基板的玄人造
2010年01月23日 基板の製造の問題点を!


これが何であるか分かります?

「翌日には最終型が決定しました」


私が製作しているエフェクターは、すべて基板から自作しています。基板はサンハヤトの感光基板を使って、紫外線焼き込み、現像、エッチング、ホール開け、基板カット、パーツ組み込み、まで全部です。これらの作業はかなり手間なので、一度にまとめて10枚分を作るのですが、時として焼付に失敗することがあります。

感光基板は、製造時期から3か月過ぎると感光の必要時間が長くなります。先日、在庫が無くなったので久々にまとめて作ろうと作業を始めたのですが・・・在庫の感光基板は8枚ありました。1枚から禅駆動4個分の基板が造れます。感光基板は製造後6か月経っていました。3か月までは2分間の紫外線焼付で充分ですが・・・さて、6か月を過ぎるとどうなのでしょうか?

晴れた日を見計らって、太陽光の紫外線で焼付してみました。とりあえず2分半です。ところが、現像してエッチング液につけたところ何も反応しません。「なにこれは?」もう一度3分でやってみました。これもまたダメです。何も反応なしです。では4分でどうでしょうか?今度は2枚まとめてやってみました。しかし・・・今度はエッチングが開始されてある程度行ったところで止まってしまいました。マダラになっていてとても使える仕上がりではありません。ここまでで4枚も失敗してしまいました。あああ・・・。あああ・・・。

そこまできてようやく、原因は焼付だけではないことに気づきました(遅いっちゅうの!)現像液の温度が低すぎたようです。この冬一番の冷え込んだ日でしたからね。そこで新しく現像液を作り直し、かなり温度を高めにしてみたところ、先程の失敗が嘘のようにキレイに仕上がりました。な〜んだ!温度管理の失敗じゃん!と自分で自分に呆れつつも、無事に残りの4枚を仕上げることが出来ました。これで禅駆動16個分の基板が取れます。ひたすら作業を夜まで続けて、16個全部のパーツの組み付けが完了致しました。

なんてな失敗作業が時々起こります。歩留まりが悪いときにはガックリ来ますが、自作するのでしょうがないかなと諦めていたのですよ。これで手持ちの感光基板の在庫が切れたので、ネット注文しつつ、エッチング液も東急ハンズに買い出しに出かけました。これで基板80個分の材料が揃いました。当分はこれで対応できるはずです。

実は、半年前から「基板の外注」を考えていました。基板だけでも作ってもらえれば作業効率がかなり上がりますし、廃液処理などの面倒な作業からも開放されます。部屋中に変な薬品の匂いが撒き散らかされることもなくなります。もちろん作業ミスでガックリ気分を味わうこともなくなりますしね。

いくつかの外注出来そうな基板製造会社のWEBを巡って、発注方法やコストを知ろうとやってみましたが、その世界にはその世界のセオリーやルール、用語があり、なかなか理解するのが困難でした。結局、オーダーするにはガーバーデータを作成しなければならないようで、現時点の私はそれに対応出来ません。ということでしばし諦めていました。

でも、基板製造は必須ですが・・・自作すれば先程のように失敗することも多くてね。と悩んでいたんです。私が外注するとすれば、量産とは言え、何万枚も注文するはずがありません。1回のオーダー量は最大に見積もってもせいぜい100個分〜200個分でしょう。製造業者にとってはあまりありがたくないオーダーのはずですが・・・。

と、ここまでが前置きです。

1月12日にご報告したkazuさん主催の「サンタナナイト」について、1月15日に掲示倉庫へ書き込みがありました。そこから先が面白い展開になりましたので、本日はその状況についてご報告いたしましょう!

その掲示板への書き込みは「カルロスやっさん」というハンドルネームの方でした。私と同じPRS SANTANA IIを所有されているご様子。ハンドルネームの通りサンタナ好きで、ライブもやられている様です。還暦ライブもやられたと書いてあるので、当然60歳過ぎであると推察出来ます。次回の「サンタナナイト」は参加したいとの意思もあるというので、一度ご連絡しておいたほうがよろしいだろうとすぐにメールを差し上げました。

やがて届いた返信メールで驚きました。「カルロスやっさん」は会社社長であると。しかもなんと「プリント基板の設計・製造会社」を経営されていると言うのです!これは〜〜〜渡りに船か〜〜〜?さっそく質問メールを送りました。当方の状況と、小ロットでの製造が可能かどうかを聞いたのですが、可能であると。極端に言えば、基板1枚から対応してもらえるとね。

そうなると、当方で用意しなければならない必要データは何でしょうか?専用のソフトを使ったデータ作成は出きないのですが・・・。嬉しいことに知らされたことは「現物の基板を提供してもらえればそのままコピーを作ることも可能ですよ」でした。そうか、いざとなればその手もあるのですね。でもせっかくですから、プロはプロなりのご提案もあるだろうと新しく設計してもらうことに。回路図と基板パターン、現物の写真を送ってまずは検討してもらうことにしました。

すると翌日には早くも、返事があり私が提出したデータで回路設計してみるとのご報告が。素早い対応で嬉しい限りです!さらにやりとりが続き、ひとつの提案がありました。当方からも改善点を連絡して、設計を続けてもらいました。さらに、いちど顔合わせをしておいた方がよろしかろうと、1月22日の午後に先方の会社まで出かけました。

にこやかな「カルロスやっさん」と話し込むこと3時間。いろいろ面白い話をきかせてもらいました。なおかつ勉強になりました。さらにその場で、弾駆動のご注文もいただきました。ありがたい事です。ついでに「GAKUYA1号」をご披露したところ、これまた気に入っていただけて、オーダーされたいとの話がありましたが、今後さまざまなご迷惑をおかけすることを考えて、1台作ってプレゼントすることにしました。お互い顔を知っていると言う安心感がありますね。

そうそう、私がかつてテレビコマーシャル制作会社でプロデューサーをやっていた話をしたところ、コマーシャル制作会社に知っているとても仲の良かった方がいるというので、お名前を伺ったところ、なんと私がかつて働いていた会社のもと社員でした。驚きです!3年ほど前に亡くなった方なのですが・・・。

面会しに行った夜にメール添付でPDFが届けられました。 新しく設計された「禅駆動回路基板」のパターンです。私がこれをチェックして問題なければ一気に量産に入ります。フムフム・・・なるほど!プロはこういうふうにレイアウトするのか!と目が覚める思いの変更点がありました。私はそれに1か所だけリクエストを出して、翌日には最終型が決定しました。

量産基板は5日で完成するそうです。いちどオーダーしてしまえば、製造データは残るのですから、次からは追加オーダーだけで済みますね。助かりました!「カルロスやっさん」ありがとう〜〜〜!!!ところで、量産のコストですが、初期費用はある程度かかりますが、追加の基板作成は思ったより安いんです。自分で作る場合の材料費を考えると、同じ量の基板を作る場合、絶対的にプロに作ってもらった方が安いんです!しかももちろん精度も高いですしね。以下の画像は、プロが作る場合の禅駆動基板レイアウトです。1枚の基板でシングル用12枚とTWIN用4枚が切り出せます。



完成品が届いたら再度ご報告致しましょう!


本日の結論
買ったばかりの自作基板材料80個分どうしよう!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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