映画的面白論
2004年09月03日 先月立続けに観た映画の中から!




「私はまだ買っていない」

最近映画をまったく御紹介していなかったことに気付いたので、記憶を探りつつ書いてみようと決意した次第だ!クソ暑いさなかに夏休みをとっても、クーラをガンガンぶん回して部屋にこもりDVDとオリンピックの日々だった。DVDは幸いなことに、レンタル会員がWEBでキャンペーンに登録すると期間限定で半額になるシステムが運用されていた。このチャンスを逃す手はない!ここぞとばかりに日々借りまくるのであった!

その中でいくつが気になる映画があった。一般的に映画としてヒットしたかどうかではなく、私自身が「これは・・・」と感じた映画だ。では、面白い映画なのか?と問われれば「ある部分でね」と呟くように答えるしかない。そんなマニアックな部分を御紹介するので、まだ御覧になっていない気になる映画があれば、御参考にしていただきたい。

「DOGVILLE」

ニコール・キッドマン主演の「ドッグヴィル」は実験映画的手法で作られている。彼女の役はグレース。一幕ものの舞台劇を見ている感じもする。ストーリーは9章のエピソードとプロローグで構成されている。その構成を書き出してみよう。

PROLOGUE 町とそこに住む人々の紹介
CHAPTER 1 トムが銃声を聞き、グレースと会う
CHAPTER 2 グレースはトムの計画に従い肉体労働を始める
CHAPTER 3 グレースが挑発的な試みに喜びを見い出す
CHAPTER 4 ドッグビルの幸せな日々
CHAPTER 5 とにかく独立記念日
CHAPTER 6 ドッグビルが牙をむく
CHAPTER 7 ついに嫌気がさしたグレースはドッグヴィルを去り再び新たな日を迎える
CHAPTER 8 集会で真実が語られトムが退席する(だが後でもどる)
CHAPTER 9 ドッグヴィルに待ち望んだ来訪者達が現われ、映画は終わる

さて、この構成からどんな映画だと想像されるだろうか?
3時間近い長い映画だが、まず驚くのはこの映画が撮影スタジオの一部屋だけで撮影されていることだ。さらに、スタジオ全面が真っ黒に塗りつぶされ、床に白い線で町の通りや家の配置が書かれているだけなのだ。わずかにそれぞれの家のドアや家具などが置いてあるだけ。壁や屋根はまったく存在しない。つまり、スケルトン状態の町の全体像のセットなのだ。俯瞰で撮影すると、役者全員がなんらかの動きをしているのが見える状態となっている。ということは、出演者は撮影の間ずっと全員がそこにいなければならないことになる。演技し続けなければならないことになる。



町と言うよりも、かなり小さな村の10軒程家の並んだ通りの設定。とにかく描かれている世界は狭いのだ。かつて映画の名作で「12人の怒れる男たち」が一つの部屋の中だけで表現していたが、「ドッグヴィル」はあの感覚とはまったく違う閉鎖性を持っている。この町では家には壁もなく、物理的にはまったく閉鎖さてはいないが、息苦しい閉鎖空間としか感じられない感覚に陥る映画だ。このセットで常に演技し続けることを要求される役者達はノイローゼにならないか?と思える程だ。

異常なセットで、異常な世界が描かれている。どのように異常なのか?は見てのお楽しみだ。決して楽しい映画ではないので、マニアックな方にだけお勧めの映画である。18才未満にはまったく不向きな映画だな。

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「MYSTIC RIVER」

この映画でアカデミー賞最優秀助演男優賞に輝いたのはティム・ロビンス。そこで、どんな映画に『ラスト・サムライ』の渡辺謙が負けたのかを知りたくて観る事にした。だが・・・何とも理解しがたいなあ・・・。確かにティム・ロビンスは複雑な役だったが「ミスティック リバー」映画そのものは、私には「あらら・・・こんな映画だったんかい!」とまったく期待外れもいいとこだったのだ。映画のネタとしてどうも「幼児虐待」+「銃社会」というテーマがアメリカ人ではない私には遠く感じる。ストーリーにのめり込めない感覚だったなあ。基本的に生活文化の違いがそう思わせるのだろう。

アカデミー賞を獲得したから必ずしも面白いとは限らない映画の典型的な例だな。でもこれは私個人の感覚であって、あなたがどう思うかは自由だ。御覧になって「面白い!」と感じられたとしたら、その理由を是非教えて欲しいものだ。私は「何か」を理解せずに観ていたかも知れないしね。逆説的な意味で「面白い映画」の範疇に入るのか?

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「SHADE」

これもまたマニアックな映画だ。
「メカニック」と呼ばれる人々がいる。カーディシャンとも呼ばれる。日本語で書けば「トランプを使ったイカサマ師」のことだ。主にポーカーやブラックジャックをやる際にそのカードさばき技術を駆使し、大金を巻きあげる人々の事だ。この映画の監督が実は「本物のメカニック」だったという。その「メカニック」の世界を映画化したかったようだ。

ハッキリ言おう!この映画はシルベスタ.スタローンも出演しているハリウッド映画なのにB級としか感じない。「スティング」を小物にした感じだろうか。だが、私はマニアックな意味で十分楽しんだのだ!この映画の最大の見せ場はオープニングのタイトルバックにある。カードをさばくアップの映像が使われているが、その最後にとんでもないテクニックが披露されるのだ。それではまず、こちらをクリックしてその映像を御覧いただきたい!

どうだろうか?一瞬にしてこのような変化をすることがありえるのだろうか?これは編集技術によるトリックではない。ちゃんとカードを操って行っている技術なのだ。その証拠には、このトリックがすでにマジックショップで販売されているからだ。価格は2500円だ。どうしてもその仕組みを知りたい方は、お買い求めになってはいかがだろうか?ちなみに、私はまだ買っていない。この映像から何とか仕組みを暴き出そうとしているのだが・・・。わからん・・・。

他にも多くのカード技術が披露されるが、これを見ていると「知らない人とカードで博打を絶対やっちゃだめ!」と感じる。さらにもっとシビアに「知っている人とも絶対やっちゃダメ!」と言うべきだろうか。法律的にやっちゃダメと言うだけではなく、信じられない程「とんでもない技術」を持ってカードをさばき、人々をカモにする奴らが世の中に大勢いるのだと知るべきなのだ。

マジシャンはカードテクニックを使って楽しませるが、詐偽ではない。メカニックの人々は騙して稼ぐことが目的だ。マジシャンとは方向性がまったく違うのだ。てなことで、教訓的な映画でもある。最後に一つだけ忠告を。カジノを舞台にした映画で、カードを何組かまとめてシャッフルした後、先端が斜になった箱に詰めてそこから一枚ずつ取り出し客に配るシーンがある。ディーラーがカードを配る際にイカサマできないようするための箱なのだが...。実はあの箱にもディーラーは簡単にトリックを仕掛けることができ、意図したカードを客に配ることが出来るテクニックが存在するのだ。



映画 「SHADE」の中で披露されるカードワザをまとめて御覧になりたい方は、こちらにアクセスすると観る事ができる。ただしブロードバンドでないとちょいとキツイなあ。マシンスピードもある程度早くないと動画なのでじれったいかも。

http://www.shademovie.com/home.html

読み込みが終わったら、上の方にある TRICKS & SHADES と書かれている部分をクリックすると様々な技がムービーで一気に観られるコーナーに飛ぶ。どんな技が駆使されるのかを知るには絶好のチャンスだろう!博打好きは是非御覧になっていただきたい!カードで博打する気持ちが萎えるぞ〜〜〜!!!



本日の結論
映画を一気に10本以上観ると、全部を明確に記憶に残すのが難しいなあ・・・。

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