六弦的乗込噺
2004年08月28日 あの話の報告である!


BugsGear は 4か月前に誕生したばかりのブランドだ!


「私には素直に感じる気持ちよい音だ!」

いよいよ8月25日に掲載したアノ六弦話の実行編の報告だ!お待ちであった六弦マニアの方々も多い事だと推察する次第だが、まずは前回ご披露した話のダイジェストから書いてみよう。

オークションを眺めていたら、気になるギターが出品されていた。ブランド名は「BugsGear」聞いた事が無い。出品者はギターショップのようだが、そこに記されている紹介文が妙だった。日本語としてあまりにもぎこちなかったのだ。

だがその商品解説文体に比べて、ギターそのものはかなり魅力的な仕様であった。

仕様
1. Top : Solid Spruce 2. Side &Back : Solid Rosewood 3. Tuner : Grover Gold
4. Head, Neck : Mahogany 5. Finger Board: Ebony 6. Nut : Bone 7. Saddle: Urite
8. Bracing : Scalloped X Bracing

さらに、インレイやパーフリングもすべて本物のアバロンだと書いてあった。バインディングはローズウッド。つまり、D-45のカスタムモデルに匹敵する材料ばかりなのだ。そして、落札希望価格は12万円程度だった。これは・・・安い!・・・ううむ気になる!メーカーのWEBを調べてみよう!

ショップのWEBを覗いてみると、さらにぶったまげた。全ページに渡り、文章がほとんど「不自由な日本語」なのだ。このWEBを作った人物はかなり日本語が使えるのだが、母国語が日本語ではないはずだ。日本人から一度も校正を受けていないようだった。

ここで、私のおせっかい心が沸き上がって来た。思いきってこの会社にメールを送ってみる事にした。メール内容は「このままでは怪しい印象しか与えない。なるべく早く正しい日本語にした方が良い。例えばこの部分・・・」と、かなり具体的な指摘にした・・・。

するとすぐにその会社オーナーから返信が来たのだ!「WEBの文章を直すことを助けていただきたいので、今週の土曜日にお会いできないでしょうか?」との返信だったのだ。望むところである!幸いこのオーナーの会社兼自宅マンションは当家の近くだったのだ。

かくして本日午後13時に韓国人オーナーの自宅へと乗り込んだのだ〜!

会社名ストリングネット。溝の口駅近くの丘の上にあるマンションだ。インタホンに反応して玄関のドアが開いた。オーナーの登場である。まずは自己紹介をして上がり込んだ。オーナーは「カク ポンヨル」さん。韓国人で41歳。奥さんと二人の子供をつれて2000年に日本へ移住した方だ。

玄関からリビングルームへ続く通路には「FRAGILE」と書かれた段ボールに入ったギターが大量に並べられていた。ほほう!これか〜ブツは!リビングに通されてみるとそこにも10本ほどのギター用ハードケース並んでいた。

まずは私が訪問するに至った経緯をお話ししながら、具体的にWEBのどの部分が日本語として間違っているのかをご説明した。前夜に作成したテキストをプリントして持ち込んだので、カク氏に読んでもらいながら説明を進めた。ほぼ私の趣旨を理解してもらえたようだ。私が校正した部分はまだWEBの一部分だけだったので、今後他のページも順次校正する約束をした。

そして、いよいよ「BugsGear」ギターの現物との対面だ。まずはオーナーが一番好きだと言う、ジャンボボディーの単板トップのギターからだ。でかい音が飛び出してきた!なるほどちゃんとした作りだ。問題はなさそうだ。

次にD-45に似たオール単板モデルのチェックだ。品番は「DR50UL」だ。アバロンインレイがヘッドからネック周りまでかなり豪華に施されている。基本的に天然貝だけを使用している。オークションの画像で観た段階では「こりゃあ、クドすぎねえか?」と思っていたのだが、現物はかなり大人びたオチツキを醸し出していて好感を持てる。ステージでライティングに映えそうな感じがするなあ!



チューニングして弾いてみると・・・糸巻きは GROVER GOLD なので実に滑らか。さらに・・・ううむ・・・このネックは弾きやすいぞ!普段エレクトリックギターしか触っていない私にも違和感無く握っていられる薄さだ!こりゃ面白い!サウンドはマーチン系の鈴鳴りとは違う方向性。もう少し穏やかな感じがする。かといってギブソン系のドンシャリとも違う。私には素直に感じる気持ちよい音だ!



他のギターとのサウンドの違いはトップに使用されているイングルマンスプルースの厚みのようだ。「BugsGear」はちょっと厚めに作ってブレイシングで響き具合を調整していると言う。確かに厚みのあるTOPの割には良く響いている感じだ。ボディーサイドとバックのローズウッドもきれいな木目が通っている。さらに、バインディングもローズウッドを使用している。これを127,000円で販売すると聞いた。高級ハードケース付きだから、かなりリーズナブルな価格であると言えるだろう。ちなみに「BugsGear」ではオール単板モデルには基本的に高級ハードケースを付けて販売している。



「BugsGear」は、ほとんど単板モデルがメインなのだが、ラミネイト・メイプルを使用したエレアコも販売している。先ほど触ったジャンボボディーだと私には少し大きい感じがしたが、次に全面キルトメイプル仕様の少し小振りなギターをいじらせてもらった。「OQC-40E」このギターは人気があり、現時点ですでに在庫がこの1本だけとなっていると言う。



なんだこりゃ〜!うほほ〜!弾きやすい!実に弾きやすい!ネックサイズと弦高がまるでいつも使っているエレクトリックギターとほぼ同じなのだ。アコースティックギターは弦高が高くて当たり前と思っていたが、それが裏切られて嬉しい限りだ!サウンドも充分に楽しめる。ピックアップは「FISHMAN Classic4」が搭載されている。問題な〜し!糸巻きはグローバーのクロームメッキ。これまた問題なし!こちらは 68,000円程度の価格にするようだ。これまたリーズナブルである!ただし、このギターは全面ラミネイト・メイプルなので、付属ケースはソフトケースになる。だが、本日はソフトケースの在庫が無かったため観る事が出来なかった。



指板に TREE OF LIFE を施されたギターもたくさん置いてあった。それらは眺めるだけにしていたが、サイドとバックがメイプル単板のギターはフレームメイプルが見事に美しくて豪華だった。観ているだけで嬉しくなる感じだ。これもいずれじっくり弾いてみたい気がする。

さらにしばらく話を続けているうちに、オーナーからこのような提案が飛び出した!「何本か自宅にお持ちになって試してもらえませんか?そしてお知り合いに宣伝してもらえませんか?」ほほう!ここで弾き倒しさせてもらうだけではなく、持ち帰りもOKだというのか!望むところだ!それは嬉しい申し入れだ〜!

だが、当家とて空きスペースがそれほどあるわけではない。何本も持って帰るわけにはいかないな。とりあえず先ほど弾いた「DR50UL」「OQC-40E」を預かってしばらく試してみる事にした。そのとき外は雨になっていたので、オーナーが「ご自宅まで車で送りましょう!」と嬉しい申し出でがあった。

私としても「突然現れたワケのわからない日本人が騙してギターを持って行った!」と思われたくないので、送りついでに当家の位置をしっかり覚えていただくのも一興だろうと考えたので、遠慮なく送ってもらう事にした。なんてないきさつで現時点で当家の私の部屋には2本の「BugsGear」が置いてある。

このギターはもちろん「モニター扱い」となっている。ご興味がある方はいつでも弾きに来ていただきたい。当方のスケジュールが許す限り対応いたそう!そして気に入ればすぐに手配できるので購入も可能だ!なお「BugsGear」は一般店頭に出る事は無いそうだ。品質を保持するために、あくまでも少数生産を続け、オーナーが韓国のギター工房で1本いっぽんすべてチェックして合格したものだけを日本に運ぶそうだ。オーナーのチェック基準は驚くほど厳しく、ギター職人たちはカク氏が月に一度、工房に顔を出すたびにピリピリしているそうだ。

私の持っていた韓国製ギターのイメージは今まであまり良いものではなかったが、今回の出来事で「ちゃんとした職人が頑張れば真っ当なものが出来るじゃん!」と、当ったり前の結論が出てきたのだ!優秀な韓国のギター職人をどうやって集めたのか?それにはちゃんとした合理的理由があるのだ!職人だけでなく、それを管理するオーナーの力量も商品に現れていると感じる。それほど真面目に作っているのを感じさせる「BugsGear」なのだ!

まあ、このギターにまつわる蘊蓄や裏話は他にもいろいろ聞いたが、それはここでお話しするのはやめておこう。当家に「BugsGearを試奏させて!」と来られた方には詳細にご説明いたすとしようか!



本日の結論
ふっふっふ・・・皆様にお勧めできないギターなら私が預かるはずがない!

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