優先的席確保

2002年10月04日 結局はこの中の誰が席を譲ったのか?

1
50歳の私
2
20歳過ぎの娘
3
60歳過ぎのオッサン
4
50歳台後半のサラリーマン

この中で老人に席を譲るべきは誰だろうか?

「席を譲ってくれよ〜!」

本日は「問題編」と「解答編」の二部構成とする。「問題編」を読んでからじっくり考えて「解答編」を読んでいただきたい!それでは開始!

「問題編」

爽やかな朝が訪れた。体調はすこぶる良く、空腹と共に目覚める健康的なそんな朝の出来事である。出勤前にゴミ出しを行い、良き夫である事をアピールしつつ日吉駅に向かった。そして、いつもの通り渋谷行き鈍行に乗り込んだ、そして、9時過ぎの出勤電車内でそれは起こったのであった。

ラッシュのピークが過ぎ、電車内はかなり空間があった。いつものごとく本を取り出し読み始めた私だった。2駅過ぎた時、目の前のボックス席から一人の老人が立ち上がり、降りて行った。そこは通称シルバーシートである「優先席」であった。周りを見渡すと私より年齢が上の客は立っていなかったので、迷わずその空いた席に座り引き続き本を読み始めた。

私の頭部はかなり白髪が目立つ。黒より白の方が多い。さらに、少し痩せて来たので顔も萎みがちである。そろそろシルバーシートが似合う年齢になって来たようだ。

4人がけのボックスシートは、私の目の前に若い女性が座っていた。胸の前にはデイバッグ。前後逆に背負っている感じだ。気弱そうな感じがする。年齢は20歳そこそこか。ヘアはショートカットでまだかなり若く見える。他の二人は60歳くらいのオッサンと50歳台後半のサラリーマンだった。シルバーシートでは目の前の女性だけが異質に見えた。

目を本に戻し更に読みふける。数駅過ぎたころ、突然デリカシーを感じられないドデカイ声が響いて来た。見上げればテラテラと赤みを帯びた顔の小太りで元気そうなジイサンがいた。70歳には見えるなあ。夫婦で乗り込んで来たようだ。

「おねえさん!オレ足を痛めていてなあ!席をゆずってくれよ!」


文字で見るとそうでもないが、音で聞くとかなり強引で「失礼なやっちゃな〜!」と思える響きがあった。さあ!私の向いに座っているその娘はどう動くのだろうか?どのような反応を示すのだろうか?と、その時!私が予想しなかった光景がそこに生まれたのである!

さあ!ここで質問である!なにが起こったのだろうか?
そして4人のうち誰がジイサンに席を譲っただろうか?お答え願いたい!

 






「解答編」

ジイサンはさらに席に上半身を乗り出し、しつこく「席を譲ってくれよ〜!」と娘に向かって大声で繰り返した。そのときであった。娘はこう切り返したのである!

「私!妊娠しています!」

その反撃にジイサンは一瞬理解不能に陥ったようで、再度「なんだって〜?譲ってくれよ!」と大声で怒鳴るのだった。娘は更にジイサンを諭すように言い放った。

「お腹に赤ちゃんがいるんです!」

状況にやっと気付き、ジイサンは絶句するのであった!

シルバーシートは、怪我をした者や妊婦も優先される席なのである。娘は外見からは「妊婦」とは判断できない体形であったが、優先席はお腹の大きさまでは規定していないのだ。さて、ここで考え方が二つある。まず一つは、その娘が本当に妊婦であった場合、ジイサンの絶句で単なる大笑いのうちに話は終了するが・・・。

もし、その娘が「妊婦」でなかった場合、どうなるのだろうか?座席確保の為、意図して「私は妊婦である!」と嘘をついていた場合、それを回避する方法はない。「ああ・・・そうですか・・・」とジイサンは引き下がるしかない。本当だろうと嘘だろうと「妊娠しています!」と言われたら引き下がるしかないのだ。

もっと変な場合は、彼女が「想像妊娠」をしていた場合だ。本人は真面目にそう信じ込んでいて「妊娠しています!」と訴えるのだが、その実体がそうではない場合。これは優先席対象者なのだろうか?



本日の結論
結局、席を立ち上がり譲ったのは私であった!

------------------------------

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



GO TO HOME PAGE