調律的諸疑問

2005年04月12日 この先どのように解決すれば良いのだろう?


象牙サドルが届いたのだ!


「弦の押さえかた」

本日は、かなりマニアックなサドルの話しだけだ。六弦無関心派はパスしていただきたい。

最近、BugsGearのサドルを自作し交換するブームがtanabe.tvの中にある。私はそのブームをさらに加速するために高級サドル材である「象牙」を手に入れた。この件は過日に御報告した通りである。だが、いざ加工を始めてみるとかなり手強い事が分かった。当家の環境で端材から美しいサドルを削り出す事はかなり困難であると私は早くも諦めムードなのである。

そこで数名の自作派登録会員の方々に、御相談を持ちかけてみた。「どうやってブランク材までの概形を削り出せばいいの?」御親切にもいくつかのアイデアをいただいたのだが、やはり「象牙」は手強い相手だと感じさせる内容だった。さてどうしよう?と考えつつも経験者に実際に加工してもらって感想を聞くが早い道筋だろうと画策した。

そもそも、私が手に入れた「象牙端材」がサドル用に真っ当に使えるのか?その検証も必要である。まずはバンホーテン嘉村様に端材2本をお送りして検証してもらう事にした。そして、その検証結果はすぐに返って来た。端材2本からBugsGear用サドルが4本取れたのだ!そのうち2本を当方へ送ってもらえる事になった。これが上手く行けば、手元にある残りの象牙材からある程度の量を渡し増産をお願いすることも考えられる。私が材料を無償提供し、完成したサドル数の50%を戻してもらうことでバーターとしようか。 てなことで、昨日さらに追加象牙材を5本お送りしたのだった。

そして検証の際に出来上がったサドルが2本、本日当家に到着したのである!1本は、微妙な仕上げは自分の好みにあわせられるように100%の完成まではされていないが「ほぼ完成型」だ。もう1本は完全なる「ブランク材」だ。概形だけ削り出してあるので、後は自力で細かく仕上げなければならない。ブランク材の提供は私が勉強の為に望んだ事だ。



まずは、オリジナルサドルを象牙サドルに交換し、そのサウンドの違いを聴いてみよう!

DT-50TLを用意した。オリジナルのBugsGearサドルを外し加工済み象牙サドルに入れ替えてみた。が!!!そう簡単な話ではなかった!ブリッジのスロットにサドルが入らないのである!なんだこりゃ?とノギスを取り出し計ってみるとオリジナルより0.2mm厚み多かった。ううむ・・・削るしかねえか!とサンドペーパーを取り出し象牙サドルを寝かせて削り出したところ、すでにかなり細く薄く加工されているので、なかなか上手くサンドペーパーの上を滑らせることができない。結構辛い作業となった。

少しずつ削ってはブリッジに乗せ確認しつつ、何とか30分かけてちょっとキツめにキッチリ差し込めるように加工は完了した。削る際に「象牙臭」が漂っていた。あまり良い臭いではないなあ。だが、この臭いを耐えて嘉村様にここまで加工していただいたのだ!ヒジョ〜にありがたい事である!それでは、弦を張ってみよう!きっちりチューニングを終えコードをストロークした!

おおっと!予想していたよりもカドがとれた厚みのあるサウンドが飛び出して来たぞ!ふくよかなサウンドに感じる。ワンランク上の気持ちよい音に感じるなあ。もともとメイプルのパキパキッとしたサウンドが特徴のギターだったが、そこに音の厚みが加わった感じがする。その分だけ高音域がやや丸くなった感じだ。

さらに・・・ううむ・・・確かにボディー全体に弦の振動が届いている感じがする。触ってみるとTOP全体が振動しているのがはっきり分かる。左手指先に伝わる振動量が先ほどまでと明らかに違っているなあ。弾いていて指先が気持ちよい振動に包まれる感じだ。ナット1本でここまで変わるんだなあ!

BugsGearオリジナルのサドルでも結構気に入っていたギターだったのだが、こうなると別物に感じる。BugsGearが正式にカスタムオーダーを受け付け始めたが、その選択肢の中に「象牙サドル」があるのは、懸命な対応であると思える。カスタムオーダーにするなら「象牙サドル」を選ばれると、きっと後々ニンマリすることになりそうだなあ!

さてと、次のステップはどうしようか?このまんまでも良いのだが、もっと突き詰めてみよう!

最近手に入れたMcNaughtは「バズ フェイトン チューニング システム」がインストールされている。「バズ フェイトン チューニング システム」を荒っぽく説明すると「ナットから第1フレットまでの距離を理論値より微妙に短くすることで、全フレットのチューニングのズレを補正するものである。この補正の量はギターの種類や弦の種類によって変化する。さらに、サドルにも調整を加えることでそれは完成する。だが、このチューニング方法は専用のチューニングメーターを使わないと開発者の意図通りにはチューニング出来ない・・・」ということがようやく私に理解でき始めたところだ。

McNaughtを弾いてみると確かにコード感が気持ちよい。音のうねりがほとんどないと言うか、音に濁りが少ない感じがする。 この状態に、手持ちのギターがすべてなってくれえば良いのだが、そう簡単には行かないなあ。大まかだが補正値を知る事が出来たので、1本だけ「バズ フェイトン チューニング システム」モドキのDT-50TL用ナットとサドルを試作してみる手はある。かなり精密な作業を要求されるので準備に時間がかかりそうだが、やってみる価値はある。それによってギターそのものが壊れるわけではない。結果として「だめじゃん!」と感じたらパーツは元に戻せるのだからね。

などと、大それた事を考えているうちにある疑問にぶちあたった。

12フレットのハーモニクスと実音の音程を同じにするのがギター・チューニングの基本である。今までもそのやり方で所有しているギターを長年整備し続けて来た。だが、先日チューニングしている時に「12フレットの実音は何をもって基準とするのか?」と考え込んでしまったのである。ギターの弦は指で押さえる事によってわずかにテンションが強くなる。と言う事は音程がシャープする事を意味する。

「バズ フェイトン チューニング システム」ではチューニングは微妙な部分でわざとずらして全体のバランスをとるようになっている。専用チューナーで音程の1セント単位で調整しなければならない。だが・・・私が12フレットの実音を出すと、その時の押さえ具合で簡単に数セントのズレが生じてしまうのだ。く〜〜〜〜っ!これではせっかくの 「バズ フェイトン チューニング システム」も意味が無くなってしまう。

てなことで、私はサドル調整の際にはなるべく肩の力を抜いて「普通の押さえかた」を再現するようにしているのだが・・・。プロのギター製作者の方々はその部分をどうされているのだろうか?「弦の押さえかた」が非常に気になり始めた昨今なのである!



本日の結論
今日のネタはほとんどマニア向け?

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