読了的龍仮面
2004年03月09日 初めて読む作家である!
 



「論理攻め」

本日は、内容的にあまり詳しく説明しない方がよろしい本なので、短い御紹介になりそうだが、御勘弁頂きたい!

佐々木 敏著「龍の仮面(ペルソナ)」は625ページ・2段組みなので、かなりヘビーな印象の「本の面 構え」である。だが、上のカバー画像だけを見ると一見「少女マンガ」風の雰囲気・・・。「龍の仮面 (ペルソナ)」というタイトルもその感じが否めないなあ・・・。だが中身はやっぱりハードな小説である!これでもか〜!っちゅうほどの論理攻め・蘊蓄攻めである!

分厚い本を読む為にはある程度の覚悟がいる。さらに物理的に時間もかなり必要だ。だが、この本は心配いらない!一気呵成に読了させてしまうストーリーの勢いがあるのだ。この本は、少しだけ未来の中国が舞台の話。

データベースにあるこの本の情報は以下のようなものだった。

事故で顔を破壊されたエリカは、絶望の淵でCIAに拾われる。CIAと契約し、整形で絶世の美女に生まれ変わり、新しい過去を与えられたエリカの任務とは。中・台問題を背景に壮大なトリックが展開する国際サスペンス。

巨大権力から、もし「美貌とひきかえに命を預けろ」と言われたら、あなたはどうするだろうか?しかも拒否できない状況に追い込まれていたら・・・。 この小説はそんな状況に囲い込まれ、CIAと中国に翻弄されて行く「エリカ」の人生を描いている。美貌とひきかえにしたのはCIAエージェントとして働く「契約書へのサイン」だ。これに一生縛られることになる。

そして、CIAエージェントになったエリカに下された命令は・・・。中国の最高権力者の愛人になり、彼をコントロールすること。白人のエリカがその命令をどうやればクリアすることができるのか?幾重にもはり巡らされた罠とトリック、それに訓練が、徐々にエリカを本物のエージェントにして行く・・・。

荒唐無稽な小説ではあるが、全編に渡り妙な説得力を持っている。こまかな国際情勢や中国軍隊の蘊蓄が巧みに積み重なり、リアルに感じさせる。かなり「風景」が見える小説だと感じる。国家間の腹のさぐり合いには、細かな仕掛けも多い。もちろんドンパチもありだな!

例えば・・・。招致に成功した「北京オリンピック」は中国が大規模な軍事行動を起こせば中止される可能性を持っている。台湾が独立国家としての主張を高めたとしたら、中国はどのように対応するのか?下手に動けばIOCによって「北京オリンピック」は開催地変更を余儀無くされる。その事態が起これば、中国は国際社会からはじき飛ばされる。それを逆手に取り、台湾、アメリカ、日本が動き始めた・・・。この緊張状態を誰が破るのか?

「龍の仮面(ペルソナ)」はジャンル的にはシュミレーション小説だろうか。北京オリンピックを挟んで、その前後数年の中国が舞台の話である。2005年〜2008年の中国がどのように動くのか?世界がどう動くのか?中国とはどのような国か?また国家的思想のバックにあるものはなにか?民族とは?宗教とは?とにかくアクションと蘊蓄と思考の対決なのだ。CIAが仕組んだ様々なトリック。最大の謎は最初に現れ、そして最後にその謎が明らかにされる。

13条b項

この契約条項が意味するものは何だろうか?じっくり読んで確認していただきたい。

佐々木 敏著の前作「ゲノムの方舟」もかなり面白いと噂を聞いた!すぐに読んでやるぞ〜!



本日の結論
私は充分に楽しんだ!「軍事蘊蓄及び理屈好き」向けの本である!
じっくり読み込んで理屈を理解しながら読み進むと楽しめるぞ!

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