外遊的大物達

2010年09月10日 ついにこの日がやってきたのだ!


Mr. Henry Kaiser            私


「ああもったいない!」

9月10日 (今日の記述はとても長いので覚悟するように)

さあ、いよいよこの日がやってきた。私が製作しているギターペダル「禅駆動」のユーザーであり、私に会いたいと言ってくれたスーパースターたちに会いに行く日なのだ!娘のラスベガス結婚式と旅行にかこつけて、かなり前から進んでいた今日の顔合わせのスケジュールは、絶妙なタイミングとスケジュールの組み合わせで、とんでもないことになりそうな気配を見せていた。

話は少し遡る。

まず、通常ではあり得ない様な偶然が事前に判明していたのだが・・・。私がLAに行くと5月の段階でMr. Henry Kaiser (米国サンフランシスコ在住カリスマギタリスト)に初めて伝えたとき、彼は「サンフランシスコならアテンドしてあげられたのに!でもLAなら会いに行けるかもしれないよ!」と言っていたのだ。当時その言葉にはほとんど期待しないでいた私だった。

だがその言葉は、さらに過激に具体性を帯びていった。Henryはこう言うのだ「LAに親友がいる。LAに行くたびに彼の家に泊まっているんだ。だからLAに来る日がフィックスしたら会いに行けると思うよ!」数日後、彼から来たメールに書いてあったのは、信じられない言葉だった。

「私はあなたに逢いにLAに行くよ。あなたが試したいアンプとギターを持って行くから、この中からリクエストを出してくれよ!」と、彼の機材の画像が大量に送られてきたのだ。HenryはDumbleアンプユーザーとして超有名だ。そこでDumble2個と、グラスワークスを指定しておいた。ギターも数本をお願いしておいた。

そして、さらに Henry のメールは、過激さを増して返ってきた。

「友達の家に来てくれる?ランチの用意をしているから。人数が多くても大丈夫だから。
 全員招待するよ。アンプでタップリ遊んだあとにランチにしたいから11時に来てね。
 その友達は、アニメで有名な「Simpsons」の作家 Mr. Matt Groening だよ。
 彼の家には専属シェフがいておいしい料理を作ってくれるんだ!何料理が食べたい?
 シェフはブラジル人だけど」

マジかよ!Mr. Matt Groening の家でランチって・・・。ブラジル人のシェフならやはりブラジル料理だろうね・・・。ということで「ブラジル料理」をリクエストしておいた。

ちなみに、この日の当方の動きは、私と妻、私の母、友人兼通訳のシカゴ在住綿貫さんと、LAのアテンドを協力していただいたHIROさんの5人連れである。つまり5人全員がMattの家に招待されたってことだね。

すると、次にHenryから来たメールには驚きの内容が書いてあったのだ!Henryは、今回の旅のスケジュールと、私がWEBに載せていた Mr.Howard Leeseから来たメールの内容から推察して、私達がランチの後に Howard の家に行くスケジュールであることを察知したようだね。

「Mr.Howard Leeseもランチに招待しようと思うんだけど・・・どう?12時頃に彼を呼びたいけど」

なにそれ?スーパースターを呼びつけるってか?「私の英語力では細かな事情が説明できないので、あなたから誘ってください」とHenryに返しておいた。すると、すぐにHowardからも「ランチを楽しみにしてるよ!」と返事が来てしまったのだ!おおおお〜〜〜!!!なんてこったい!この先いったいどうなるんだろう?「大スターだらけだ〜!」と思いながらこの日を迎えたのである。

そしてついに9月10日当日の朝になった。

道路の込み具合を考えて少し早めにホテルを出た我々は、30分ほど早くMattの家の前に着いた。いったん通りすぎて車から降りしばし待ち、指定時刻までスタバで休憩だ。海風と空気がとても気持ち良い。涼風が火照った体をヒンヤリと和らげてくれる。

指定時刻きっかりに Matt の家の玄関前に我々は立った。かつてグーグルアースのストリートビューで確認したあの玄関である。住所は絶対に口外しないとの約束で、この家に招待されている私達だ。ということで、玄関先の写真もお見せ出来ないのだ。そりゃそうだよね。世間に知れると、ファンが押し寄せるからね。

呼び鈴を鳴らすと、すぐに Mr. Henry Kaiser がドアを開けて迎え入れてくれた。私は頻繁に彼の画像を受け取ってみていたので、初顔合わせとは思えない感じがしたな。彼の柔らかい表情と暖かいまなざしは気持ち良い関係が築けそうだ。我々を室内に案内しつつ Henry はこんなジョークを飛ばしてきた。

「それではこれから、アメリカの一般的な家をご案内します!」とね。

この家は海に面したプール付きの豪邸なのだ!2人前のオーナーは「ブルース・ウイリス」だったと言っていた。その名前を聞くだけで豪邸って分かるだろ?廊下を進んでいくと、リビングルームにはすでに Dumbleを始めとするアンプが並んでいて、その横に面白いギターたちがずらりと用意されていた。これか〜!Dumbleって!

そしてその場所にはもう一人ギタリストがすでに来ていた。Henry に紹介されたのだが、私は全く知らない人物だった。Mr. Richard Thompson だと名乗っていた(後にこの人物もとてつもない大物ギタリストであると知ることになる。今から考えればまさに「盲、蛇に怖じず」の言葉通りの我々の対応だったなあ・・・もったいない・・・)


Mr. Richard Thompson

まずは家を通り抜けて裏庭に出た。プールサイドを通りすぎるとその先は太平洋だ。ちょっとだけ海辺の散策を。カリフォルニアの太陽と波の音、海風それらがひとつになって心地良い環境を作り出している。豪邸が多いのも頷けるなあ。そこには海鳥も。


母、カリフォルニアの海を眺めるの図

Henry が連れてきていた彼の愛犬にも会った。KIDA(キーダ)という名前だ。おとなしくHenryの命令をよく聞く犬だ。救助犬であるという。我々にも穏やかに対応してくれる優しい犬だった。3歳半のメス。飼える環境があるのなら是非欲しい犬だね。この画像で見るより実物はかなり大きいけどね。手入れが行き届いていた。Henryが大切に育てているのが分かるなあ。


母      KIDA      妻

そのうち、Mr. Matt Groening が二階から降りてきた。この人物か〜〜〜!!!まるで彼自身が何かのキャラのような感じだ。太くて丸くてにこやかで、楽しそうな人物だね。そこですかざず、一枚目の記念写真をお願いした。


        Mr. Matt Groening      Mr. Henry Kaiser

その後は、リビングルームに戻りDumble三昧だ。参加者男子全員がギターを弾きまくり、楽しい時間が過ぎていった。自分で弾いてみると「なるほどこれがDumbleね!」と納得できたな。確かに心地よいサウンドだ。さらにグラスワークスも弾いてみたが、ちょっと近代的なサウンドだった。ただし、このグラスワークスは回路的にHenry仕様になっているという。ちょっとハイ寄りのセッティングかな。ここで弾くと少しノイズが乗る感じがする。たぶんこの家の電源の問題なんだろうなあ。



私が今回持ち込んだHenryへのプレゼントも彼に試奏してもらった。時間があまり無かったので、簡単なレビューしか出来なかったが、弾駆動よりちょっとゲインが強めだと言っていた。もう一度詳細な検証が必要だろうね。日本に帰ってからそれをやることにしよう。デザインは気に入ってもらえていたようだがね。


我々男性陣がギターとアンプ三昧で遊んでいる間、妻と母は、のんびりと外のデッキチェアでオレンジジュースを飲みつつ日向ぼっこをしていた。母に言わせれば、ラスベガスの歩行地獄から解き放たれて、一番のんびり出来た時間だと言っていた。ちなみにここで出されたオレンジジュースはフレッシュでとても美味しかったと、妻も母もお代わりをしていたな!



私がリクエストしておいた「寿司ギター」も置いてあった。見た目と違って、サウンドはかなり良いのだ。太くて私の好きなサウンドだったなあ。なかなか丁寧な仕上げが施してあるギターだね。ピックアップがオリジナルだとHenryが言っていたぞ。シングルコイルに見えるがハムバッキングなのだ。



10本ほどのギターの中にとてつもないフレットを持つギターを見つけた。 テレキャスシェイプのギターなのだが・・・なんだこれは?これでチューニングは大丈夫なのか?と、試奏するとあらびっくり! 実に美しいコードバランスでピッチはバッチリなのだ!しかし・・・このギターをリフレットする時や、フレットのファイニングするときはどうするんだろうか?フレットを抜くだけでも大変なことになりそうな気がするなあ。しかし・・これで理想的なピッチが得られるとしたら、通常のギターのフレットはいったい何なんだ?



やがて1時間が過ぎ、そろそろ Mr. Howard Leese が来る時刻となった。我々はさらにギターとアンプを取っ換え引っ換えで楽しんでいた。するとHenryから私にプレゼントがあると言って出してきたのが新しい「コンプレッサー」だった。掛かっているようでかかっていないような、微妙なラインを狙ったペダルである。これは Henry からの挑戦状だと私は理解した。こいつを超えるコンプを作ってみろというのだろうな。次の研究テーマがこれで決まったぞ!



やがてランチの時刻となったが、まだ Howard は現れない。大物はいつも遅刻気味ってか? Henryが彼の家に電話してみたが、誰も出ないという。まあ、しょうがねえか。と、我々は2階の広いベランダにセッティングされた、ランチのテーブルに移動した。太陽の光が降り注ぎ気持ち良い場所だ!シェフと助手がすでに料理を別のテーブルにずらりと並べていた。

全員が席に着いたところで、やっと Howard が到着したと1階から連絡があり、彼もすぐに2階に上がってきた。すると直後、私の目の前にHoward が現れたのだ。ロックミュージシャンっぽく、革ジャンにジーンズ、Tシャツスタイルだ。握手を交わして自己紹介し席に着く。


Mr. Richard Thompson        Mr.Howard Leese


まずは Henry が 本日の料理について述べることに。ブラジル料理はもともと貧しい料理で、余った材料を使用人たちがいかに美味しく食べるかを研究して出来上がったものらしい。各人がシェフに料理の説明を聞きつつ、皿によそってもらいテーブルに付いた。ブラジル料理の特徴は、オレンジが一切れ添えてあることだ。オレンジを時々すすって口直しするのだという。

全員料理がそろったところで記念撮影だ。テーブルの上にちょこんと置いてあるのは、私が持ちこんだ「食べるラー油」だ。日本で今年流行っているんだと説明しておいた。Matt が白いご飯に掛けて食べてみたところ「これはスキな味だ!」と喜んでくれたぞ。ヨカッタヨカッタ!

食事中に、Howard が禅駆動について彼が気に入っている点を話してくれた。彼の使い方はGAINをそれほど必要としていないようだ。ライブの際、ソロ直前に踏み込むのだという。わずかにGIANとボリュームをアップさせる使い方だ。基本サウンドはあくまでもアンプ側で作るのである。

禅駆動のノイズがないことと、サウンドのクリーミーさが気に入っていると言っていた。特にHoward が「クリ〜ミ〜!」 と強調したので、それを聞いた Matt が「クリ〜ミ〜!ってテレビコマーシャルみたい!」と茶化していたな。


Henryは今年の12月に来日することになっている。仕事ではなく、全くのプライベートだ。そうなると、私も必然的に今回のランチご招待に対する返礼を考えなければならない。たいしたことは出来ないしなあ・・・と考えていたら、おお!そうだそうだ!相撲部屋でちゃんこはどうだろうか?私は高砂部屋のWEBをボランティアで作ったことにより、いつでも「ちゃんこ」を高砂部屋で食べられる権利を持っているのだ。一般人が入れない世界へご案内してみよう!

さっそく Henry に聞いてみると「全く知らないけど、面白そうだね!」と返ってきた。相手の都合もあるので、確約はできないが、12月になれば鍋物の美味しい季節となるし、暖かいものが嬉しい季節でもある。よし!「相撲部屋で本物のちゃんこ」をセッティングしてみよう!

食事は楽しく進み、デザートも頂いた。一番好きなデザートは「パッションフルーツのムース」だったな。甘酸っぱくて、甘みも抑えめで日本人向けだね。食事が終われば、再び1階のリビングに戻り試奏の再開である。今度は Howard も参加である。彼は彼のPRSを持ってきてくれた。シグネチャーモデルの元となったPRS初期のギターだ!ギターマニアにはたまらん1本なのである!おおお〜〜〜これか〜〜〜!!!ちゃんと釘の跡があるな〜!「ハーフミリオンダラーのギターだから気をつけて扱ってね!」とHowardが一言付け加えてきた。それでも気軽に弾かせてくれる彼の寛容さに感謝!で、記念撮影を一枚!このギターはかなり出力が低い感じだったね。


Howard は、機材収集家で有名だが、Dumble は持っていないという。そこで彼も試奏開始だ。すかざず綿貫さんが「33 West Street」と掛け声をかけると、Howard が弾き始めたのである。 信じられないほど贅沢なライブだ。我々3人のためだけに弾いてくれているのだ。試奏の一部をムービーで撮影できたのでそれをちょっとだけ載せてみる。



我々の前で本当に弾いてくれたという証拠ムービーがこれ。コーヒー飲みながら偉そうに聴いていますが・・・。


なんてな信じられないほど楽しい時間もやがて終わる時が来た。HenryとMattが仕事のために出かけなければならないのだ。そこで慌てて我々は用意していたサイン用グッズを取り出して、彼らにサインをお願いした。Mattはすぐに丁寧なサインを書き始めた。サインだけでなく彼のキャラたちも書き添えてあった。ありがたい配慮である!

サインを書いているMattの画像が撮れたところで、次はそのサイングッズを持った私と一緒の記念撮影をお願いした。これで完璧な証拠写真となるのだ!



その時、その光景を観ていた Howard が、急に近づいてきて「私にもサインを貰えますか?9歳の息子がいてファンなんです!」とちょっと恥ずかしそうにMattにサイン用の封筒を差し出していた。スーパースターといえども彼もやはり人の親なんだなあと感じた瞬間だった。


私たちはさらに、Mattの名刺も頂いた。それにも裏面には丁寧にイラストとサイン,さらにメールアドレスまで手描きで書いていただいたのだ。かなりレアなMattグッズであると思うが、いかがだろうか?

*当方への Mr. Matt Groening に関するお問い合せは一切お断りします。

さらに、この機を逃してなるものかと、Howardにもお願いするのである!Henryにもお願いするのである!これらのサインはいずれ額に入れてずらりと並べることにしよう。ありがたや!ありがたや!



サインの嵐が通りすぎれば、ようやく皆さんとお別れの時だ。最後にHowardからこう言われた。

「10月に日本へBAD Co.のツアーで行くけど、東京で来れる日を知らせてくれよ。
 サウンドチェックから観て欲しいんだ。禅駆動をどんなセッティングで使っているか見せたいんだ。
 それにテックの Markus Wolfe もあなたに会いたがっているんだよ!
 来るときは友達も連れてきて構わないから。全部私が話をつけておくからね!
 ステージから大音量で禅駆動のサウンドを聴かせるよ!
 じゃあ、また日本で会いましょう!」

おおお〜〜〜なんてこったい!しっかり招待されちまったぢゃないか!しかもサウンドチェックからだと。ということは、当然のこととしてBAD Co.のメンバーにも会えるってことだね。

最後になったが、Howard は禅駆動の記事を「Guitar Player Magazine」で読んでオーダーしてきたのだが、その記事を書いたのが Henry であると、Howard は本日になって知ったのだった。本人も驚きの顔合わせだったのである。この日は、当初の予定では Howard の家に行く予定だったのだが、それはやめてここでお別れすることにした。また日本で来月会いましょう!


*当然ながら綿貫さんとHIROさんが通訳として活躍してくれたので成立した本日だ。お二人のご協力に深く感謝!

実は、この日はこの先もあるのだが、それを書いているとあまりにも長すぎるので、次のページへと分けることにした。


本日の結論
実は、妻と母には全く意味が分からないランチだったのだ!ああもったいない!

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