六弦的連休明

2002年05月07日 人々の群れは今日も激しく出勤する!


Martin 000-42EC 定価200万円
このようなギターであった可能性はないのか?


「泣き崩れているかもしれない」

初めての10連休体験が終わり、久々に出社したな〜ってな感じがする。連休中は宮崎の実家、自宅、片品村のログハウス、で過ごした為、多くの人の波に揉まれる事も無かった。だが・・・今朝の出勤時、東横線の電車のドア前で躊躇するのであった。急行電車が到着しても、すでに電車に乗り込んでいた人々で満杯だ。ホームに溢れる人々は、これにどうやって乗り込むと言うのだ?でも、乗り込まなければ朝の会議に間に合わなくなる!

ドアが開いた。目の前の人々は先を争って突進する。無理矢理身体をねじり込むが、弾かれる人も多い。乗り口の縁につかまり、無理矢理背中とケツでぐりぐりやっているOLがいた。おいおい!そんなに身体を押し付けて、となりのおっさんが嬉しそうだぞ!だが、その行為は私の目には空しい行為に見えた。上半身はなんとか電車の中にあるのだが、下半身が車体の外なのだ。グリグリ。ゴリゴリ。いくらやっても自力でそれ以上の進入は無理だと思えた。私はその時点で戦意を失っていた。

そこに駆け付けたのは、駅員である!OLの腰辺りを押し、足下を押し込み、何とか無理矢理詰め込んだのである!ドアが閉まった。そのドアの合わせ目には、OLが持っていたルイビトンのバッグのベルトが、しっかり挟まって表に飛び出していた。隣のドアを見ると、おっさんのジャケットの裾がやはり飛び出していた。去り行く急行電車のドアドアにいくつものトビダシモノが存在するのを笑いながら見送る私であった。

観察者としての立場でこれを書いていると言う事は、当然、私はその急行に乗れなかったのである。私以外にも挫折して乗り込めなかった人々がホームにかなりの数残されていた。今、目の前を出て行った電車は急行である。となると、あの電車の中は終点渋谷まで乗り続ける人がほとんどだろうな。そこで心配になる。

無理矢理乗り込んだ客は、次の駅でどうするのだろうか?ドアが開いた途端、外にほうり出されるのは見えている。しかし、再び自力で乗り込む事は出来ないはずだ。さらに、その駅から乗り込む人々も待ち構えている。さあ!さあ!さあ!どうやって再乗車する気だ〜〜〜!!! また駅員の腕力に頼るのか?

急行に乗車拒否された私は次の鈍行でゆっくり出社した。かといって鈍行もがら空きだったのでは無い。適当に混んでいていた。のんびり本を読んでいられる状態では無かったのだ。やがて渋谷駅で山手線に乗り換えた。かなりのラッシュである。と、目の前に黒いギターケースを抱えた青年を見つけた。アコースティックギターのケースなので分厚い。こんな時間にギターケースを持って乗るのは反則じゃないか〜?周りの人々は角がぶつかって痛て〜はずだぞ!

そのギター青年は必死にケースを抱きかかえてかばっているのだが、そんなこたあ他のサラリーマン諸氏にとって関係ない事だ。身体をギュウギュウ押しつけて来るのである! ギターのハードケースはかなり丈夫だとは言え、あそこまで表面が押されると、ひょっとしてトップが割れてしまうので?と心配したくなる程の人々の圧力である。

その割れんばかりの圧力は1駅で消えてしまったが・・・。思い起こせば3年前、その青年はガソリンスタンドのバイトで頭金を作り、ボーナス併用の36か月払いでやっと手に入れたギターなのだ!スプルース・トップにサイドとバックがハカランダ、エボニー指板の名器である。黒澤楽器店のガラスケースに納まっていたあの高級ギターだ!先月すべての支払を終え、所有権が完璧に自分のモノとなった矢先の今朝のできごとなのだ!今頃は、ギター表面の板に大きなひび割れを発見して泣き崩れているかもしれない。哀れである!じつにあわれである!

ギターケースを持って朝のラッシュに巻き込まれるのはとても危険な行為だったのだと、ギター青年は後悔しているのだろうなあ。いや!きっと後悔しているに違い無いぞ! でも・・・あの青年はそこまで危険を犯して、何故あの時間に高級ギターを持って電車に乗る必要があったのだろうか?理解できんな〜〜〜!!!(勝手に高級ギターだと思ってないか?)




本日の結論
私が9時からの会議に遅れた事は言うまでも無い!

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