六弦的中華物
2004年07月04日 こんなものも作られていた!
 

何となく怪しいインレイ!


「微妙な値段だなあ〜〜〜!!!」

前回に引き続き、六弦複製もの話を書くことにした。今回は笑えると思うが・・・。

かつて、海外の有名ブランドギターが日本で生産されていた。現在もそれは行なわれているのだが、技術とコストを考えれば日本が選択されるのは必然だったのだろう。ところが、近年は韓国や中国で生産されているギターが多くなった。ベトナムに生産拠点を置くメーカーもある。某有名メーカーは台湾に生産拠点を置いているようだし・・・。

ギターに対するイメージとして、韓国製を私は何となく避けて来た。周りの評判もあまり良くなかったのだが・・・。さらに中国製ともなれば、いっそう「あやしげ」な雰囲気があると思っていた。実際に中国製ギターを触ったことがないのでこれはあくまでも私自身が持っているイメージでしかない。

6月26日、ジャズギター教室に行った際、面白いモノを見つけた。中国製ギターのカタログである。

ジャズギターの先生である「ジプシー手塚」様はこう言う。「中国製のクラシックギターでピックアップ付きを弾いたんですが、これがなかなかいいんですよ!しかも値段が4,000円ですからね!」なんですと?なんですと?音が良いとな?ううむ・・・その価格なら騙されても諦めがつくよなあ〜! 1本買ってみるか〜!

カタログはメーカー別に数冊あった。パラパラめくっているうちに、六弦好きにはかなり面 白いネタを見つけたのだ!思わず「このカタログを貸して下さい!」と申し出てしまった私だ!それでは何が面 白かったのかを御披露しよう!

現在、アメリカ製のP.R.S.ギターは絶大なる人気である。高級ギターのジャンルに入るのだろうが、価格もかなり高い。私は3本所有している。そんなP.R.S.人気に便乗したのだろうか・・・そのカタログで見つけたギターは以下のようなモノだった。


これが中国製 ↑ PRP-36 SPR


これがアメリカ製 ↑ PRS-CUSTOM24

中国製には単に形状を似せただけのコピー商品が多いのだが、よ〜く見ると結構笑いのツボを刺激される仕様になっている。まず最初に気付くのはネックに施されたインレイのデザインだ。以下に拡大して掲示してみよう。

こちらが中国製のインレイ。
アメリカ製に比べると、デザインが中華風である「ツバメ」がモチーフか?
こちらがお馴染みのアメリカ製インレイだ。

ボディーも拡大してみよう。ボディー周辺には本物のPRSにはないアバロン・バインディングが施されている。さらに、ネック周りにもしっかりアバロン・バインディングが施されている。豪華な仕上げである。しかし、ここまで来るとクドイようにも感じるが・・・仕様としてどこまで本物の素材が使われているのだろうか?価格以前に、気になるところである。


そこで、カタログのスペックを転載してみよう。漢字の問題があったのでデジカメで撮影した。機種名はパープルとブルーの色違いで2種類分だ。私は中国語ができるわけではないが、じっと見つめると常識的に浮かび上がるスペックを感じる。

このスペックの中でかなりキテいると感じさせるデータがある。ボディートップには、4Aのフレームメイプルが使われていることだ。ギターのトップに使われるメイプルは「A〜AAAAA」の5段階に別 れている。Aが多くなればグレードが上がる。通常のギターで「フレームが見事だね〜!」と言われるのは3A以上である。

だが、4Aや5Aが使われているギターにはめったにお目にかかれない。高すぎて、量 産品には使えないのだ。使用されていれば価格はかなりのものだな。その豪華仕様の4Aメイプルをこのギターは使っていると書いてあるのだ。思わず「ホントかよ〜!」とつぶやきたくなる。

さらに、バインディングはすべて本物のアバロンが使われている。これまたほんとかよ?と思いたくなる。この表記では塗装剤が何であるかは分からないな。ボディーはメイプル(楓木)トップに、マホガニー(桃花心木)バックであると表記されている。ネックもマホガニーだ。指板はエボニーだろうか?素材的には真っ当な高級ギターと同じ仕様である。 材料がまっとうだとしても、このギターのサウンドはどうなのだろうか?ピックアップのメーカー名が私には読み取れない・・・。誰か読み取れる人はいる?

このカタログで観る限り、私には面白そうなギターである。コピーものというより、デザインを中華風にアレンジしたギターに思える。コピーものには手を出さない宣言をしていたのだが、安いのならシャレで1本手に入れておいても面 白そうなギターだ。

ところで、型番に PRP-36 と書かれているが、36の数字は何を意味するのだろうか?PRSならフレットの数を意味するが、36本ものフレットは存在しない。となれば、価格を意味している可能性があるなあ。日本のギターにもその傾向があるし。

中国の通貨単位は「元」だ。現在日本円にして約「15円」程度だろう。では36元の意味だろうか?そうなると540円である。いくら中国製が安いと言ってもそれはないな。2桁上げてみよう。54,000円か・・・。もうひと桁上げて54万円だと・・・違うな!そうか・・・54,000円か・・・。欲しいような・・・欲しくないような・・・微妙な値段だなあ〜〜〜!!! だが・・・5,400円の可能性はゼロなのか?



本日の結論
で・・・このギターの本当の値段はいくらなのだろうか?

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