爽快的読書欲

2010年07月18日  待ってました梅雨明け!


窓から見える空


「男脳向けの小説」

7月17日関東地方は梅雨明けしました。窓から見える空も明るく青い空と白い雲のコントラストが眩しくて、いかにも夏ってな感じです。ここ2週間ほど気分がなんとなく下向きで、何事もヤル気がなかった私ですが、17日の朝起きた直後に久々「気持ち良い朝だね〜!」と感じました。これって、気圧の関係もあるのでしょうが、このところまとわり付いていた空気中の湿気が消えてしまって空気感が気持ち良いということも快感の一因でしょうね!

梅雨明けは精神的にもかなり私に影響を与えているようです。ヤル気が失せているときには、ダラダラと映画を見続けることくらいしかやりたいことがなかったのですが、昨日から急に本を読みたくなりました。「ウツ」からは完全脱却したと思っているのですが、このようにまだ少し影響は残っているようですね。さて、気分が盛り上がったときに買い込んでいた本が未読のまま当家にはたくさん置いてあります。その中から読みたい本を選んでみます。

で、選び出してみたのが以下の本です!2006年出版の「数学的にありえない」です。


そもそもこの本を買ったのは、タイトルが面白かったからです。これでミステリーだというのですからね。買ったあとで、検索してみるとこの本は結構評判がいいんですよ。作者のアダム・ファウアーは統計学の学者だとか。BOOK OFFで買ったので上下巻合わせて210円でした。さらにこの本を読み始めようと思った要因は、その序文にありました。

「数学的にありえない」は統計学をキーとしたミステリーです。その序文にこのような文章が書かれていたのです。

よし、それでは確率の話をしよう。まずはみんなも興味がある話・・・ロトくじについてだ。

例えば、ロトくじの中でいちばん高い懸賞金が狙える「パワーボール」の場合、当選する確率はたった1億2万千分の1しかない。ところが1997年にこのロトくじが開始されてて以来、50人以上の「確率を無視した」人たちが巨額の賞金を当てている。この地球上で最もラッキーで、最も裕福になった人たちというわけだな。ぼくにいわせりゃほんとに腹立たしいやつらだが、ま、それはべつの話だ。

さて、起こりうる確率が極端に低い事例をもう一つ挙げよう。地球に巨大な隕石が衝突して文明が消え去ってしまう確率だ。天体物理学者の計算によると、この衝突が起こる確率は、毎年ほぼ100万分の1だという。

われわれの祖先である類人猿は、700万年前からこの地球を闊歩していた。ということは、現在までに人類が滅亡している確率は、ほぼ700パーセントになる。いいかえれば、ぼくらはみんな死んでいるはずなんだ。それも1回じゃなく、7回も。

しかし、おそらく知らない者はいないと思うが、有史以後、人類は一度として滅亡していない。ではなぜぼくはこんな話をしているのか?なにも、人類は隕石の衝突で滅びるだろうといいたいわけじゃない。ここで君たちに理解してほしいのは、起こりうる確率が非常に低い事象には、ある性質が備わっているということだ。それをひとことでいうと・・・なにがどうなるかなんて、わかりゃしない。−−−−−−−−−−ディビッド・T・ケインによる統計学の講義より


どうですか?これを読んで興味がわきました?なかなか面白い例が書いてあります。確率論によれば、人類は7回も滅亡しているとね。私は大いに興味がわきました。確率ウンチク系ミステリーであろうと推察するわけです。でさっそく読み始めたところ・・・。始まったシーンはいきなりカードゲームのシーンからです。

大金を賭けた「テキサス・ホールデム」という名のポーカーに似たゲームです。手に配られた2枚のカードに、場に晒された5枚のカードの中から3枚を選択してポーカーの手を作るというもの。ポーカーと同じく心理戦が勝つための重要な要素です。さらに相手が何を2枚持っているのかを推理するために「確率論」が必要になります。この駆け引きが面白い!主人公ケインは頭脳をフル活用して確率論による計算を瞬時に行ない、相手の手を推察し続ける続けるのです。そしてその結果・・・!

ここから先は書きませんが、実に面白い!確率のウンチクにまみれたストーリー展開ですが「確率論ってなに?統計学ってなに?」と考えさせられるエピソードです。その答えはすでに序文にかいてあったのですが・・・確率が高いか低いかなんて計算したところで、現実は「なにがどうなるかなんて、わかりゃしない」ということですね。

ところで、読み始めてすぐのことでした。17ページ目のなかばを読んでいた時のことです。妙な違和感を感じました。あれ?と思いつつ再度読み返してみると・・・やはりそうでした!翻訳ミスがありました。

ケイン自身に配られたカードはハートのAとダイヤのAーーーAのツーペアだった。

と書かれていましたが、これってどう考えてもAのワンペアでしょうよ。手札と場の札の絶妙な駆け引きのシーンでこれをやられると、意味がまったく分からなくなってしまいますので、ちょっと引いてしまいますなあ。しかもこの直後にツーペアにできるかどうかで大いに「確率」で悩むシーンがあるのですからね。

まだ100ページほどしか読んでいませんが、いくつかの全く絡み合わないエピソードが無関係に進んでいます。これらがからみ合ってやがては確率論の中で収束していくのでしょう。ウンチク好き男脳向けの小説ですね。

で・・・本日一日かけて上下巻一気に読み通しました!
ウンチクあり、アクションあり、でエンタテイメントたっぷりです。「ダビンチ・コード」を読んだ時の興奮具合に似ています。上巻を読み終えるとすぐに下巻が読みたくなりますよ。小説上の文字ならではのある仕掛けがあるので、映画化はむつかしそうですがね。なかなか着地点が見えてこない小説ですが、それがより知的興味をそそって読書速度を加速させますね。面白かった〜〜〜!!!


本日の結論
読み終わったのでどなたかにプレゼントいたしましょうかね!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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