読了的主婦戦

2002年05月11日 連休中に読んだ本!


小川勝己著「葬列」¥1500- 角川書店刊  


「後ろから読むのはやめた方が無難である」

本日も例によって、BOOK OFFの100円コーナーで購入した本である事は言うまでもない。ミステリー系だ。

小川勝己著「葬列」は、2000年の横溝正史賞受賞作である。その年は大賞が2冊あった。そのうちの1冊は昨年すでに読んだ「DZ(ディージー)」だ。「葬列」はヤクザと主婦とねえちゃんの戦いである。どのような戦いかは読んでいただくとして、前半、やくざ組織の内部と主婦仲間の人間関係がじっとりとした感じで描かれる。ここを読み飛ばしてはならない。後半との落差が大きい程、面白くなるのだ!

それではいつものように腰巻きの惹句を披露しようか!

社会にもてあそばれ、運命に見放された三人の女と一人の男。
逆転不能の状況の中で、負け犬らはとっておきの作戦を実行した。
果てしなき欲望と本能だけを頼りにして・・・。

THIS IS WAR.
これが私たちの戦争なんです。


選考委員 激賞!

不幸のどん底で喘ぐ中年主婦・明日美としのぶ。気が弱い半端なヤクザ・史郎。そして、リアルに生きられない孤独な女・渚。運命に見放されたこの4人の物語が、かつてない戦慄と驚愕の世界にあなたを巻き込む!超一級品のクライム・アクション!!

各選考委員絶賛

綾辻行人氏 ・・・最初から最後まで面白く読ませられてしまった。
内田康夫氏 ・・・面白さではトップ。スピード感も臨場感も十分。
北村 薫氏 ・・・ラストシーン、特に最後の一行にしびれた。
宮部みゆき氏・・・渚というバイオレンスな女の子が、すごく良かった。


小川勝己著「葬列」には銃器がふんだんに登場する。そのあたりのマニアの方にも喜んでいただけるだろう。この本を一言で言えば、メインは「やくざと素人の抗争」である。そして、やくざも素人主婦もバリバリ撃ちまくるのだ!

映画「ニキータ」でも感じた事だが、女性の細い腕で銃器を何処までコントロール出来るのだろうか?あきらかに「44マグナム」を現実にはあのような体勢でニキータが撃ちまくる事は出来ないと感じていたのだが・・・「葬列」でもその疑問が噴出する。ド素人の主婦が、やくざ相手にそこまで銃器で戦えるのか〜?「こりゃあフィクションだからさ〜!」と言ってしまえばそれまでなのだが、リアリティーってえもんがあるだろうがよ!と突っ込みを入れたくなる部分が点在する本だ。

だが、その部分を踏み越えてしまえば、やくざ組織の内部抗争とそれを利用した主婦達の戦いに快感さえうまれる。小説「OUT」で見せた「だらしない主婦達の底力」と同等の居直った力強さを見せる本だ。私が気に入ったのは、この本の一番最後の1行である。鮮やかな一言で締めくくった技は、快感である。その1行が映像として脳裏に浮かぶのである!

しかし、その最後の1行は、頭から読み続けて来て出くわすゆえに快感なのだ。映画「ダイハード」のアノ名シーンに通じる1行である。決して本屋で最後の行を立ち読みしても「快感」は得られないと思うので、後ろから読むのはやめた方が無難である。てなことで、私の評価は「中当たり」とした。面白いけど、大当たりには1歩届かずてなとこだね。



本日の結論
フィクションならではの世界である!

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