリストのようでしたが、念のためにとネットで検索してみました。

その検索結果で気になったのは「tc electronicの高村尚平さんをお招きして」というような表現がいくつか見つかったことです。ん?tc electronic?ひょっとして同業者と言うか、老舗と言うか・・・。技術者?それとも・・・デモンストレーター?でも本当にこの方だろうか?との疑問も持ちつつ試奏日の約束の時刻、13時がやって参りました。

高村さんはご夫婦で来られました。通常、試奏の場合ツレの方は退屈されてしまうものなのですが、奥様も音楽に造詣が深いと言うことでご一緒に試奏参加。最初にまず大人の挨拶として名刺交換です、「ホコタテ」でおなじみの光景ですね。その名刺には確かに「tc electronic 高村尚平」の文字が印刷されていました。tc electronic といえば、もうおなじみの高級ペダルメーカーですよね。そのセールス担当者が何故にして私の部屋へ乗り込んで来たのでしょうか・・・?

なんてな緊張感はまったく無く、まずは遠くからお出かけいただいた御礼に「ガリガリ君梨味」でおもてなしです。高村さんのお話をうかがえば、かなり長い間 tanabe.tv の愛読者であると分かりました。となれば、細かい話はご存知との前提で私も話を振れますのでラクチンですね。 tanabe.tv の更新を毎回楽しみにして頂いていたようです。最近では特に「Fender The Twin再生シリーズ」をワクワクして読まれていたとのこと。もちろん、昨年の渡米や海外のスーパースター達との交流も喜んで頂けたようです。

高村さん自身もデモンストレーターやクリニックで全国を飛び回り、さらに海外のギタリストともセッションの機会があり、なかなか活躍されているようです。

ではそろそろ試奏と参りましょうか!使うアンプは Ceriatone です。高村さんも試奏したいと思っていたアンプだそうです。で、高村さんが欲しいと思っているサウンドは ラリー・カールトンでした。もちろん持ち込まれたギターは335でしたよ。それに PRSシングルカットの2本。

まずは禅駆動から試奏開始。最初の一音を出した瞬間に「あっ!いいですね!」との発言が。その後もジャズのフレーズが響き渡り細かなノブの調整をしつつ、3トーンの確認。目指すサウンドを探すスピードが速いですね。試奏の際の音量もかなり控えめでしたね。あっという間に美味しいセッティングが完成。


次に弾駆動。禅駆動とセッティングの違いを的確に判断してから、両方ONでもチェック!なるほど!とすべてのチェックが短時間に終わりました。「3トーンは全部使えますね!私は禅駆動が好きです!是非、禅駆動を作ってください!」と早くも宣言されました。高村さんはローゲインで美味しい部分を引き出されていましたね。こんな的確な試奏は大歓迎です。

高村さん曰く「自社製品以外でも、優秀なペダルがあれば使います!その方が信用されますから」なるほど!それがデモンストレーターとしてのプライドなんですね。最後にはこんな発言も「このところ、田辺さんは私のアイドルなんですよ!」ううむ・・・そんな発言は初耳です!なんだか笑ってしまいますがね。

高村さんが試奏された日の夜中には、禅駆動が完成しました。そして翌朝11時には引き取りに来られました。試奏、オーダーから引き渡しまで実にスムーズに進みましたね。引き渡しの際には「記念写真を撮らせてください!」と言われて禅駆動片手にニッコリ微笑む私でした。これまた自分でも笑ってしまう状況でありましたがね!

そうそう!前日の試奏の最中にふと思い出したことが!昨年10月に私が招待されて行った「BAD Company」のライブの際、Mr. Howard Leese のペダルセッティングを撮影しましたが、そこにあったペダルはシンプルな構成で、tc electronic 2台 + 禅駆動だけだったのです。以下の画像でご確認ください。ゲインのセッティングは、ほぼ9時30分です。この画像に高村さんも感動されていました。


禅駆動や弾駆動の使い方として、ローゲインでの微妙なゲインのコントロールをされる方がプロギタリストに多いですね。つまり、カールトンやロベンのサウンドに近い線のことですが。しかしアマチュアの方の中には、試奏でもいきなりフルゲインで弾き始めて細かなピッキングニュアンスなんてあったもんじゃないというケースもあるんですよ。

ゲインコントロールは腕を誤摩化す手段ではなくて、オイシイトーンを引き出す為のものですよね。料理でいえば、極薄の塩味でダシの効いたお吸い物をご想像ください。微妙な塩加減で素材本来の味を引き出しますね。どかっと塩をぶち込んだらそりゃあ飲めたもんじゃないでしょう。微妙なローゲインのコントロールはピッキング、フィンガリングの腕を必要とします。深く激しいゲインが必要なハードな方は、私の作るペダルとは違うものをお探しになった方が良いでしょうね。

そういうことで、私が外出するスケジュールが入っていない限り、ほぼ毎日午後13時〜16時の間で試奏をお受けしております。試奏ご希望の方は事前にメールで確認の上、ご遠慮なくお越し下さいませ。私としても試奏をして頂いて、納得されてから製作をお引き受けしたいですし。


本日の結論
禅駆動よりもっとゲインが少ない機種を試作してみようかなと考えている昨今の私です!

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