六弦的計算談

2002年04月17日 買うべきか買わざるべきか?


Martin D-45AJ


「うおおお〜〜〜!!!安いぞ〜〜〜!!!」

今から25年程昔、私が欲しかったギターがある。「Martin D-45」当時の価格はすっかり忘れてしまったが、現在製造されているモノは定価105万円となっている。店頭実売価格で言えば、80万円前後といったところだろうか?アコースティックギターの最高峰である。ギター小僧の憧れの逸品だ。なかなか手が出せない価格である。

「Martin D-45」が最初に製作販売された当時、サイドとバックは「ハカランダ」が使われていた。現在は自然保護の為「ハカランダ」が使えなくなってしまった。別名は「ブラジリアン・ローズウッド」である。擦るとバラの香りがするのでその名が付いたと言う。現在の「Martin D-45」は他の地で採った「ローズウッド」が使用されている。

「ハカランダ」は高級木材との位置付けになっている。そのため「ハカランダ」を使用したモノは高値を呼んでいる。同じ「Martin D-45」でも250万円なんてな価格がつけられて販売されている。うっへ〜!こうなると、もう手が出せないなあ。買ったところで、恐くて弾く事が出来ないだろう。となると、所詮「眺める為のギター」にしかならない。

さて、そんな「Martin D-45」を先日、ヤフーオークションで発見した。ほぼ新品状態で45万円からのスタートであった。私の読みでは52万円で決着!だろうと推察したので、まずは小手調べで45万円の入札をしてみた(おいおい!入れたのかよ〜!)だが・・・それはすぐに追いこされ45.5万円にされてしまった。

しからばと48万円の入札をしてみた。ふっふっふ今度はしばらくその入札額一位の座を保つ事が出来たが、それとて1日しか持たなかった。次々に入札額が上がり、507,000円となんとも中途半端な数字まで来た時、停滞が始まった。そこから上がって行かないのだ。オークション終了2時間前になってもまだ507,000円のままである。

さて、ここで自分の中の矛盾に気付くのだ。私は何故入札しているのだろうか?確かに「Martin D-45」は欲しいが、手に入れてどうするのだ?弾くわけでも無い。アートとして飾るような場所も部屋に無い。明らかに、落札できない価格を狙って入札しているし・・・。欲しいのか?欲しく無いのか?はっきりさせい!ってな感じがする。

登録会員00038橋本様はこう言った「Martin D-45はイッショウモンですよ!是非手に入れて下さい!」ううむ・・・一生モノか・・・では、私が今手に入れると、どの程度の一生モンになるのだろうか?もうすぐ誕生日が来る。ついに50歳に到達してしまう。父は67才で無くなった。私の寿命を父親と同じとすれば、残存生命は17年しか残っていない。



「Martin D-45」を52万円で落札したとしよう。17年で割れば、1年あたり3万円ちょっとだ。さらに日数で割れば、1日当たりほぼ83円となる。金利計算を無視すれば、私は1日あたり83円で「Martin D-45」を手に入れられるのだ。83円であれば、日々の昼飯を「中華弁当780円」から「お好み弁当680円」にランクダウンすれば捻出できる金額である!うおおお〜〜〜!!!安いぞ〜〜〜!!!(そうか〜?)

さらに計算は進む。私が「Martin D-45」を死ぬまで持ち続ける確率は低い。そこで、10年後に45万円で手放したと仮定してみよう。10年間で7万円の損失となる。年間7千円の損失なので、1日当たりは、ほぼ19円 になってしまうのだ!うおおお〜〜〜!!!すんげ〜ぞ!1日あたり19円で「Martin D-45」が手に入るんだぞ〜〜〜!!!また一歩近付いた感じだな〜!

で、次の計算である。昨今の円安で「Martin D-45」の定価が上がるとの情報が入った。10%の値上がりを想定すると、10年後に55万円程度で売れる可能性もある。そうなると損失ではなくなる。一日あたり8.2円のプラスになるのだ〜〜〜!!!うほほ〜〜〜い!なんだよ〜!買っちまえば儲かるてえ事じゃね〜かよ〜!もう買うしかね〜か〜?そうだよ!買うしか無いんだよ〜〜〜!!!それ行け〜〜〜!!!それ行け〜〜〜!!!入札するぞ〜〜〜!!!

しかし・・・私がその結論に達した時、すでにヤフーオークションは終了していた!嗚呼・・・。



本日の結論
落札価格は\557,000円となっていたぞ!ウッヘ〜〜〜!!!

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