読了的灼熱日

2010年08月18日 部屋にこもって読書に浸る!


「自由時間はいくらでも」

暑過ぎる日が続いていささか参っている。運動不足になっているのは切実に感じるのだが、散歩に出る気には全くならず、朝からクーラーかけっぱなしでひたすら室内に潜んでいる。夜になっても気温は下がらず、身動きがとれない日々が続いているのは皆様ご存知のとおりだ。まだまだこの暑さは続くようだ。

ひきこもり生活を続けていると、そろそろテレビを観るのもつまらなくなってきた。映画にも飽きてきたし、かと言ってエフェクターのオーダーもこのところ少ないし。となればひたすら読書三昧するのが、金もかからず時間をつぶす最良の作戦であろうと。で、私の部屋に積んであった本から選び出したのは・・・。

8月17日昼から読み始めたのは、
2006年出版「手嶋龍一著 ウルトラ・ダラー」この作家は、NHKの解説委員をやった方だ。911のアノ悲劇を10日間にわたり、アメリカから報告し続けていた駐在員である。NHKを辞めたあとは、作家として活躍しつつ、時々テレビにも出て様々な解説を行っている。私がこの方の本を読むのは始めてだ。


手嶋龍一

豊富な世界情勢に対する見識、情報と考察と推理、更に現地取材で構築された精密な構成で「ドキュメント・ノベル」としてかなり面白い本となっている。タイトルである「ウルトラ・ダラー」は超精巧な偽札の呼び名だ。北朝鮮が企てた「拉致」と「偽ドル」の関係は?そして、超精巧な偽ドルが世界にもたらすものとは、北朝鮮が目指すその最終的目的は?更にそれは本当に北朝鮮の企てなのか?様々な思惑、考察、推理、が複雑に絡んで徐々に全体像が見え始めたとき、極秘情報「インテリジェンス」の構造が見えてくる!そして情報の源にたどり着いた果てに・・・。主人公は、取材と称して世界各地を飛び回っているイギリスBBCラジオの記者スティーブン・ブラッドレーだ。日本語が堪能で篠笛を趣味として習っている親日家。浮世絵の世界にも精通している。なかなか面白い人物像だが、彼の実態は果たして何者なのか?



昼から読み始めて、時々うたた寝しつつ一気に読み終われば19時だった。やはりこのような小説は、一気に読み終えないと、そのダイナミズムは充分に楽しめないね。「この話はありうる!」と思わせる小説構造は「ドキュメント・ノベル」としてかなりの評価をしたい。一つ難を言えば、私はこの作家の文体がちょっと読みづらかったな。そんな感じの傑作であったがね。

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8月18日もまた猛暑の中、外に出かける気になれず、朝から読書三昧の意思を固めて選び出した本が、
2006年出版「まほろ駅前多田便利軒」三浦しをん著だった。第135回直木賞受賞作品である。


三浦しをん

職業「便利屋」の主人公「多田」が、依頼された様々な仕事に絡んでトラブルに巻き込まれていく。そこへ転がり込んできた高校の同級生「行天」。やがて「行天」は便利屋「まほろ駅前多田便利軒」に居ついてしまった。多田はそんな行天に対し邪険にしつつも仕事を手伝わせていく。いくつかの事件が起こり、それぞれが絡みあい、複雑な人間関係を創りだしていく。更に多田が持つ苦悩とその原点が明らかになり始める。



全体としてはスルリと読み通せる軽い文体で、次々にページをめくっていける感じだ。舞台は「まほろ市」にある「まほろ駅」界隈だけだ。世界観はかなり狭い。現実の街で言えば「町田界隈」の感じがする。直木賞受賞というのは、私には少し?と感じられたがね。エンタテイメントとしてはちょっと読了感の手応えが薄く感じたからだ。

で、読み終えてから気になって「まほろ駅前多田便利軒」でWEB検索したところ、現在この小説の映画を撮影真っ最中だということが判明した。瑛太、松田龍平の共演である。撮影のほとんどは「町田市」で行われているらしい。エキストラ募集の要項がWEBに出ていたが、どうも8月11日で撮影は終了したような感じだね。募集スケジュールがその日までとなっていた。

そこでこの小説とは直接関係ないが、映画のエキストラというものを経験しても面白いのではないだろうか?と思い始めた。私は長年テレビコマーシャルの世界で生きてきた。プロデューサーを長い間やっていたが、その間にエキストラでCM出演した回数はおびただしい。主役で出演した経験もあるのだ。つまり、製作する側と出演する側の両方の気持ちが分かるので、待ち時間の長い映画の世界でもエキストラとして楽しめるんでは?と考えた次第だ。自由時間はいくらでもあるので、真面目に応募してみようかなあ・・・。


本日の結論
まだまだ未読の本が溜まっている。この先も暑い日々が続きそうなので、一気に読み倒すとするか〜!

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