工作的精度感
2007年06月17日 日々造り続けていると!


このところ立て続けに造ったブツだ!

「コンデンサと半田の違いで」


4月にオペアンプを使った電子工作に目覚めて以来、いくつかの小型ギターアンプ作品を作り出してきた。何のために使いもしないものをいくつも作っているのかと問われれば「そこにオペアンプがあるから!」と答えるしかない。あえていえば「造り続けると新しい知識が集まって来て面白いから!」も加わるだろうが、それ以上の理由はないのだ。

1号機の「SMOKY AMP」クローンは1個作るだけで七転八倒し、調査から完成まで10日ほどかかってしまった。と言っても、この回路にはコンデンサが2個とオペアンプが1個しか使われていない簡単なものだ。ちょっと慣れれば誰にでも作れる回路なのである。

その後、いくつかの回路に手を出しトランジスタを使用した回路も作ったことで徐々に複雑な回路が理解できるようになってきた。だが、回路が複雑になってくると別の問題も出てきた。「発振」である。ピ〜〜〜という音が突然出始めたのである。音源は何もないのだが、電気を流すとオペアンプが自動的にその音を作り出してしまうのだ。

原因を追及しているうちに、登録会員諸氏からのご指導もあり、いろいろ見えてくることがあった。まずは、基本中の基本である「半田付け」の問題である。極力少ない半田量で作業できなくてはならないが、私はどうしても「イモ半田」になりがちだった。よ〜く観察してみると、半田ゴテの先端が折れて平らになり、半田が溶けすぎてしまうことが判明した。すぐにヤスリで先端を尖らせたことで、半田の溶ける量が劇的に減少し精密な作業が可能となった。

次に目覚めたのが、基盤のクリーニングである。半田は作業中に微細な破片が飛び散ることがある。それに気づかず放置しているとノイズの原因やショートの原因になってしまうのだ。回路を組み上げた後は、配線の隙間を丹念にクリーニングするようにしてみた。これでまたもやトラブルが少なくなった。

そして、最終的な問題としてわかったことは、オペアンプによって回路を変えなければならないということだった。どういうことかというと、最初に使った「NJM386D」はその後もいくつかの回路バリエーションを作ったため、すっかり組み込みに慣れてきた。そこで次に出力が倍の「NJM386BD」を手に入れて使ってみた。出力1wの「SUPER SMOKY AMP」を作ろうと試みたのである!

しかし!回路を組んで「NJM386BD」を挿入してみるとすぐに「発振」が起こってしまった。「NJM386D」を入れ直してみると何も問題ない「SMOKY AMP」の回路である。回路の工作自体は問題ないはずだ。ところが、オペアンプの出力が倍になっただけでお手上げになってしまったのだ!ということは「NJM386BD」ではオリジナル「SMOKY AMP」回路は成立しないのである!

そこで対策と研究のために、パーツを追加して、どこまで増やせば「NJM386BD」で回路が成立するのかを検証することにした。まずは、電源回路にコンデンサを平行に2個追加してみた。100μFと0.1μFだ。「発振対策のセオリー」のようだ。これでいわゆる「発振」は見事に止まってくれた。

めでたしめでたし!と思われたが、実際にギターにつないで音を出してみると、指で弦を触れたときにパリパリとしたノイズが大きく出てきた。なんとなく静電気が飛び交っているようなチリチリした嫌な音なのだ。さらに出音全体が揺れていた。とても不安定な音である。

そこで、次の対策は出力のラインに並行してコンデンサ0.22μFと抵抗10Ωを挿入してみた。これまた仕様書で推奨していた「回路の常識」であるようだ。すぐに出音チェック!おお〜〜〜問題ない!問題ないぞ〜〜!!!これが「NJM386BD」を使いこなすために最低限必要なパーツを並べた回路なのか〜!

最低限であるがゆえに、出音はもうちょっと何とかしたいと思えた。そこでさらに入力に3.3μFのコンデンサを追加、出力用のコンデンサも容量を220μFに取り換えてみた。うふっ!これだよ〜!これだよ〜!これが欲しかったんだよ〜〜〜!!!というわけで「SUPER SMPKY AMP」回路の完成である!回路に手を加えすぎたので、もはや「SMPKY AMP」の範疇からは外れているような気もするなあ。

ちなみに、電池が消耗して来るとサウンドが怪しくなる。回路が変だと必死でチェックしていたら、微妙に電圧が下がっていたと気付いた事も何度かある。それ以来、出来上がりをテストするときは必ず新鮮な電池を使うように心がけているぞ!

さて、今回のケースは「ドイツ製のミントキャンディーの缶」だ。半月ほど前に女子社員が食べてたのを見つけて「空いたら頂戴ね!」と声をかけていたのだ!それがようやく手に入った。今回のテーマは机の上においてあると「見た目はただのキャンディー缶だが実は1w出力ギターアンプ!」という路線を狙ってみた。

スピーカーは4w8Ωの小さなものである。缶の底に下向きに取り付けた。缶の底面にゴム足をつけて床面とその足の隙間から音を出すという構造である。内蔵スピーカーはその程度の音で使うと割り切ってデザイン優先にしたのだ。ちゃんとした音を出したいときは外部スピーカーに出力できるので使用上の問題はない。



さらにパイロットランプのLEDも底面に取り付けた。この光もやはり缶の底と床面の隙間から光を洩れさせる計算だ。夜に机の上で使うことを考えたデザインである。だが・・・LEDの光はほとんど拡散しないので外まで漏れてくる事は無かった・・・ううう・・・。

サウンド コントロール系はまったくない。ボリュームはギターで調節するのだ。内部スピーカーのサウンドは、サイズが小さいしケースの容積もかなり小さいので、チープなものだ。だがこう見えても、低音を少しでも出そうと一応「バスレフ型」で作ってみたのだ!実にケナゲである!だが・・・この構造ではバスレフは成立していないのも事実である!(なんだよそれ?)

外部スピーカーはメサブギーのスピーカー「セレッション ブラックシャドウ」でテストすることにした。わははは!わははは〜〜〜!!!さすがに1w出力である!リビングルームにバカでかいサウンドが飛び出してきたのだ!こりゃ〜〜〜いいぞ〜〜〜!!!音質もそこそこ使える甘めのサウンド!こいつもお気に入りだ〜〜〜!!!

ケースの加工も含めて、今まで試行錯誤を繰り返したおかげで日に日に工作精度が上がっていくのを感じる。てなことで腕試しに、余った「NJM386D」で「SMOKY AMP」クローンを再度作ってみた。今回はスパゲティソースのガラス瓶がケースだ。実際にはこんなに大きなケースは必要ないのだが、とりあえず目の前にあったから使ってみた。

コンデンサは高級品を採用した。といっても1個当たり20円程度しか違わないのだが。作業は瓶の蓋加工から始まってトータル約1時間で終了した。かなり手慣れた感じがする。当初のころあんなに苦労していたのがウソのようだ!必要パーツはかなりコンパクトにまとめられ、仕上げはスイッチONで瓶がボンヤリ光るようなLEDの配置にしてみた。



サウンドチェックしてみると、1号機に比べて明らかによくなっていた。音に厚みが出て、ヌケが良くなっている。ハイも出ている気がする。たったこれだけの回路でもコンデンサと半田の違いでこんなにグレードアップするんだなあ〜!!!


追伸
今回もまたプロギタリストの是永巧一さんに作品の試奏をお願いした。ハイも倍音もちゃんと出ているが、低音がブーミーであるとの評価だったので、すぐにティッシュをケースに詰め込んで消音材代わりにしてみたところ、コレが大正解!見事に低音部がしまったのである。最終評価は「楽屋で使える!」であった!是永様ご協力感謝!


是永様試奏風景

本日の結論
まだまだ駄作製作は続きそうだなあ〜!

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