六弦的蔦指板
2004年09月12日 その後の展開をご報告!


これが ツリー・オブ・ライフ


「一瞬にして巧みな計算を行い」

事の起こりは・・・。ギターメーカー「BugsBear」のWEBに書いてある「妙な日本語」の羅列に突っ込みを入れた事だった。ツッコミメールを送ってみて分かったのは、韓国人のオーナーとその知人で作っているWEBであるということ。まだ新しい会社で、全く日本人が介入していないので日本語の文章チェックが出来ていない事実が判明した。

そして、その週末に韓国人オーナーと会う事態となり、かなり突っ込んだWEBの問題点を指摘するに至った。いくつものプリントした訂正文をお渡しして、納得できれば訂正するようお伝えした。商品の画像にも問題がありそうだったので、指摘しておいた・・・。ここまでは私の知的興味を満足させるためのボランティアである。お返しは、ギターを試奏させてもらえばそれで充分だ。

何本かのギターを触ってみて試奏して「鳴り良し!仕上げよし!リーズナブル!」との結論に至った。私はその時点で気に入ったのだ!そして、帰りにオーナーは私にモニター用としてのギターを2本託された。「BugsBear」ファンを増やして欲しいとの思いからであった。

ちなみに「BugsBear」のギターにはデフォルトでピックガードが装着されていない。これは、せっかく鳴りの良いギターを作ったのだから、少しでも鳴りを殺したくないとのオーナーの思いからである。どうしてもピックガードを付けたいユーザーには1,500円のオプションとなっている。

自宅に持って帰ってからすぐに、トラスロッドを回して弦高を自分の好みに微調整。弾きやすいギターがさらに弾きやすくなったのだ。まずは誰に試奏してもらおうか?手っ取り早く私がジャズギターを習っている「ジプシー手塚 ジャズギター ゼミナール」に持ち込んでみるか!生徒さんもいる事だし!そうしよう!

で、次の練習日が来るのを待っていた先週の出来事。

突然、登録会員某氏から「プロ用の照明機材を4セット手に入れたのですが、うちでは使いようがないので、よろしかったら買い取ってもらえませんか?」との打診メールが届いた。どのような照明セットであるかはあまり理解できなかったが、面白そうな申し入れだった。とりあえず手に入れておいても損は無いだろうと「この値段なら引き取るよ」と、かなり安い金額提示をしたところ、あっさり商談成立!

9月10日木曜日には早くも照明機材が自宅に届けられた。夜、家に帰り着いて荷を開いて驚いた!プロが商品撮影するのに使う照明機材だったのだ。撮影スタジオでは良く見かけるタイプの機材なのだが自宅で組み立ててみるとデカイのだ!スタジオではノーマールなサイズでもマンションの小部屋では大きすぎるのだ!素人には全く使い道がなく、某氏が手放したのも理解できた。



光っている面は80cm x 80cmもある。さらに大きな三脚に設置するので、2セットを組み立て撮影のセッティングをすると、私の部屋がいっぱいになる感じだ。しかし・・・このサイズであれば・・・あのギターメーカーの商品撮影に使えるのでは?柔らかく、充分な光量があるので大丈夫だろう!と思いついた!

かくして、おせっかいボランティアはさらに加速して行くのだ!
BugsGearのオーナーに連絡を取り、照明機材を持ち込みたいと提案した。オーナーはそのとき照明機材を渇望していた。渡りに船状態だったのだ!さっそく9月11日土曜日夕方に持ち込む事に決定!

11日はジャズギターの練習日だったので、いつものギター以外に私が預かっているBugsGearのモニター用アコースティックギターを3本、教室に持ち込んだ。1時間のレッスンが終わったとき、3名の若手生徒さんが顔を出したのであった!驚いたが、手塚先生によると、彼らもtanabe.tvを観ているので、気になっているギターだったそうだ。私が試奏用を持ち込むとの情報が流れ集合したというわけだ。

望むところである!先生も一緒に弾き倒し大会が始まった!さすがに上手い方々が弾くと、一段と美しい響きが聞こえてきた!やはり先生にも評判が良い!「響きがいいですねえ!」との評価が全員から出てきたのだった!全員が合格と判定し「もっと他の機種は試奏出来ないっすかね?」とのリクエストまで出てくる始末だ!いずれまた持ち込むと約束をして先を急いだ。

韓国人オーナーの自宅マンションへと照明機材を積んだ車を走らせる。

到着するとまだオーナーは出先から帰ってきてはいなかった。そこで奥様に話をして先にあがらせてもらい、照明機材を組み立てておく事にした。そのリビングでは程よいサイズに納まりそうだった。やがてオーナーが帰宅した。バック用の白い布をたらし、商品のギターをセットし、照明にスイッチオン!

おおお〜〜〜!!!照明に映えたギターがより高額に見える!やはりこの程度のライティングをしなければ、商品写真とは言えないだろう!「こういうライトが欲しかったんですよ〜!でも何処で売ってるか分からなくて!」とオーナーも大喜びである!よかったよかった!

しばしライティングの様子を話し込んだところで、オーナーはこう切り出した。かなり心配げな表情であったが・・・。

「この照明機材は高いですね?いくらお金を支払えば良いですか?」

私はボランティアである。その精神でこのギターメーカーを応援しようと思っているのだ。お金をふんだくるために持ち込んだのではない。格安で照明機材を手に入れたのにはそのような理由がある。いずれこのメーカーがメジャーになり儲かるようになってからお礼を受け取るのであればやぶさかではないが、今はまだキャッシュフローが厳しい状況である事はよ〜く理解している私なのだ!

「この照明機材はプレゼントします!自由に使って、美しい写真を撮影してください!」


「えっ?そんな・・・(絶句)それはダメです!お金を支払います!」

「お金の話はやめましょうよ!とても安く手に入れたのですから大丈夫ですよ!」

そのやり取りを聞きつけた奥様がリビングにやってきた!

「だめですよ〜!お金とってください!」(微妙な日本語)

「お金は受け取れませんよ!売るために来たんじゃないですから!」


「そうは言わずにお金を・・・」

などと、数回の押し問答が堂々巡りをして行った。ループ状態に陥って一瞬の静寂が訪れた。これは「天使が通り過ぎた」と英語圏で言われる瞬間か?しかし、いったん「プレゼントする」と口にしたものに値段をつける事など出来わけがない!さ〜〜〜どうする?

ここで頑に私が受け取りを拒否し続けるのは、オーナー夫妻に心理的圧迫感を与える事になるだろう。さらに「縁もゆかりも無い日本人が、理由も無くなぜこのような高価な照明機材をプレゼントしてくれるのだ?」そう考えるのが自然の理だろう。つまり私は「怪しい日本人」と観られるに違いない!

オーナーが納得し、私も納得できる解決策は無いのか?

一瞬にして巧みな計算を行い、私は結論を出した!

「分かりました!お金は受け取りたくありませんから、
 そこまでおっしゃるのなら、ギター1本と交換しませんか?」

「それでよろしければ喜んで交換いたしましょう!どれがいいですか?」

「そうですねえまだ弾いていない機種なので DT-50TL にしましょうか!」


かくして、私は格安で手に入れた照明機材をギターと物々交換する事になったのである!これを世間では「わらしべ長者」状態というのだろうか?さて、この機種選択に際し、私はどのような計算を行ったのだろうか?

計算1 ギターを提供する側にすれば、ギターの製造原価計算で考えると、この照明機材の通常販売価格より遥かに安い価格でありお得感がある。
計算2 オーナーのプライドを傷つけずに選択するには高額機種である事。
計算3 物々交換したとしても、そのギターは私がモニター用の試奏ギターとしてこの先使う事がおおいに予測できること。
計算4  このギターに施されているツリー・オブ・ライフが初期バージョンであること。今後このデザインは消えて行く可能性があり処分したがっているとも推察できる事。


ツリー・オブ・ライフ


このような綿密な計算の結果として、数分後には私の手に高級ハードケースに入れられた DT-50TL が手渡されたのであった!読みが何処まで当たっているかは知らないが、お互いに納得ずくなので、計算結果がどうであろうが全く問題はない。オーナーにも喜んでもらった堂々とした物々交換なのだ!


BugsGear DT-5TL (オール単板モデル)


サイドの メイプル・3Dフレームが美しいギターだ!

かくして、当家にやってきた BugsGear DT-50TL は、早くも9月12日(日)午前中に当家へ試奏をかねて遊びにこられた登録会員00197シーサイド鈴木様によって弾き倒されていた。すっかりギターショップの様相を呈していた当家のリビングルーム。鈴木様もおおいに褒め讃えた BugsGear であった!私個人の持ち物でありながら公共物である感が強い BugsGear DT-50TL の存在だなあ!ちなみにDT-50TL はメイプル単板のカリッとしたサウンドが嬉しいぞ!

現在、当家には 試奏用として、BugsGearを3本準備している。DR-50UL(ローズウッド単板)DM-50UL(マホガニー単板) DT-50TL(メイプル単板)いずれもTOPはイングルマン・スプルース単板だ。試奏されたい方はご遠慮なくメールでご連絡いただきたい!時間の許す限り対応するぞ〜〜〜!!!

ところで気になるのだが、この「物々交換わらしべ長者話」は、私の巧みな言葉の誘導により人々が無意識のうちにコントロールされた可能性はないのか〜?(おいおい!お前はナニ様だよ〜!)すべてが事前に綿密な計算によって画策された「アコースティックギター略奪作戦」だと気付いた登録会員はいるのか?(いね〜よ!)



本日の結論
このメーカーが果たして何処まで成り上がって行くのか?楽しみだなあ〜!

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