六弦的冷却化
2004年11月23日 冷やすとどうなるのか?
 



「冷やしギター」

宮崎には「冷や汁」なる食べ物がある。簡単に説明すると、冷えたみそ汁を熱いご飯にぶっかけて食べるような感じだが、「冷や汁」はもっと上品で手が込んでいる。「冷や汁」には焼いた鯵が溶かし込まれていて香ばしく、薄くスライスしたキュリやミョウガ、豆腐、ごま等がたっぷり加えられ、キンキンに冷やした汁とアツアツの麦飯の組み合わせは、夏の味覚としてなかなかのものである!ちなみに「冷や汁」は「冷やし汁」の短縮した呼び名であろう。


冷や汁 盛りつけ例


「冷やし」といえば「冷やしたぬきそば」や「冷やしきつねうどん」等がポピュラーだが、他には「冷やし中華」が有名な夏の定番料理だ。かつて「冬でも冷やし中華が食べたい!」と活動を開始したグループがあった。ジャズピアニスト山下洋輔氏が音頭をとり、活動を開始した「全日本冷し中華愛好会」(全冷中:ぜんれいちゅう)はかなりマジなジョークであったと記憶している。これが私の記憶に残る最初の「冷やしネタ」であったなあ。だが、これはまだ「冷やし中華」という現実に存在するものがその中心にあり「ジョークの構造」として素直すぎたのだった。

でそれから20年以上経過し、昨今耳にした「冷やし」ネタはもっとシュールさを持っていた。本来冷やすべきでないものをむりやり「冷やす」とどうなるのか?つまり固有名詞の前に「冷やし■■■」と付けるとどうなるのか?それはどのような状況を表すのか?ふっふっふ・・・その話を小耳に挟んだとたん!ネタとして育てたくなったのだ!では、コレより即興で書きまくってみる!どうなるかは結論は神のみぞ知るというわけだ!

私が先日耳にしたのは「冷やしギター」なる言葉だ。この言葉を掘り下げてみよう!

実にシュールなネタを振られたものである(振られたのか〜?)「癒しギター」ならまだ状況として日本語が成立するが「冷やしギター」だと風景が見えにくい。となればそのような状況がどのようなものか解明したくなる。「冷やし」は「冷凍」とは違うだろう。ギター本体に霜がたっぷり凍りつくような冷凍庫内の画像を想像してもらっては困る!(こまるのか〜?)あくまでも「冷やし」に止めなければならないのだ。

物理的に考えると、冷やしたギターは弦の金属が収縮するので、音程がシャープするはずだ。そこで慌ててチューニングをしようとすれば、体温が伝わり「冷やしギター」が「温もりギター」になる。そうなると「冷やしギター」ではいられなくなる。つまり「冷やしギター」を存在させ続けるためには、チューニングしてはならない事になる。

弾くために「冷やしギター」を抱えると、必然的にこれもまた「温もりギター」になってしまう。これではせっかく「冷やしギター」を作った意味が無い。そうなるとチューニングどころではなく、弾く事さえ拒否せざるを得ないギターということになる。うおおお〜〜〜!なんということだ!

かつて爆発の芸術家「岡本太郎」が製作した「座る事を拒否するイス」なるアートがあった。「冷やしギター」は存在そのものが「座る事を拒否するイス」に準じるアート行為なのではないだろうか?そうか・・・「冷やしギター」はアートだったのか・・・。深いなあ・・・(深いか〜?)

違う解釈は出来ないだろうか?弾く事が出来る存在の「冷やしギター」はあり得ないのか?ううむ・・・「ギターを物理的に冷やす」と解釈していれば、これ以上の展開を考えるのは難しいが、ギターによって「何かが冷やされる」と解釈すればどうなのだろうか?「何かを冷やすギター」という意味での「冷やしギター」である!

例えば・・・わざとフレット音痴に作られた絶対にチューニングが合わないギターは「冷やしギター」と呼べないだろうか?「アンチ・バズフェイトン・システム」つまり「A・B・S」搭載のギターである!(おいおい!またそれかよ〜!)演奏者や聴衆の心を冷やす存在のギターであるとは言えないだろうか?

では次に「バーチャルな冷やしギターは存在するのだろうか?」を考えてみよう。この場合の「バーチャル」とは現物のギターが存在しない状況を呼ぶ。存在しないものを呼ぶのはかなり難しいなあ・・・ううむ・・・例えばこんなのはいかがだろうか・・・。

価格が¥100,000-だと思ってインターネットで通販ギター注文したら、実は¥1,000,000-だったと判明した場合・・・「肝を冷やす」状況となりますなあ〜!この場合はモノとしての「冷やしギター」ではなく、状況を「冷やしギター」と呼ぶのだろうなあ!

もう一度、現物ギターの話に戻ってみよう。弦に影響を与えない「冷やしギター」とはどのようなものだろうか?例えばギターのボディー裏に冷却装置を設置し、夏場の演奏者を冷やす場合問題はあるだろうか?ギターはボディーを振動させる必要があるので、サウンドのためにはなるべく余計なパーツが付いていない方がよい。余計なパーツがあると、その接合部分で振動が吸収され衰退してしまうからだ。PRS SANTANAはそのため「裏蓋」さえオリジナルでは取り付けていない。そうなると、「冷却装置付き冷やしギター」はサウンド的にサイテーなギターとなる恐れがあるなあ・・・。


PRS SANTANA


どうも「冷やしギター」は「まっとうには存在できない」ようだ・・・。

ん?いやいや!まだ他にも視点を変えると残っている状況がある。
このような「冷やしギター」ではどうだろうか?

「ゼマイティス」のように珍品もの、あるいは将来値上がりが期待されるレアギターを長期間寝かせるために、金属パーツが酸化しないよう真空パックにして大型冷蔵庫の中で保管する場合はどうだろうか?ううむ・・・やはりこの場合も「弾けないギター」になっちまうなあ・・・。やっぱりだめか〜!



本日の結論
「冷やしギター」魅力的な言葉だが・・・。
いくら考えてもギターは「冷やす」べきものではないようだ!
ってなことで、ボケをかましてみました。


追記
"冷やし"なんですけどね。あれは、いわば期間限定でして今年の夏が余りに暑かったんでせめてこう...響きだけでも涼しいのがいいななんて。あと、その頃多国籍バンドでリハをやってまして、そのとき、"Oh,man,It's hiyashi man!"なんて言ったらうけちゃって。ようするに、"冷やし"="KOOL!" つまり"冷やしギター"=凄いギタープレイってゆうことなんですよ。(是永様 談)

------------------------------

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



GO TO HOME PAGE