読了的岬活躍
2004年07月29日 シリーズを読み通した者だけが・・・!
 

リーズ11作目

「青臭い青春群像もあるが」

7月15日に書いた読了ネタの最後に触れておいたアノ本を読み終えた!「ヘーメラーの千里眼」がそれだ。このシリーズの主人公「岬美由紀」の過去が丹念に描かれている。ちなみに、542ページ2段組みはシリーズ最大のボリュームだ。手に持ってみるとずしりと重い。だが、その質量とは裏腹に、このシリーズにお約束の軽快な読書スピードが約束されている。

時間さえ許せば、一気に読み通せるほどの面白さがある。特に今までのシリーズを読み通してこられた方々には、このストーリーの前提条件が頭に入っているので冒頭からフルスロットルで読み進むことが出来るのだ!千里眼シリーズを初めてこの本で読まれる方でも、充分に楽しめるように書かれているのでご安心いただきたい。

「千里眼シリーズ」は「岬美由紀」の魅力が引っ張ってきたが、彼女は1作目からすでに「元自衛官」や「元戦闘機パイロット」の肩書きだった。だがそこに至る青春時代の部分は全て謎のままだった。いかにして彼女は自衛官を目指したのか?その家庭環境は?恋愛は?さらに「防衛大学校」の存在とは?自衛隊の実態とは?「岬美由紀」の過去だけではなく、同時に自衛隊そのものも描かれて行く。これが青春群像としてかなり面白いのだ!

松岡圭祐著
「ヘーメラーの千里眼」


女性自衛官初の戦闘機パイロット
その愛と青春、<謎>、そして<戦争>。


250万部突破 シリーズ最新作 冒険ミステリー最高傑作


サイコスリラーの妙味を加えた
新感覚冒険ミステリー長篇、最新傑作。


航空自衛隊のエースパイロットが引き起こした未曾有の過失事故、それによって国家の威信に重大な波紋が生じる。麻薬密輸船の攻防に頭を悩ます防衛庁は、何故かパイロットの精神鑑定を要求する巨大企業資本に翻弄され、とてつも無い陰謀に巻き込まれていく・・・。

女性自衛官初の戦闘機パイロット、岬美由紀、28歳。その愛と青春、挫折、そして生涯を賭けて挑む<謎>と<戦争>。

このシリーズはいつも基本は心理分析のウンチクが飛び交う小説ではある。ミステリー要素、アクション要素、もふんだんに溢れているストーリー展開である。「ヘーメラーの千里眼」ではシリーズ初期にあった、お約束の「戦闘機バトル」が復活している。これがまた大笑いするほどに楽しく手に汗握る展開なのだ!おおお〜〜〜!!!頑張れ〜〜〜!!!行け〜〜〜岬元二尉〜〜〜!!!

今回はほぼ全体が自衛隊一色だ。自衛隊員として苦悩する人々、その存在意義に対する国民の意識のずれ。国家は誰が守るのだ?テポドン発射・・・いくつものテロ・・・イラク派兵・・・すでに平和は無償で手に入るモノではないと国民は知り始めた。1970年代の平和ボケした自衛隊と現在の自衛隊は大きく様変わりしている。

自衛隊上層部、幹部、と現場との意識のずれ!電話一本で命令を下す者と、その命令により駒として動かされる現場の若者たち。軍隊における命令は絶対である。だが、それは本当に「絶対」なのか?最前線での危機回避は誰の判断によってなされるべきか?様々な苦悩と困難が岬美由紀を襲う。

このストーリーは、大きく4つの要素から構成されている。

● 伊吹一尉が引き起こした前代未聞の人身事故・・・その真相とは・・・。
● 伊吹一尉の精神鑑定を行うため岬美由紀が自衛隊に呼び出された・・・。
● アルタミラ精神衛生株式会社が行う劇的コンサルティングの秘密とは・・・。
● 中国から密輸入されている新麻薬「麝香片」の実態と輸入ルートとは・・・。

そして、戦争が待っていた!興奮の空中戦!海上自衛隊を航空自衛隊が支援するのだ!たたみかけるように押し寄せる難題と、対応困難な人々と岬美由紀の対決!果たしてその結果は!青臭い青春群像もあるが、私はこれはこれで好きだ!ちなみに読書中に3度涙が浮かんだことを告白しておくぞ!

この本はまだ出たばかりだが、最終ページに書かれている発行日を確認しておこう!

2004年8月1日 初版第一刷発行


おおお〜〜〜!!!私は読み終えたというのに、正式発行日はまだぢゃ〜ん!


本日の結論
岬美由紀はシリーズ11作ず〜っと28歳のまんまだ〜!

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