六弦的軽実体
2003年04月30日 早くも入手!


Parker Fly Deluxe Vibrato


「薬師丸ひろ子」

昨日御報告した、Parker Fly Deluxe Vibrato入手後の追加情報だ!

オークションでの入手には色々問題も起こりがちだが、私を含めて善人が多く参加しているのも事実である。今回の出品者は典型的善人であった。まず、28日夜の落札直後に「商品を先に送ります。2週間以内にお振込下されば結構です」とメールで連絡があった。実に太っ腹なのである。そんなこと言われれば、当方もその誠意に応えなくてはならない。29日は休日だったので、4月30日午前中に振り込む予定にした。

やがて30日の朝が来た。出勤直前、朝刊を読みふけっていた8時40分。ピンポ〜ン!とチャイムが鳴った。出てみると、そこにはいつものクロネコヤマト柳谷さんがにこやかに立っていたのであった。朝っぱらからゴクロウさん!その手には「梱包されたギター」があった。柳谷さんの顔には「またやっちゃいましたか!」と満面の笑みがうかんでいた。で、その包みを手渡されると・・・おおお〜〜〜!!!軽い!軽いぞ〜〜〜!!!軽すぎるぞ〜〜〜!!!

ギターの重量は、ある程度存在した方が安心感、安定感が有る。今手にしているのは一体なんだ?GIGケースと梱包材に包まれていてもこの重量しか感じないとは!異常な軽さとも感じられる程の存在感の無さなのである!さて、ここで、梱包を開くべきか悩んだ。出社時刻は迫っていた。許された時間は5分しかない。悩ましいところだが、一つだけ確認したい事があったので、取りあえず梱包だけは開く事にした。

ケースを開くと、そこには真新しいParker Fly Deluxe Vibratoが存在していた。ボディーの一か所だけほんのわずかな擦り傷が有るが、他はピッカピかだ!満足行くコンディションである。いかんいかん!じっくり眺めている時間は無い。アノ部分をチェックせねば!


前日から、上の画像のギザギザスイッチ風部分はなんだろう?と疑問だったのだが、それはすぐに判明した。付属のマニュアルによると「ビブラート・テンション調節ボリューム」とあった。このトレモロシステムはテンションを板バネで発生させている。板バネのストッパー位置を動かす事でテンション調整が可能となっているのだ。ここまで確認したら時間切れ。家を飛び出した。

出勤途中の電車の中で、Parker Guitarのマニュアルを読んでみた。アメリカ製ギターのマニュアルは英文である。だが、理解し易い表現と多くのイラストで読み進む事が出来た。全体的に感じられるこのギターのイメージは「科学」である。ハンドメイドギターの木の温もりなんてなものは微塵も感じられない。

ギター全体を眺めると、ボディーも小振りだし、カラーリングもピッカピカで「ロボット系フィギア」の雰囲気が有る。悪く言えば、見た目に玩具っぽい感じもするが、他に例えれば250ccのスポーツ・バイクのような感じとでも言えるだろうか。工業製品のクールさと工業デザインの精緻さを持ったギターである。

付属のシールド・ケーブルはステレオ出力用だった。2系統のアンプに出力する為、ケーブルの長さはトータルで2倍なのでケーブルだけは残念ながら重くなってしまう!ボディーにはステレオ・モノ出力切り替えスイッチが付けられている。ボディーサイドにはジャックは一つしか無い。これでマグネットとピエゾの両方を使える。スイッチによる切り替えなのだ。もちろんミックスでも出力できる。

これだけボディーが軽いと、ヘッド落ちしそうな気がする。しかし、ネックもヘッドも軽く作られているのでその心配はまったく無い。ストラップで吊るしてみるとぴったりと身体に納まる。ここちよいフィット感がある。ボディーが2.8kgなので軽過ぎてトレモロを使う際にボディーがグラつきそうな気がする。それでは試してみよう!

サウンド・チェ〜ック!
WEBで様々な方々のインプレッションを読んでいたら「フラットなサウンド」であると書かれているのを発見した。これはどのような意味だろうか?癖が無いってことか?特徴が無いってことか?はたまた「見た目とは全然違う豊かな音」と書かれているのもあった。「アコースティックサウンドが素晴らしい」とも書かれていた。「見た目」とは無機質だと言う事か?その割にはアコースティック的だと言うのか?良くわからない状態になって来た。こんな時は自分で音を出してみるに限る(とっとと音出せよ!)

チューニングを丁寧に行なった。トレモロを使い何度か確認してチューニングは安定した。トレモロを大きく使うとやはりボディーが少し暴れる感じがした。左手でサポートしていればあまり影響は無いだろうがね。ピックアップのスイッチを切り替えて、各ポジションで試してみた。まずはクリーンサウンドから。

マグネットピックアップのフロントはエッジがハッキリしていてなおかつマイルドである。癖が無く心地よい。リアはアラッ?と思ってしまう程、心地よい!リアにありがちな「鼻づまり感」が少ない。なんだこれは?センターは・・・わははは!フェイズサウンドが飛び出してきたぞ!これまたストラトっぽくて楽しいのである!いつまでも弾いていたい感じの素直なサウンドだ。いいぞ!いいぞ〜〜〜!!! アンプでゲインを上げてディストーションをかけてみた。心地よい歪みである。かかり過ぎなくて、私には程よいなあ。

次にピエジピックアップだ。Fishmanが採用されていて、6弦それぞれに独立して取り付けられている。スイッチを切り替える。ジャラ〜〜〜ン!!!おおお〜〜〜!!!気持ちいいぞ〜〜〜!!!かなりアコースティックの感じが嬉しい!妙にわざとらしくキンキンしているピエゾもあるが、こいつは大丈夫だ!トーンとボリュームコントロールが同軸で取り付けられている。

あまりの気持ちよさに、しばらくテロテロと弾き続けていたのだが、やっと気付いたマイナス点がマスターボリュームの位置だった。各ピックアップ用のボリュームノブ以外に、全体的なボリュームバランスをとるために、マスターボリュームが付けられている。そのノブの高さが少し高く感じるのだ。ストロークプレイをすると手を擦ってしまう事が何度かあった。私の弾き方が悪いのか?とも思ったが、プレイヤーには様々なプレイスタイルがあるのだから、これだけは改善の余地ありと感じたぞ。

楽器につきまとう「アタリ・ハズレ」という言葉がある。ギターの場合、同じ品番でも木材を使っている以上、個体が違えばそれなりにクオリティーのばらつきが出るのはしかたが無い。Parker Fly Deluxe Vibratoは、その点がクリアされている感じがする。木材を使っていながらもカーボングラファイトでコーティングすることによって、品質の均一化を図っているのだろう。

一戸建て住宅は「大工の腕」に左右される。優秀な匠を確保する事が必須となる。しかし、匠の腕に頼らなくても「高級プレハブ住宅」であれば、構造的にもデザイン的にも価格的にも必要にして充分なものが手に入る。Parker Fly Deluxe Vibratoはギターの「高級プレハブ住宅化」とでも言えば良いだろうか。性能安定型高級ギターであると言えよう。

Parker Fly Deluxe Vibratoは驚く程プレイヤビリティーが良いと感じてしまう。指板の滑らかさなんぞは吸い付くような感じだ。ステンレス・フレットの輝きもかなり嬉しい!あまりお目にかかる事が無いギターだが、六弦好きはチャンスがあったら是非手にして弾いていただきたい!その外観からは想像できない素直なサウンドの豊かさにビックリするぞ〜〜〜!!!素直さを 例えれば「歌手デビューしたころの薬師丸ひろ子の歌声」の感じだろうか?(そうか〜?)

ゴチャゴチャ述べてきたが、ハッキリ言って、今まで手に入れてきたギターの中で私は「大人のオモチャ」として一番好きかも知れない!だが、残念な事にそれはあくまでも「収集物」の範疇には入ってこない「好き」具合である。




本日の結論
超実践向きギター!ってことは・・・私に必要なギターでは無いか?

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