六弦的生音欲

2002年03月15日 迷いつつもふらふらと入札!


このギターの正体はなんだ?


「もっと判断材料はないのか〜〜〜!!! 」

もう春である。本日は気温が23度まで上昇していた。春を通り過ぎて初夏の雰囲気である。勤務先の室内は、早くもエアコンが冷房でひんやりしていた。さてこのところ、アコースティックギターを触りたくてウズウズしている私だ。かつて当家にあった最後のアコギは弟の元へ行ってしまったので、現在、手元には1本もアコースティックギターが存在していないのだ。 ギターのボディーデザインは、もともと女体を模したものであろう。春になって来てそれを触りたいと思うのは自然の摂理かも知れない!(そうか〜?)

アコースティックギターと言えば「Martin」がトップブランドである。あの鈴の音のようなシャリーンとした響きが世のギター好きを魅了し続けている。私が25年前に非常に欲しくなった「Martin」がある。「Martin D-45」という名のそれは現在の定価が¥1,050,000- となっている。「Martin D-45」にもいくつか種類があるのだが、この価格のモノが一番安い。使っている材によっては250万円なんてな値段がついているものもあるが。

この価格であると言う事は、一般人はなかなか買えないのだ。中古で探してみると55万円程度のものは出ている。ヤフーオークションでも時々出現するが、ほぼ50万円以上の価格がつけられている。一般サラリーマンが小遣いをためて買うにはちょっと辛い。買ったところで傷つけるのが嫌でほとんど弾く事なく、ケースの中で眠りにつくはずだ。

昨日のテレビ番組で「南こうせつ」がギター盗難について語っていた。彼は「Martin D-45」を盗まれたと言う。盗まれた方としてはかなり悔しい思いをしたに違い無い。ギターはいったん盗まれてしまえば、表に出さない限り見つける事が出来ない。元の持ち主がシリアルナンバーを控えていたところで、質屋にでも持ち込まれなければ意味は無い。

ちょっと話がずれて来たので元に戻そう。

春になりアコースティックギターを探していた私は、いつものようにヤフーオークションを徘徊していた。するとそこに変なアコースティックギターを発見した。 説明には「000-42」のコピーモデルとある。ヘッドには何のロゴもついていない状態だ。ギターにもラベルや焼き印等のなんら見分ける為の記述が書かれていないので、出品者もそれがなんであるのか良く分かっていなかったようだ。その説明文の中に「うわさの中林貿易のビーバードか?」とも書かれていた。なんだそれは?誰が噂しているのだ?さっそく調べてみよう!

Beebird
Beebird Guitarは当社企画の国産ギターのシリーズです。価格面ではカジュアルでありながら、高品質を維持する事をコンセプトに、少数ロットで既に十年以上継続しています。 BF-18SとBF-28Sは、プリウォーのビンテージギターをイメージして、若くて意欲的なクラフトマンが謹製しました。最高品質のスプルース単板をトップに使用し、低音から高音までバランスがとれ、良く鳴ります。 BF42Sそして今回新発売のBFX-42とBFX-42Dxはこのコンセプトを徹底的に追求して高いクオリティーを納得の低価格で実現しました。Hiscoxの高級モールドケースを付属させました。 EG-118は、Highlander IP-1(USA)のハイエンド・ピックアップを搭載し、14フレット・ジョイントのネック、極上のスプルース単板を使用し、Hiscoxケースを付属させた、オリジナルのエレガットです。これまた、中堅メーカーの熟練クラフトマンが製作致しました。


「Martin 000-42」はエリック・クラプトンが「アンプラグド」を大ヒットさせた時に使っていたギターとして有名だ。ブレイシングが薄く仕上げられ、TOPが激しく振動するように作られている。そのため、繊細さはあるが、耐久性が弱い。そこで、エリック・クラプトンはライブでは「Martin 000-42」ではなく「Martin 000-24」を使うようだ。その方が安いしね。

その名器のコピーだというのだ。出品者は。Beebird Guitarはかなり力を入れて作っているようだ。ブランドさえ気にしなければ、気軽に弾き倒すギターとして面白いのでは無いだろうか?出品されていたギターと似ているものをWEBのカタログから探してみると、BF42S(8万円)、BFX-42(15万円)、BFX-42Dx(17万円)の3種類が存在する事が分かった。オークションの画像を良く見るとバックが、 BFX-42Dx(17万円)で使われている「ハカランダ プライ」では無いので、BF42S(8万円)かBFX-42(15万円)に絞られる事となった。



しか〜し!!!この2本には価格差があまりにもアリ過ぎる。さて、どちらなのだ?私以外のウォッチゃーたちもそれに気付き始めた。問い合わせのメールが飛び交った。WEBのカタログを分析して引っぱり出した私の判定基準は2つである。ブリッジが「ローズウッド」か?「エボニー」か?エボニーであればBFX-42(15万円)と確定する。それとパーフリングの素材だ。

その質問が他のエントリー者から質問として出されていた。ううむ・・・出品者の答えは「わからん!」であった。「エボニー」のようでもあり「ローズウッド」と見えなくも無い。そんな回答なのだ。ううむ・・・役にたたんやっちゃな〜!それではもう一つの質問は私がする事にしよう!

「ボディー周囲のパーフリングは本物の貝?それともプラスティック? 」これさえ分かれば明確になるのだ!本物の貝であればBFX-42(15万円)、プラスティックであればBF42S(8万円)となる。そして、返事が帰って来た。「わかりません美しく豪華です!」うおおお〜〜〜!!!なんじゃこりゃ〜〜〜!!!



メーカーが確信持てない。使われている材もなにひとつ分からない。この状態で入札せよと言われてもなあ・・・。それに私はBF42S(8万円)であればちっとも欲しく無いのだ。もし、BFX-42(15万円)であれば、手に入れても良いかも!と思っているのである。ううむ・・・もっと判断材料はないのか〜〜〜!!!

あまりの問い合わせの多さに出品者はついにこのような事を表明した。
「現物見てからの返却はOKとしてます。どうぞご安心下さい。
  ただし往復の送料はご負担になります。 あまり良く調べず出品してごめんね! 」

ほほう!殊勝な心がけである。こうなれば話は早い。BFX-42(15万円)に対し妥当だと思われる価格で落札し、届いたものを精査して「BF42S(8万円)じゃね〜かよ!」と判明したら返品ができるのだ。こうなってくると、アコースティックギターが欲しくてオークションに参加するのでは無く、そのギターが「ナニモノ」であるかを確認したくて入札するようなものである!さてと、どうなる事やら!いざ〜!入札〜〜〜!!!

そして早くも結果が出た。3月15日21時過ぎ、オークションは終了したのである。そしてその落札価格は、¥85,555-であった。なに〜〜〜???いったいどうしたのだ?この落札者は質問メールの中で「BF42S(8万円)」であると確信した風の事を書いていた。となると¥85,555-の落札価格は変じゃないのか?定価が8万円だぞ?楽器店で新品を買っても6万5千円程度だろうな。普通の感覚なら4万円〜5万円程度が程よい落札価格のはずだが・・・。

それともこの落札者は、 BF42S(8万円)であると他の人々に思わせておいて、実はBFX-42(15万円)であると信じていたのだろうか?そうでなければ彼の落札価格は納得できない。定価より高く落札する理由が他にあるだろうか?ううむ・・・かなりの高等戦術を使ってるのだろうか?初めての経験だけに、いささかウロタエル私である。本当の理由はなんだろうか?知りたいぞ〜〜〜!!!

この落札者はきっとこのギターを「返品する!」と予言しておこう!



本日の結論
落札できなくてラッキ〜!ってな事を言えるのは、精神状態が健康になった証拠だい!

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