六弦的魔力展

2002年12月29日 そしてとっくにクリスマスが過ぎ去ったぞ〜〜〜!


この幻を追い続け27年。

「そうだ私はバカだ!バカを貫いてやる!」

掲載再開だ〜!「展望編」に突入開始!

まずは前回までのあらすじ
倉庫 番(くらこ つがい)は27年間憧れていた「Martin D-45」をオークションで落札した。11月22日01時の事だった。直後に出品者からは振り込み後、5日以内に届けるとメールが届いた。そして、落札した翌朝、倉庫 番のBBSに匿名の書き込みがあった。「そのD-45の件は詐欺だから、絶対に現金を振り込まないように」との内容だった。倉庫 番はこれを無視し、 落札金額を銀行に振り込んだ。

5日目の夜になって「Martin D-45」は届かなかった。問い合わせしたが、その後納品日は出品者にずるずると引き延ばされ続けた。12月5日になりようやく出品者の手元にギターが届いたので発送出来ると連絡があった。だが・・・。 数日たってもやはり倉庫 番の元へは「Martin D-45」が届かなかった。いったん発送準備をしたが、ヤマト便で梱包のやり直しを指摘されたと言う。

12月12日出品者から「こうなったら手渡しで届けます」と連絡が入った。電話で話し、落ち合う場所を決めた。12月16日19時田園都市線「溝の口駅」に決定した。だが 12月15日、出品者より待ち合わせキャンセルのメールが届いた。待ち合わせ時間が合わせられないと言う。再び発送の手配を取るとそのメールにはあった。配送予定日は12月17日。今回は本当なのか?

いままでは出品者を信じ続けていたが、振り込み後3週間以上過ぎた為、さすがに倉庫 番にも不信感がつのり始めた。 そして12月17日、突然出品者の娘と名乗る人物からメールが届いた。本当は父親が病気で倒れている。対応は責任もって代行するので、数日待って欲しいとの申し出だった。この情報は本当なのか?一体何が真実なのか?何を信じれば良いのか?信じ続けるべきか?倉庫 番は混乱を極めていた・・・。落札後26日が過ぎていた・・・。


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2002年12月19日朝、倉庫 番(くらこ つがい)は、出品者の娘を名乗る人物のメールを読み直していた。そのメールの行間から滲み出す微妙な変化。これは「D-45」の手ごたえか?そもそも今回のいきさつの中に最初から「詐欺」は存在しえたのか?彼はたんなる善良な出品者だったのではないのか?不幸なアクシデントが頻発しただけではないのか?さらに疑問は渦巻いていた。

倉庫 番を吹き抜ける師走の風と疑惑の嵐は、さらにその寒さをより強いものにしていた。

♪〜〜〜風の中のす〜ばる〜〜〜(お願いだからもうこれっきりにして〜!)〜〜〜♪

私家版

プロジェクト
HEX(ヘックス)
「D-45を追え!展望編」

様々な憶測をし推論を詰め、倉庫 番(くらこ つがい)は出品者の事実関係を日々想像し続けていた。「詐欺」か?「手配事故」か? その実体はなかなか形を露にしてはくれなかった。インターネットに流れている様々な情報は匿名の「噂」でしかなかった。信頼できる確たる証拠は存在しなかった。具体的証拠がない以上、どのような事態になろうとこの時点でもまだ「詐欺」と決めつける事は危険な行為だった。早く真実を見つけるべきだった・・・。

11月22日BBSに書き込まれた「それは詐欺です!」の主張の根拠の一つと思われる記述に、倉庫 番は今頃になって気がついた。読み直してみると、オークションのQ&Aの中にこのような記述があったのだ。

Q「 何年物のD−45ですか?シリアルナンバーはわかりますか?どちらからの発送ですか?」
A「シリアルの上にMADE IN USAと貼ってありますので はがすきにはなりません」

ギターのシリアルナンバーは、それによって生産時期が判明する。オークションでは良くある質問だが、スムーズに答えられないのは何故だ?「通常はシリアルナンバーを答えるはず。それが答えられないのならば、商品そのものが存在しないのでは?」さらには「シリアルナンバーの上にシールが貼ってるなんて観たこたねえよ!」とも言いたくなる。確かにその感覚はあった。だが、嘘をつくのなら適当なナンバーの下2桁をXXにして適当な事を答えたかも知れない。シリアル・ナンバーの上に貼られた「MADE IN USA のシール」この部分こそが所有している者のリアリティーだとも感じられた。深読みし過ぎか?だが・・・これに気付いた事でますます謎は深まっていった。

前回送られて来た娘のメールによると、現在出品者は「高血圧と風邪」で倒れているとあった。それを信じるとどうなるのか?メールは娘の代筆と云う事になる。となれば、あらたな疑問が浮かんだ。この娘はどこまで今回の事情を知っているのだろうか?全貌を知らずして今後の対応はできないだろう。もし、本当に倒れているのなら、いつ復帰するかもわからず、私だけではなく他の商品を落札した人々へも対応ができていないはずだ。出品者も混乱を極めている事になる。

倉庫 番は慎重に言葉を選びながら、メールを書いた。それは、振り込みから現在にいたる経緯。「オークション保証保険申請」へのカウントダウンがすでに始まっていること。さらにリミットが12月21日(土)に迫っていることなど、必要かつ最小限の理性的文章で感情を押さえ綴られていた。倉庫 番は返事を待った。

その日も腱鞘炎はさらに痛みを増し、鈍く重く倉庫 番をいたぶっていた。

12月19日午後、出品者の娘名義で届いたメールによって事態は突然進展し始めた。

こんにちは。御迷惑を知りました。以下の件で私が動きまして対応させていただきます。品物は確保してあることは父の控えでわかりましたので、日曜日の夜に配送検索できるよう責任もって対応させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。●●●

このメール全文を要約すれば「D-45は確認した。12月22日(日)発送処理する」と云う事だ。商品は存在する事になる。娘は倒れた父親に成り変わり「責任」を果たそうとしているのか?文体からしても以前貰っていた出品者本人の物とはかなり違っていた。倉庫 番は「娘」の存在を確信した。では、どうするか?次の手は何をくり出すべきか?その日、自問自答が続いた・・・。

そして「娘」に宛てたメールを送った。娘さんが本当に対応するのなら「保険申請リミット」を1日延ばし、22日に当方で発送確認がとれればカウントダウン中止にすると書いた。ただし、これを本当に「当方のリミット」とすることを最後に書き加えておいた。後は相手の対応次第で動きは大きく変化する事になる。返事を待った。

12月20日娘からの返事メールが届いた。

こんにちは。ありがとうございます。色々、行き違いがありまして真にすみません。伝票には●●万で仕入れしたことがわかりました。なぜ金額がそうなのかわかりませんが、たまにこういうケースが見られますので 聞いても答えてくれませんし、倉庫様には御迷惑をお許しください。●●●

なんだ?これは?メール全体の意味は理解できるのだが・・・部分的に理解しがたい記述があった。「●●万円で仕入れた」とはどう云う事だろうか?それは倉庫 番が落札した価格より遥かに高い金額だった。理解できなかった・・・。「たまにこういうケース」とは「仕入れ価格のケース」だろうか?父親は何も答えてくれないらしい。謎は深まるばかりであったが「娘」の存在を信じさらに数日間待つ事を決心した瞬間でもあった。

穏やかな数日が過ぎた。ついでに今回のD-45騒ぎによるストレスで、倉庫 番のダイエットも順調に進み、春から-11kgにまで達していた。もう、サプリメントにも機具にも頼ってはいなかった。上手く行けば最終目標である-12kgの年内達成も夢では無くなっていた。それが達成できれば、再び次のギターにも手が出せそうだった(おいおい!もうやめろよ〜!体に悪いぞ〜!)

待ちの間、又しても倉庫 番はミステリー本を読んでいた。松岡圭祐著「水の通う回路」この中である啓示を受けることになった。状況証拠から黒としか思えない人物は本当に「黒」なのか?人は事実関係を精査せず、ついつい「決めつけ」の安易な判断を行ないがちだ。「あいつは●●だから、絶対そうだよ!」と言いがちだ。またそのような噂話しを信じがちだ。だが、この安易に言い放つ「絶対!」が本当に絶対である確率は、どの程度なのだろうか?それが安易な判断にすぎないと、論理的に覆されていく様を、倉庫 番は小説の中に見た。

世の中には「冤罪」が起こる状況は幾らでも転がっている。1か月以上に渡る遅延は予測できない状況だったが、WEB上の噂話しを無意識のうちに信じてはいないか?倉庫 番は再び自問自答を始めていた。目の前の出品者とやり取りしている情報から伝わって来た感触はどうなのだ?「悪」なのか?「善」なのか?無意識にすべてを「裏」に読もうとしてはいないのか?

リミットを宣言していた12月22日深夜。再び出品者本人からメールが届いた。
迷惑かけ続けて申し訳ないが、明日配送ナンバーを知らせる。12月25日に到着する。と云う意味の内容だった。本人が再び対応するというのか?退院して来たのだろうか?数日間、静かに待つうちに達観した心境になって来た。倉庫 番は事を荒がげるつもりはなかった。信じる事をいましばらく続行してみようと決心した。そして・・・25日もまた届かなかった。

12月26日早朝、倉庫 番は出品者へ宛てた長文のメールを書いた。商品の存在は確信するが、約束が破られ続け発送できないのはどのような理由によるものか?その事情を知らせるようにと書いた。さらに、11月22日に書き込まれた「それは詐欺です!」の件や、現在に至る展開を書き記した。

その日午後になり、出品者からメールが返って来た。そこに書かれていたのは、予想しない驚愕の事実だった。読み終えた時、事態の全貌が明らかになった。目の前の記述に倉庫 番は息を飲んだ。そして・・・再び静かに到着を待ち続ける決意をした瞬間だった。

♪〜〜〜エンディング・テーマ〜〜〜♪

出品者は病をおして配送手配の準備をしているという。倉庫 番はそれを信じた以上、もうカウントダウンをやっていないとの意志を示したくなった。では、どうやって示すのだ?メールのやり取りや、電話の言葉だけではなにも伝わらないだろう。倉庫 番はふと「病気見舞い」を贈ってみてはどうだろうか?と思い付いた。これだけ待たされてまで「病気見舞い」を贈るというのか?「バカにバカを重ねる」気なのか?「そうだ私はバカだ!バカを貫いてやる!」倉庫 番は小さく呟いた。

♪〜〜〜予告・テーマ〜〜〜♪

出品者のもとへ送り届けられた病気見舞。受け取り、驚愕する出品者!
病に倒れた男は最後の力を振り絞り、ついに行動を起こしはじめた!
この1か月以上の間、何が起こっていたのか! 今明らかにされるインターネットの闇とは!
次回掲載予定「 D-45を追え!完結編」を御期待下さい!(ホントに完結するのか〜?)




本日の結論
さ〜〜て本当に年内に決着するのだろうか?ふっふっふ・・・私もまだ疑問だね・・・。

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