六弦的複製物
2004年07月02日 こんなものがあったとは・・・!
 

神田駅のそばに存在する!


「消費税込み210万円」

またまた六弦話しに興味のない方には申し訳ないが、どうしても書きたくて・・・。
本日になって、ようやくこんなものが生産されていると知ったのだ!

最近、ジャズギターの練習を日々くり返すため、頻繁にアンプのスイッチを入れるようになった。アンプは「MESA/BOOGIE .50CALIBER+ 」だ。サンタナが好きなので買ってしまったとのいきさつがあるアンプである。新潟の方から手に入れた中古品だが、あまり使われていなかったようで、かなりコンディションは良かったのだが・・・。

最初にその異変に気付いたのは、メインスイッチをONにしてすぐにサブスイッチを入れた時だった。ブツブツとなにやらノイズが聞こえたのだ。ブツブツザラザラとそのノイズはいつまでも続いた。こりゃいかんと一旦スイッチを切り、しばらくしてから再度スイッチを入れた。今度はメインスイッチを入れて充分にアンプが暖まってからサブスイッチを入れた!こんどはノイズが発生しなかった。このアンプはオール真空管アンプだ。使う前に暖めるのは基本なんだろうな・・・と思っていた。

なぜノイズが出るのかアンプに対する知識を持たない私に理由は解らないが、とにかくノイズ回避としてとった行動をそれ以降くり返すことにした。問題なくアンプが使える日々が続いたが、正式に教室に通うようになるまでは、電源スイッチを入れる頻度はあまり高く無かった。週に一度も入れない日々もあった。

そして!先月からジャズギター教室に通いはじめて、再度「MESA/BOOGIE .50CALIBER+ 」のスイッチを入れる日々が始まった。最初のうちはコードワークの練習ばかり繰り返していたので、全く気付かなかったのだが・・・今週からアドリブフレーズの練習を始めたとたん、アンプの異常に気付いたのだ!

タブ譜を睨みつけながら、一音ごとに指板の位置を確認していた時のことだった。5弦11フレットの音「Ab」を弾いたとたん!アンプから「ビィ〜〜〜〜〜〜」と中のパーツが共振して出しているような音が聞こえてきたのだ!なんぢゃこりゃ〜〜〜!!!他のフレットでも探してみるとやはり「Ab」の位置で異常音が発生したのだ!ううう・・・困り果てる私だった ・・・。

ギター本体ならなんとか自力で解決できたのだろうが、アンプとなると全く手が出ない。そこで日本の輸入代理店に問い合わせてみようと探したところ「神田商会」であることが判明した。ギターメーカー「Greco」のあの神田商会だ。早速、WEBにアクセスしてみた。だが・・・そこにはアンプに関し、役に立つ情報は書かれていなかった!

と、その時!気になる文字を見つけた。「ZEMATIS MUSEAM」とある。なんだ?こりゃ?「Zemaitis」といえば超有名ギター職人である。すでに2年前に他界されているが、その作品は世界中のギターマニアの憧れの銘品ばかりである。それを集めたページがあるのか?すぐにクリックしてみると・・・なんだ?なんだ?なんだ?おおお〜〜〜!!!そこには「Zemaitis」のデザインしたギターがずらりと・・・えっ?なんですと〜〜〜!!!なんですと〜〜〜!!!なんぢゃこりゃ〜〜〜!!!

ZEMAITIS S-22 st Ring
¥2,100,000 (消費税込)

ボディ・トップ全面にシェルを張り詰めた豪華なモデルで、ボディの外周にはアバロン、内側には白蝶貝を並べており、さらにヘッドにも全面シェル張りを施しています。

ボディー、オリジナルパーツのすべては、トニー・ゼマイティス氏 所有の図面から復刻 しており、ペグ以外のすべてのオリジナルパーツは、ジュラルミン材の塊から削り出して製作しています。
  
また、エンブレム、アジャストプレート、エスカッション、テール  ピース、ジャック・プレート、リア・プレート、などのメタル・パーツ には、ダニー・オブライエン氏のデザインを日本にて彫金を施しています。

よ〜く見ると、それは「Zemaitis」のコピーギターだったのだ!しかし、よくまあここまでコピーしたものだ!とじっくり読んで行くと、神田商会が「Zemaitis」と組んだようだ。(って・・・本人が亡くなっているので遺族と契約したのか?)

本人亡き後は、残されたデータを元にGRECOが復刻版としてライセンス生産しはじめたというわけだ。そして驚いたのはその価格である。確かにそれだけの材料とコストを使っているのだろうが、コピー商品で消費税込み210万円というのはどうなのだろうか?「これはコピーではなく、復刻版である!」 と主張されれば、ああそうですか・・・と引き下がるしかないのだが・・・。

今まで「Zemaitis」のコピーものといえばせいぜい20万円前後の商品だった。それが一気に10倍の価格なのだ。本物はすでに500万円でも手に入らない状況を考えると、この復刻版を手に入れてさらに手を加え「本物」として流通させるヤカラが出て来るかも知れんなあ・・・。以前から、とてつもなく本物そっくりに作られたコピーがあるとの噂を耳にしていたが、こういうことだったのか・・・。

さて、ここで頭の体操だ。
イギリスのギター職人「Zemaitis」は1人でギターを作り続けていた。生涯に1400本程度製作したと言われている。彫金以外は外注せず、1人で作り続けていた。すべてオーダーメイドだったので、同じギターは2本存在しないと言われている。すなわち「Zemaitis」のギターは本人が作っていない限り本物ではないと判断できる。

だが一方、GIBSONのギターは誰が作ろうが、どこの国で作ろうがロゴマークが付いている限りすべて「本物のGIBSON」ギターである。そして、ここに量産型の「Zemaitis」ブランドが登場したことで、誰が作っても「Zemaitis」の構図が生まれた。正式にライセンスを取得して製造している以上、この商品に関し、私があれこれ言う筋合いではない。だが、なんとなく釈然としないなあ・・・。この復刻版は「本物のZemaitis」と呼んで良いのだろうか?

ちなみに、私はこの日本製復刻版「Zemaitis」を否定しているのではない!これはこれで「複雑で面白い事情の存在」だなと感じているのだ。「プレゼントするよ!」と言われれば、喜んで引き取るぞ!



本日の結論
で・・・「MESA/BOOGIE .50CALIBER+ 」の共振音はどうするんだよ〜!

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