六弦的遠試奏

2006年01月17日 この機種知ってる?


HAMER Duotone GDOS'59

「たっぷり楽しんでからでいいっすよ! 」

物欲が薄れて行くのも「鬱」の症状の一つである。物欲だけでなく全ての欲が薄れて行くのだ。そして残るのはただ一つ睡眠欲だけ。実に眠い日々である。こうなると今まで欲がらみで色々こだわっていたことが「なんでだっけ?」と思えるようになる。そして昨年末にギターを1本譲渡してしまった。名器「パーカー」である。手に入れたときはあれほど欲しかったはずなのに「譲ってもらえませんか?」の一言に「ああ、いいっすよ!」と即答する私だった。なぜだろう?

そして年が明けてすぐに、登録会員の福浦様より又してもギター購入の相談を受けたのである。何に使うの?どんなのが欲しいの?とメールを交換して行くうちに「エレアコが欲しいんだけど本音はエレキも・・・」と贅沢なことを言い出した。ううむ・・・「それならうちのヤツがいいぢゃん!」と再び選び出したのが当家のコレクションである「ヘイマー デュオトーン」だった。マグネティック・ピックアップとピエゾ・ピックアップ両方が楽しめる機種である。滅多に売っていない機種だし、定価はかなりするのだが、価格も私が落札した激安値段で譲渡すれば相手も喜ぶはずだ。

とりあえず、欲しがっている本人が触ってみないことには「イケテル機種」かどうかは分からない。まずはギターを御送りして試奏してもらうことにした。もちろん試奏して気に入らなければ返してもらうことになっている。ところが相手はアンプを持っていないのだ。試奏が難しい環境である。そこでアンプの相談も受けてしまった。こうなれば乗りかかった船である。相手の意図を汲み取り程よい容量のアンプをご紹介したところ翌日にはもう通販で手配済みであった。シールドも買うと言う。

こうして着々と相手の準備が進む中、私は「ヘイマー デュオトーン」を発送した。久々のギター発送で梱包に手間取ったが、プチプチとハードケースで最低限の保護を施してヤマト便へ預けた。宮崎県まで送り届けるためである。ちなみに届け先は私の実家の直ぐそばなのだ。

我々の世代で中高生のころ田舎暮らしを経験していたかたがたは「エレキギター」=「不良」のトラウマから抜けきれない。「ヘイマー デュオトーン」を御送りした福浦様も当時の私の同級生なので、そのトラウマから抜けきれないのである。てなことで不良と思われないように「エレアコ」を買おうかと思っていたらしい。どうしても「エレキ!が欲しい!」と大声を出して言えない世代の悲しみが漂う!当人はエレキを一度も弾いたことさえ無いのだ!

「ヘイマー デュオトーン」はエレアコのほぼ代名詞であるあの「オベーション」を造っている「カーマン」が制作している。つまり「ヘイマー デュオトーン」は「エレアコ」と言えばエレアコなのである!が、マグネティック・ピックアップもついているのでエレキの音も出せるという、実に今回の相手には「周りの人々に言い訳し易い」ギターなのである。更に軽量である。足腰の弱った中年にはありがたい重量なのだ。

ところで、今これを読まれている方々のうち「ヘイマー デュオトーン」を弾かれた経験がある方はどれくらいいるのだろうか?私の知る限りかなり生産本数の少ないギターだったようで、私が所有していたブツ以外で目撃したことが無い。店頭ですら観たことも無いのだが。

さて、福浦様からは無事に受け取ったとのメールが届いた。2週間程度試奏して譲渡してもらうかどうか決定するという。決心するのは、たっぷり楽しんでからでいいっすよ!



本日の結論
こうして他人の為に体を動かせるようになったのは「鬱」が軽くなって来たのかなあ・・・。

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