喪失的緑景色

2002年05月30日 その朝、怒りは沸騰した!


この画像の意味は!

「貴重な自然の風景は二度と戻らない・・・」

13年前、私達家族が現在のマンションに引っ越して来た時、9階の窓から見える景色を堪能していた。春に桜が満開となり、やがて若葉が芽吹き、丘の斜面の木々は夏に向かいその緑を濃くしていった。遠くまで見通せる風景は心地よい風と共に、心安らぐ家庭生活をもたらした。それまで東京都内のマンション暮しだった私達は「交通の便利さ」を「緑の豊かさ」と引き換えにしたのであった。

数年後、200メートルほど離れた場所にある、向いの斜面が削られ始め、コンクリートの壁にされた。あれよあれよと言う間にそこには新しいマンションが建設されてしまった。いくぶん緑が削られたが、方角的にあまり見える景色ではなかったので、その時点では気にならない程度だった。

その1年後、さらにその隣の土手が削り取られ始めた。そこにもまたマンションが建ち始めたのだ。土地を固める為に時間がかかったようで約2年後それは完成した。この時点で私の自室から見える緑の割り合いは30%減となっていた。これ以上削られる事もないだろう・・・そう思っていた矢先の事だった。

数年前突然、窓の下に広がる市営住宅地が取り壊され、移転する事になった。後に残ったのは広大な土地と、公園だった。川崎市の管理地なのだが、取りあえずその後の使途は不明であった。当面の計画もないと聞いていた。家々が消えた土地には木や草が生い茂り、いっそう緑の度合いが増していた。このまま市民の憩いの公園化する事を近辺の住民一同が望んでいたのだが・・・。

その土地に高層ビル建築の計画が持ち上がった!10階建ての老人医療施設だと言う。当家の目の前に建つと言うのだ!遠くまで見通せていたこの心地よい空間が消えてしまう事になる。ううう・・・。しかし、市の条例でこの土地に10階建ては建てられないはずだが・・・。当然、住民の猛烈な反対運動が始まった。

いくつかの根拠があるのだが、何故10階建てにしなければ鳴らないのか?どうしても作るのであれば6階程度なら、回りの状況から威圧感もさほどなく、住民は納得出来たかもしれない。だが、川崎市は10階建てにこだわった。その後、何度か公聴会が開かれ住民の意見が求められたが、それは川崎市の「ポーズ」でしかなかったのだ。結局は1年後、川崎市の当初の計画通り建設が決定し作業が始まってしまった。

この地に老人の為の施設を作るのに無理がある事を住民達は知っている。だが、川崎市はそれをゴリ押しした。生活する上で人は何を必要とするのか?老人と言えども「交通機関」は必要である。だが、この地には「駅」がない。わずかに走る路線バスがあるのみだ。それも1時間に1本〜2本程度しか走らない。つまり、自家用車がないと通常の生活ができにくい地域なのだ。

施設を訪問する方々も車で来るしかない。だが、その建設計画には駐車場が大いに欠如しているのだ。ただでさえ駐車スペースが確保できない斜面だらけの土地に、駐車スペースを確保しないで高層建築を作れば、周りは明らかに違法駐車だらけになるのは見えている。さらにこの土地は、谷底状態である。その中に到達する為の道路はとても狭い。重機を積んだ工事車両が、数年に渡り走りまわれる道路ではない。ちなみに、その道路の入り口には「大型車両通行禁止」と表示が出ているくらいなのだ!

そして、今朝の事だった。チェーンソーの音で目覚めた私は窓外を観て、目を疑った。私が愛してやまなかった窓外の緑がほとんど伐採されてしまったのだ。入居当時からすると目の前の90%の緑が消えてしまった事になる。ううう・・・ううう・・・。貴重な自然の風景は二度と戻らない・・・。


本日時点ではこの画像よりもっと伐採が進んでいるのだ!



本日の結論
緑を求めるならば、もっと田舎に住むしかないか・・・。って、どこだよ?

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