貢物的圧縮系

2010年10月19日 包囲網がジワジワと!


「その機を逃してはならない」

相変わらず円高の影響下に晒されている私である。ということは、自由時間が増えてきているということでもある。つまり本来であれば新作ペダルの研究に取り組むべきなのだが・・・。しかし!物事はそう簡単にはいかない。世の中のモチベーションというものは、暇なときには盛り上がらないのである!ある程度の忙しさの中に見つけた時間の隙間で「ヤラねば!」と自分自身を鼓舞するのだ。仕事あってこその余裕あるモチベーションが生まれるのである!

そんなどっちつかずの私の現状にひとつの貢物が届けられた。本日、奈良県在住のユーザー辻井様より「MXR dyna comp」が贈られてきたのだ。外装にもほとんど傷はなく、まだまだ新し目の筐体だ。さて、辻井様はなぜ、このような貢物を届けられたのか?それは少し前に遡る。

先月の9月10日。私はLAで Mr. Henry Kaiser からコンプッレッサーを1個プレゼントされた。あまりコンプ感の強くない、とても自然なサウンドが得られる感じだった。Mr. Henry は「次はコンプッレッサーを開発してみろよ!」と挑発してきたのだろうと、私は無言のうちに理解した。



帰国後、気分が盛り上がっているうちにとコンプレッサーの研究を始めようとしたが、オーダーが立て続いてしばし時間が取れなかった。今月に入り、急激な円高の影響でオーダーがパタリと止まったので、時間つぶしに少し研究を始めてみた。「am 1960」をバラしてみたところ、構造上の問題点が幾つか見つかった・・・。サウンドではなく、構造そのものの詰めが甘い感じがした。その部分を私が手直ししようかとも考えたのだが・・・ところがなかなかモチベーションがキープできず、あまりそれ以上の調査が進まなかった。いくつかの回路図を手に入れてみたが、試作までには至らず、チラ見してはそのまま放置が続いていたのだった。

その様子を見かねたのか、辻井様は解析用にと「MXR dyna comp」を貢がれたのである。そしてメールには「遠くない未来にSurpriseなCompressorが生まれて来るのを期待しています」と書かれていた。ううむ・・・ううむ・・・包囲網がじわじわと私を取り囲み始めた感じだ!もう逃げられない・・・そんな感じがする。

Compressor に関して私は「無知」の塊である。Over Driveに比べて回路も複雑だ。しばし研究を続け、試作機も多数手がけなければ、まっとうなものは出来上がらないだろうな。ということは研究開発費も必要だと。かつて「禅駆動」を造り上げたときは、開発費が6万円ほどかかった。「燦駆動」の際ににも5万円ほどかかったが・・・果たして今回はどれくらいかかるのだろうなあ?

そんなことより、まずはサウンドターゲットを決めなければならないな!どのようなサウンドを「理想」とするのか?簡単に書けば求めるべきは「私が気持ち良い音」なのだが、それは抽象的すぎる。数値でもないし、他人に理解できる話でもない。まず自分自身がしっかりと「どのようなサウンドが好きなのか?」を確認しなければならない。そのためには、いくつかのコンプレッサーを弾きこんで、そこに生じる違和感を見つけなければならない。その違和感を取り除く作業を繰り返すことでジワジワと理想に近づいていくのだろうな。

それは、ムービーの編集にも似ている。かつて某有名演出家とCMの仕事をしたときに「ムービーの編集は何を基準にしているのですか?」と聞いた際、「自分にとって気持ち良いかが基準!」と言われたことがある。それは「違和感」を取り除く作業でもある。映画やテレビ番組を観ていると時々「あら?」と「違和感」を感じることがある。それは狙いなのか?それとも・・・編集が下手なのか?

ちょっと脱線したが、さらに求める着地点は「既存のものではないサウンド」という大きな壁がある。オリジナリティーがなければ私がわざわざ作る意味はない。既存のサウンドと違うということは「他人に受け入れられ難い」という要素も含んでいる。しかし、それが「多くのギタリストが求めていたサウンド」であれば大成功となる。果たして素人の私はたどり着けるのか?

「燦駆動 FUZZ」を開発したときは、スタートして数カ月後に一度挫折してしばし放置していたことがある。必ずしも研究し続ければ出来上がるという保証はないのだ。しかし、あるきっかけでスタート後半年目にして一気に出来上がった。ヒントとなる切っ掛けがある日突然降ってくるのだ。その機を逃してはならない。今回の貢物「MXR dyna comp」もその切っ掛けのひとつなのだろう。そろそろ頑張ろうっと!(頑張ったからって出来上がるものでもないぞ!)



本日の結論
では、 MXR dyna comp を分解するか〜〜〜!!!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



GO TO HOME PAGE