読了的二冊組

2002年06月13日 読んでしまったけどさあ!




「どう着地させようとしているのだ?」

どこのBOOK OFFに行っても100円コーナーでかなり目立つ存在がある。それは同じ作家の同じ本がずらりと並んでいるからだ。大量に販売され、大量に中古市場に出回って来ているのだろう。もしかすると、出版社が在庫処分をしたのかもしれない。先週の事だった。レンタルビデオを借りに行った際、入り口付近でその本がさらに安く販売されているのを発見した!

シドニィ・シェルダン著「真夜中は別の顔」上巻下巻がセットで100円なのだ!1冊にすれば50円にしかならない!ううむ・・・今までまったく食指を動かしていなかった作家だが、この値段なら騙されても構わないなあ〜!と迷わず購入した次第である。

それにもう一つ購入動機はあった。先日、NHKの夜のドラマとして「真夜中は別の顔」がシリーズ化されオンエアされていたのに気付いたのだ。私は「つまんねえ本ならNHKもドラマ化はしないだろう!」と判断したのである!

1冊460ページ程の分量だ。まずは上巻を朝の出勤電車で読み始めた。ううっ・・・なんだか予測していなかった展開のスタートである。太平洋戦争前と戦中、さらに戦後へ続くストーリーは、最近の推理小説と違って、時代背景がすぐに古ぼけるわけではないので、安心して読んでいられた。

だが、読むにつれ不快感が漂い始めた。舞台はヨーロッパとアメリカである。ストーリーがのぞき見趣味的なアメリカの昼メロの様なのだ。いわゆる「ソープ・ドラマ」と呼ばれているやつだな。ちなみに「ソープ・ドラマ」の呼び名は、その時間帯のテレビドラマのスポンサーが洗剤会社であることが多いことから付いたものである。メインストーリーは二人の女性の人生模様である。それが交互に綴られて行く。

文体は「超翻訳」と名付けられた通り、原作を読みやすくする為にかなり変型していると聞いた事がある。確かに翻訳本にしては読みやすいのでスイスイ進み、帰りの電車の中で上巻を読み終えてしまった。こうなると、面白いと言うよりも「どう着地させようとしているのだ?」という興味だけで読み進む事になる。

翌朝、下巻に取りかかった。これまたスイスイ。途中に後都合主義的表現でかなり書き飛ばしている部分も多いが、次から次と問題が起こり展開し、悪人なのか?善人なのか?疑惑と欲望が渦巻く。気がつけば、昼飯時にも読み続け、退社時には早くも読み終えるスピード感であった。さすがに、二冊で100円だけの事はある。余韻もなにもあったものではない。

映画なり読書と言うのは、ある程度人生に影響を与えるものだ。だが、シドニィ・シェルダン著「真夜中は別の顔」は私にとって単なる時間潰しにしかすぎなかった。下世話な週刊誌を電車の中で読み飛ばしているのに近い感覚があった。次のページに引っ張っていく為の下世話なエピソードの羅列なのだ!

そこで気になるのは、NHKである。果たして7年間に渡るあのエゲツナイ・ストーリーをどのように料理したのだろうか?舞台を日本に置き換えるとかなり表現が狭くなると思うのだが・・・テレビでの表現の限界もあるだろうし・・・。誰かNHKのドラマシリーズを観た?



本日の結論
男性としては、女性不信に陥る本である。こんな女はいねえよ〜!

------------------------------

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



GO TO HOME PAGE