六弦的擦作業

2002年08月24日 いよいよ勇気を奮い立たせ作業開始!


まずはトラスロッドの調整からね!

「400円で道具が揃うぞ!」

2年前からやってみようと思いつつ、永年そのままにしていた「フレット擦り合せ」についに手をつけてしまった!情報を集めつつ悩んでいたのだが、プロショップの方の一言が一歩を踏み出す決断をさせてくれたのだ!現段階ではまだ完全終了していないのだが、どのような過程を経てここまで辿り着いたのか?これから自力で「フレット擦り合せ」をやってみようと御考えの方々に少しでも役に立てばと書き記す次第である!

餌食となるのは「GIBSON LP CUSTOM」である。1978年にアメリカのギターショップで買い求めた。もう24年も前の出来事なんだね。永年荒っぽく使ってきたので、いろいろ傷もあるが、フレットが減り過ぎていたのだ。傷は演奏性には関係ないが、フレットもここまで減ってくるといささか調子悪い。これを改善すべく立ち上がるのだ〜!

そもそも「フレット擦り合せ」作業は何のために行なうのか?ギターのフレットは半音ごとの音程を確定するためにある、金属製の棒である。金属である以上、金属製の弦と触れあっているうちにすり減ってくる。特に頻繁に使う部分のフレットが減ってくると高さが低くなるのだから、減ったフレットで弦を押さえた場合、次ぎのフレットに弦が触れて「ビビリ」が出やすくなる。厳密に言えば音程も狂ってくるのだ。

弦は切れたら交換すれば良いが、フレットは簡単に交換はできない。プロに交換してもらうと3.5万円〜4万円程度の料金がかかる。そこで、フレットを交換する程では無いが、ある程度気になるくらいフレットが減った段階では、フレットの一番減った高さにあわせてフレット全体を削り一律な高さに揃えるのである。この作業が「フレット擦り合せ」である。

これも本来はプロショップに依頼するのが安心なのだが、プロショップに頼んだ場合、 6000円〜1万円程度の料金となる。愛機を永年使い続けるためには必要なメンテナンスである。さまざまなレストアやリペア、メンテナンスをくり返しているとやはり自分でやってみたいと言う欲求が強くなってくる。だが、そこにはいろいろな落とし穴が待ち構えている。

作業前にまず「フレット擦り合せ」に必要な道具をそろえなければならない。そこで最初に必要となるのは「擦り板」だ。これは指板にある凹曲面 に合わせた板にサンドペーパーを両面テープで張り付けて使おうと考えていた。では、どうやって正確な凹曲面 をつくり出すのか?その簡単な方法を聞いたのは1年前だった。

紙粘土を指板に押し付けて型を取ればよいのだという。ほほう!確かにそれで出来そうな気がする。しかし、紙粘土では収縮するのでは無いか?正確な曲面が本当に写し取れるのだろうか?銀座伊東屋で各種粘土を捜してみた。そのなかに「石の粉」が混入されているモノを発見した。これだと収縮が少なそうな気がした。さっそく、型取り開始である!

まずは、ラップを指板の上に敷いた。これはその昔、登録会員から貢ぎ物として送られてきた「業務用ラップ」である。思う存分使える程大量にあるので、た〜っぷり使ってギター本体を保護した。ラップの上に幅6cm、長さ20cm程度に粘土を乗せる。しっかり型取りするために木の板で全面を均一に押した。これは別の意味もあった。この木の板に粘土の水分を吸収させるためと、粘土の強度補強の為だ。そのまま数日放置しておいた。





数日後、粘土を外してみると乾燥が不完全である。そこで、外した後も1週間程乾燥を続けた。だが・・・完全に乾燥が終わった粘土の表面を見て悩んでしまう私だった!確かにそこには指板の曲面が写し出されていたが、その曲面はほんのわずかでしか無い。さらに、小皺が写し取られていてどうも信用できない感じがした。このような作業をプロがやっているとは思えないし・・・!

そんな悩んでいる最中に、オークションでギターを買ってしまった。そして、売り主が「ギタープロショップ」経営でリペアもやられている方だと判明したので、メールのやり取りのついでに聞いてみた。「擦り板には曲面 がついているの?」「いいえ平面です!」ううう・・・ううう・・・プロは平面で作業するのか〜〜〜!!!なんてこったい!私が悩んでいた「曲面 作成」はここで一気に意味を失ったのである!あの銀座で買った粘土は440円もしたのだぞ〜〜〜!!!

さらにコツは、5cm x 15cm程度の握りやすい擦り板に、サンドペーパーを巻いて1弦部分を縦に1フレットから最終フレットまで擦って行き、それを2弦以降6弦までくり返すとOKだと言うのである。そうか・・・そうなると適当な大きさで握りやすく平面を持ったブロック状態の木片があれば良いのだな?よ〜し!手に入れよう!

映画を観に行ったついでに「100円ショップ ダイソー」に突入した。ここには木片が売っているはずだ!しばらく捜しているとそれは見つかったが、さらにその直後!適格なブツを発見したのである!サンドペーパーがロックして取り付けられる道具なのだ!これなら加工する必要も無い!おおお〜〜〜!!!これが100円なら買いだぞ〜!さらに、金属製の物差、メンディングテープ、そしてサンドペーパーがいずれも100円均一!下の画像がそれらである!


ダイソーでは、 こんだけ揃えて400円なのだ!


それでは作業に入ろう!
まずはネックをなるべく真直ぐに調整しなければならない。トラスロッドを調整してほぼ真直ぐにした。確認の為、金属製の物差をあててフレットとの隙間を観ると、思ったよりネックが反っていた。肉眼だけで安心してはいけないのだな!そうかそうか、私は乱視があるので眼鏡越しに見ると直線でも曲がって見えることがあるのだ。金属製の物差による確認は必須である!さらに微調整をくり返し、一晩寝かせた。ネックの安定を確認してから本格的作業に突入するのである!

8月24日朝から「フレット擦り合わせ」の第2段階の準備に入った。まずは、ネックの状態確認である。ほぼ直線であることが判明した。それでは次に移ろう。研摩作業をやると金属の粉が出る。それが指板に食い込み汚れる可能性がある。そこで、まず指板とナットの保護の為、メンディングテープを丹念に張り付けるのである! ボディーにも紙を巻き保護を施した。



登録会員からいただいた情報によると、フレットは思ったより柔らかく簡単に削れるようだ。そこで、時間がかかってもかまわないので、失敗を防ぐために、800番のサンドペーパーを選んだ。次に、すべてのフレット上面を黒い油性マジックで塗りつぶす。凹んだ部分にも丹念に塗るった。いよいよ全体をサンドペーパーで少しずつ削り平面を出していく。偏りが出ないように、全面を柔らかくなんどか擦って行くうち先ほどの凹んだ部分のマジックが消えて金属面が出てきた。力をあまり入れることも無く、軽く擦るだけで作業は進む。マジックの黒が全部消えればフレットの一番低かった部分に全体の高さが揃ったことになる。 ここまで削りはじめからわずかに15分程であった。下の画像ではあまりよく分からないが、見事に美しくなったフレットである!



さて、次にやらなければならないのは「TOP出し」の作業だ。現時点でフレットの上面 がフラットになっているため、音程が安定しない。理論上、弦に触れるフレットのピークは面 では無く点でなければならない。そこで、フレットの上面を丸く整える必要があるのだ。これには専用のやすりが販売されているのだが1万円もする。ここまで来てその出費はどうなのだろうか?100円ショップで頑張って来た以上、ここから先も「安価な道具」でクリアしたいものである!それが終わってから仕上げのポリッシュを施せばすべて完了となる!

ここから先はギターの演奏性に影響する繊細な作業なので、荒っぽいことはできない。急ぐ旅でも無いので、じっくり道具を捜しつつ慎重に作業をすすめることにしよう。それではこの先の作業については、また近日中に続編をお届けすることを約束して、今日のところはさらばぢゃ〜〜〜!!!



本日の結論
「擦り合わせ」までは400円で道具が揃うぞ! さて「TOP出し」にはいくらかかるのだろうか?

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