超人的逝去報
2004年10月13日 いろいろ思い出すなあ!
 


映画「スーパーマン」(78年・米)の主役で人気を集め、
95年の落馬事故でほぼ全身がまひしてからは
車いすで医療問題などへの発言を続けた俳優クリストファー・リーブさんが
10日、ニューヨーク郊外の病院で死去した。52歳だった。


「1978年と言えば!」

10月10日。クリストファー・リーブが亡くなった!52歳は私と同じ年齢なので、いささか複雑な思いである。

このニュースに接して私の記憶がまたしても1978年へと引き戻されてしまった。何故、クリストファー リーブで1978年の記憶かと言うと・・・。CM業界人はほとんどが入社後1年過ぎた頃には、海外ロケに参加していた。だが、私は巡り合わせが悪かったり、ロケが土壇場で中止になったりとなかなか海外ロケに行くことが出来なかった。

私はようやく業界に入りして5年目で、初めての海外ロケに参加することになった。それが1978年だったのだ。
そして、その行き先はU.S.A.のハリウッドだった。当時、ハリウッドのチャイニーズシアターでは封切りされたばかりの「スーパーマン」で大盛況だった。ホテルは、チャイニーズシアターから歩いて10分程の距離だった。昼間は仕事で忙しかったので、夕食後に最終回を観ることにした。

初めて1人で入る外国の映画館。もちろん日本語のスーパーは入っていない(あたりまえだっちゅ〜の!)アメリカ人の映画に対するリアクションに大笑いしながら最後まで楽しんだ。映画館を出ればもう深夜0時をとっくに過ぎていた。そのまま徒歩でホテルまで戻ったのだが・・・。

翌朝、仕事のロケ先で前夜の映画の話しをしていたら、突然アメリカ人スタイリストが私に向かって説教を始めた!なんのこっちゃ?とコーディネーターに聞いてみたところ「深夜に1人で出歩くなんてクレージーだ!二度とやるんんじゃない!」と喚いていたのだった。そして驚愕の事実を知ることになる。私達が宿泊して居たホテルは、私が到着する前日の夜にピストル強盗が入ったと言うのだ。日本人若造がが深夜に独りで歩いていてよく無事だったと、呆れられたのだった。

それを聞いて私は初めて「ぶっそうな国に来ちまったなあ!」と感じはじめたのだった。実はその数日前にロスアンジェルス空港に到着した時、税関を出てバゲージの黒人にいちゃんにトランクを渡したら「料金は5ドルだ!」と言われ素直に支払ったばかりだったのだ。当然、空港でそんな金を支払う必要は無かったのだが、アメリカ初上陸の足下を見られていたようだ。公共施設でこのようなダマシは日本ではあり得ないので、なんだか気分が凹んだものだ。

そうこうするうちに、1週間のロケーションは終了した。自由時間がまったくない1週間だったので、帰りの日、空港に向かうその足で「ギター・センター」へと急いだ。今も私の手元にある Gibson LP Custom を手に入れるためだった。当時はまだドルが高かったので若造の私にはキツイ金額だったが、日本で買うよりは半分程度の価格だったので思いきって新品を買うことにした。そこで店員に日本に入る際の税関で必要だからと、領収書を書いてくれるよう頼んだのだが、これがトロかった。いつまで経っても出来上がらないのだ!飛行機が出る時刻は迫っている!

やがて領収書を手渡された時には「やべえ!間に合わね〜ぞ!」と試奏する時間も無く、かっさらうように店を出たのだった。案の定、空港に到着してみれば、出発ギリギリの時刻だった。当時の上司からこっぴどく叱られたのは懐かしい思い出だ。帰国して成田で驚きの現象が起こった。私が税関で業務用の「カルネ」の手続きをせねばならなかった。それが終わった時、ふと周りを観ると、もう誰も並んでいる帰国客はいなかった。

すると!「こちらのケースを開いて下さい!」とGibson のケースを税関員が指差した。おっと!来たか!ケースを開いた。ピッカピカのGibson LP Custom の出現である。そしてその弦の間に領収書が税関員に金額が見えるように挟んであったのだ。その領収書には「USED」と表記されていた・・・。これは税金をセーブするために私が店員に頼んでそう書いてもらったのだが・・・。それを観ていた税関員が突然!他の税関員に声をかけはじめた!

6名の税関員が私を取り囲んだ。いささかたじろぐ私である!まいったな・・・。なにやら全員が Gibson LP Custom を指差しながらコソコソ話していた・・・。どうなるのだ私は!これだけの事で逮捕されてしまうのか?エロ本を持ち込んだわけじゃなし、麻薬を密輸したわけでもない!何がそんなに問題になっているのだ?なんとか言ってくれよ〜!

「このギターは中古品ですか?きれいですね・・・」

「はい!中古品をリフィニッシュした物です。安いから買ったんですよ!」

思いきってそう答えた。又しても税関員はなにやらコソコソと話しをしていた。
ううむ・・・どうなるのだ・・・と、私の緊張感が高まったその時!税関員はあっさりこう言った。

「なかなかこのようなギターを見る機会がないので、全員の勉強の為に拝見致しました。
 有り難うございました!他に申請する物はありませんか?そうですか、それでは結構です!」

ヘナヘナと崩れ落ちそうになるのを必死に堪えながら、私はカートを押しつつ税関を出たのであった。ううう・・・。




本日の結論
タイトル「六弦的夜急襲」はもちろん「九州」を意識して付けたのだ!

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