「なぜキャデラック？」

かつては毎年のように、10月末から11月頭にかけて群馬県片品村へ出かけていた。林檎の樹のオーナーになり、その収穫のために行くのである。ギリギリまで完熟させてから「リンゴ狩り」すると実に甘美な林檎が味わえるのだ。だが・・・鬱病に陥った私は、車の運転ができなくなり、さらにモチベーションも落ち果てて出かけることができなくなった。そのためこの4年間はリンゴ狩りから遠ざかっていたのだ。

しかし、今年の春先になり「今年はなんだか行けそうな気がする〜！」と思い立って「林檎のオーナーに復活したいんですが、大丈夫ですか？」と片品林檎亭のご亭主に問い合わせしたところ「田辺さんであれば今年は名誉オーナーとしてご参加下さい！」と快く迎え入れてもらったのだ。かくして1本の林檎の樹が私の名義となって春から育てられ続けていたのだ。

オーナー制の決まりごとは2つだけ。ひとつは申込時に料金を払うこと。今年は2万円を支払った。これは樹の大きさによって決められる。さらにもうひとつは、収穫は自分でやること。つまり、完熟状態の林檎を自力で収穫しなければならないのだ。これは実に楽しいイベントである。たわわに実った林檎をまるごと全部自分で収穫するのは快感である！

てなことで、今年は10月末を予定していたのだが、あいにく台風がやってきたので、ちょっと先に伸ばして11月2日〜3日に1泊で出かけることにした。かつて頻繁にお世話になっていた、片品村の文化人である笠松様のログハウス「笠松邸」へ泊めていただくために事前にご連絡しておいた。これまた快諾であった。

では出発しよう！

笠松亭に到着してみたところ、いつも置いてある笠松様の愛車JEEPが見えない。代わりに見慣れない車が置いてあった。なんだこれは？おおお〜〜〜！！！キャデラックではないか！なぜキャデラック？しばらく会わないうちに笠松様の趣味も変わったのだなあ・・・。と思っていたら「このキャデラックは車検の代車なんですよ！これしか無いって車屋が！」な〜んだ！それにしても代車がキャデラックかよ！ちなみに燃費はリッター4km程度らしいぞ。



さて、4年ぶりの片品村は天候にも恵まれて、20度近い気温。信じられないほどに穏やかで暖かい。笠松邸に到着した当家夫婦は笠松様から「今日は天気が安定しているので、すぐに収穫に行きましょう！」と促されて、速攻で片品林檎亭へ向かった。

平日とあってお客も少なく、収穫作業も箱詰め作業も実にスムーズ。初心者だと、1本の樹を全部収穫するのに半日近く掛かることもあるそうだが、笠松様にもお手伝いしていただいたので、約30分で収穫完了！私たちは実に手馴れているのだ！収穫量はざっと観て70kg以上。収穫用の箱で4箱分だった。

今年私がオーナーとなった樹は少し小さめだったのだが、それで70kgは大豊作である！しかも、林檎一つひとつがとても大きいのだ。例年は5kg箱に15個〜20個の林檎が入るのだが、今年は10個しか入らない！夏の気温が高すぎた日本だったが、その暑さが林檎の果実を見事なサイズへと育て上げたのである！顔の横に並べてみたのでそのサイズをご確認いただきたい！



例年であれば、多くのリンゴ狩りの仲間たちと、笠松邸で夜通し盛り上がるのだが、今年は我々夫婦と笠松様の3人だけ。ゆったりとした大人の時間を過ごさせていただいた。夕ご飯に鍋物を作り、朝ごはんにも湯豆腐と水餃子を作った。いくら天気が良いといえどもやはり朝晩は冷え込む片品村だ。暖かな食べ物が嬉しいのである！

ちなみに、笠松邸は今年から少し様子が変わっていた。なんとログハウスのリビングが掘り炬燵仕様になっていたのだ！笠松様が自分ひとりで、分厚い床板に切込みを入れて悪戦苦闘して仕上げられたのだという。すばらしい！これは実に快適な冬の仕様である。訪問者たちにも評判が良いと聞いた。私もとてもお気に入りの環境だね。ヌクヌクと話も弾むよ！



11月3日の朝は、とても晴れ渡り眩しい光に満ちていた。山の新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んで深呼吸！いいなあ〜！ゆったりと朝ごはんを済ませて、のんびりしていたら少し雲が出てきた。山を見ると頂上あたりに雪が降り始めているのが見えた。こりゃイカン！早めに引き上げることにしよう！てなことで、笠松様にお別れを告げて11時45分に出発したのだった。

その後はスムーズに気持ち良いドライブが出来た。一気に自宅までたどり着き、娘の家まで林檎を届けてイベントは終了！さて、来年はどうするかね？やはり一気に収穫するアノ気持ちよさは、なかなか他では味わえないしなあ。まあ、今はアセらず来年の春にどうするか決めればいいんだよね！林檎食べながら考えようっと！

笠松様！お世話になりました。短い時間でしたが楽しかったです！ありがとうございました！


本日の結論
これから1か月以上は、林檎三昧の日々である！

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