土産的試作品

2010年08月27日 果たして合格?
Mr.Henry Kaiser 試作品 HENKUDO


「9月10日の結果を待たれよ!」

このところ毎回書いているけど、やっぱり今日も暑い!出荷のために郵便局まで往復しただけでもう汗がダラダラ!湿気が多過ぎだってえの!日々続くクーラードップリの生活に、すっかり運動不足となって足の筋肉が劣化していると感じ始めてしまったなあ。かといって長距離の散歩に出るには暑すぎるし・・・無理して歩けばぶっ倒れそうだし。ヒドイ夏となったなあ!はるな愛は、本当に24時間を走り通すことが出来るのか?と要らぬ心配までしてしまう今日この頃だ。

私がエフェクターを作り始めて2年10か月が過ぎた。当初から使っているオペアンプは「JRC4558Dツヤあり」だ。1980年代に製造されたものである。いわゆるジャパンビンテージだね。このオペアンプはかなり評価が高くて、マニアの間では高額で取引されている。

私はこの「JRC4558Dツヤあり」を自ら選んで採用したわけではない。3年前の夏、シカゴ在住の綿貫さんから「これで面白いものを作ってみてください!」と鬱病のお見舞いとして4個だけ頂いたのだ。その後私は、すぐに研究をスタートして1か月後にはエフェクターが完成した。つまり私の作るエフェクター「禅駆動」や「弾駆動」はまず「JRC4558Dツヤあり」ありきだったのだ!

しかし!「禅駆動」の評判が口コミで広がるにつれ、次々にオーダーが入るようになってしまった。手持ちの「JRC4558Dツヤあり」は4個しか無かったので、すぐに調達が必要となった。そこで、さらに綿貫さんにお願いして数十個を調達してもらったのだが、それすらすぐに消費してしまう結果となってしまった。

なんてなことで「JRC4558Dツヤあり」持ち込みなら受注するとの方針に変えてしばらくは対処したが、これには無理があった。いつまでも続けられる作戦ではないし。別の手に入りやすいオペアンプで代替えは出来ないのだろうか?と考え、新しいオペアンプを捜しまくってみたが、めぼしいもの40個ほどテストした結果、納得出来るものはひとつもなかった・・・。

再度ショップ「JRC4558Dツヤあり」を丹念に探してみたが、やっぱり手に入らず状態。やっと見つけたのがヤフーオークションだった。出品されていた「JRC4558Dツヤあり」を私が次々に落札して使っているうちに、徐々にその落札価格は上がり始めてしまった。自分で自分の首を絞める結果となってしまったのだ。このまま数個ずつ落札し続けることは非効率的なので・・・どうするのだ?

結果として、2年前にようやくある程度のストックを持っている人物を見つけることが出来た。まずは100個を入手してみた。足元を見られてかなりの金額だったが、それでもオペアンプの在庫が出来たことはありがたかった。だが、その直後にアメリカからオーダーが入った。これが第二段階のスタートだった。オペアンプの消費が加速。さらにTWINタイプを開発したことで、消費スピードは勢いを増してしまった。自業自得。

その後もオーダーに合わせて、次々にオペアンプのストックを入手し続けていたが、ついにそれも終わる時が来た。購入先の相手のメールアドレスが使われなくなり、突然連絡不能となったのだ。こりゃ困った!もうそこ以外で私が手に入れる術はないである。私の在庫している「JRC4558Dツヤあり」は、1年以内に枯渇してしまう量でしか残っていない。

私はなぜ「JRC4558Dツヤあり」にこだわって使い続けているのか?それには二つの意味がある。ひとつはもちろん、私が欲しいと思っているサウンドがそれでしか出せなかったからだが、もうひとつは、エフェクターマニアが「禅駆動」クローンを作るには入手困難なオペアンプ「JRC4558Dツヤあり」が必要となるので、大量のクローンを作ることが難しいからだ。

ということは、逆に私自身も量産しにくいという意味となる・・・。

では今後どうするのか?そこで私は再度「現行品オペアンプ」探しの旅に出ることにした。数か月間調査の結果、あるオペアンプに狙いをつけた。20個ほど取り寄せて先週テストしてみた結果、かなりイケル感じがした。これならアリだ!しかし、いつものごとく私の耳だけでは確信がもてないので、信頼できる方に試奏してもらいたいと考えた。

本来であればすぐにでも、信頼しているスーパーギタリスト是永巧一氏に「お願い!判定して下さい!」と持ち込んで評価してもらうべきだろう。彼に「禅駆動」の最終的なサウンドをジャッジしてもらったのだからね。ところが・・・どうも是永氏は今バタバタ忙しそうだとの気配を感じる。忙しいさなかにお手を煩わせるのも考えものだし・・・どうすべえ?と考えてたところ・・・。大胆な発想が浮かんだ!

9月10日にはLAに行きヘンリー・カイザーやハワード・リースに会う予定があるので、彼らに試奏してもらうのはどうだろうか?と考えたのだ。好都合なことにヘンリーはアンプとギターを用意して私を待っているのだ。さらに彼に対して何かお土産を持って行こうと考えていたのだが、どうせなら試作品を作って行くのはどうだろうか?そのほうが新しいエフェクターに目がないヘンリー・カイザーも喜ぶだろうとね。

で、作ったのが以下の画像のエフェクターだ。回路自体は弾駆動と同じである。仮称「HENKUDO」とした。ヘンリーのHENであるし、彼は日本のマニアの間では「変態ギタリスト」とも呼ばれているし、オペアンプを変更したとの意味を込めて「HENKUDO」としたのだ。漢字で書くなら「變駆動」だろうか?「變」は「変」の古い書体である。



トップ面のデザインは、ヘンリー・カイザーが送ってきた彼自身の写真を使ってみた。両目が光っているのはLEDだ。3トーンの切り替えで眼の色が変わるように仕込んである。


果たして彼らはどのような判定を下すのか?9月10日の結果を待たれよ!


「JRC4558Dツヤあり」のサウンドについては都市伝説であるという人もいる。電気特性は現行品と同じだという人もいる。しかし、私には明らかに現行品とは違って聞こえるのだ。試しに、現行品仕様の3台とツヤあり仕様1台を作って数人のプロギタリストでブランドテストしたところ、彼ら全員が「JRC4558Dツヤあり」搭載のものを「この個体がスキだ!」と選んだ。この事実をどうみるのか?

あくまでもオーバードライブのパーツとして「JRC4558Dツヤあり」を使用した場合のサウンドは、私にとって心地良かったし、多くのギタリストが支持してくれるサウンドがそこにあると思われた。単なる都市伝説であれば、これほどまでに支持される「JRC4558Dツヤあり」ではありえないと思われるが。


本日の結論
新しいオペアンプの品番はナイショです!

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