六弦的別路線

2001年05月04日 思わぬ事が思わぬ結果を呼んだ!

  

FENDER TETECASTER CUSTOM SHOP

「『仏教徒』に『十字架をぶら下げろ!』と強要する状況なのだ!」

5月2日は水曜日であった。この日「SEABIRD」の月例ジャズライブに出かける直前、私は東急池上線「雪が谷大塚駅」に向った。五反田から11分で到着する7つめの駅だ。ここでアル取り引きを行う為だった。

話の時間軸をグンと戻そう。登録会員00035橋本様はかねてより「フエンダーはイカンっすよね!出来がワルイっすよ。パーツも音もな〜んかチープだし!」とまったくアンチ・フェンダー派だった。フェンダーとは「Fender」の事であり「Gibson」と並んで世界の2大ギターメーカーの片方の事である。私自身は、フェンダーが劣っているとは思わないが、その構造から来る、様々な特長からあまり好きではなかった。特に「Fender TELECASTER 」にはまったく魅力を感じていなかったのだ。それゆえに私の「六弦倉庫」には今まで「Fender TELECASTER 」が決して登場する事はなかった。

4月下旬の事だった。WEBオークションで1本の「Fender TELECASTER 」を発見した。ボディーはトランスルーセントブルー。つまり透けた青。杢目が美しい!その杢目を活かす為にピックガードは装着されていなかった。ネックはセットネックだとかいてある。ピックアップは2つとも「デイマジオ PAF Classic」タップでシングルにも切り替えられると言う。

さらに、ヘッドはダークブルー塗られたマッチングヘッド。ヘッドの裏には「Fender Cusom Shop」のマークが入れられている。良く見ると、ブリッジは2点支持のアーム付きである。指板はエボニー。それは私が今まで一度も見た事がない、超高級仕様「Fender TELECASTER 」だった。それもそのはず、カスタムショップ製の40万円の商品であるというのだ!



通常、WEBオークションでは「Fender TELECASTER 」の人気は低い。ビンテージでない限り、かなり安くしか取り引きされない。だが、目の前のブツはちょっと強気の価格設定であった。このような場合、なかなか入札はされず、何週にも渡って、グルグルとオークションに掲示され続けるケースが多い。回転寿司の不人気ネタがいつまでも客の手に取られず、乾ききって目の前を通過する様に似ているのだ。

そして、3回転目。ついにその「Fender TELECASTER 」は値下げを断行した。といっても、ホンの僅かでしかなかったが・・・。 と、その時「入札してみたら〜?」と耳元で悪魔が囁いたのである。この悪魔は明らかに「私自身」である。逃げようがなかった。悪魔の囁きの根拠はこうであった「この仕様から察するに、いわゆるFenderサウンドとは違うのではないか?さらに元の値段からすればこの価格はかなり安いだろう!」そう結論付けたのである!

しかし、悪魔の本音は違っていた。この値段なら誰かが入札するだろう!その前にちょいと入札して遊んでやれ!その精神状態だったのである!落札できなくても構わないし、この最低価格で手に入れば、まあ良しとするか!「私の集めているものとは別路線だしなあ・・・」との躊躇もあったが、取りあえず入札しておいた。

4月28日。片品村でギターレストアに励んでいる時、オークションのWEBをチェックして愕然とした。私以外の誰も入札しなかったのである! つまり私が落札者となったのである!ここで、いつもお読みいただいている皆様はもう気付いているだろうが・・・。その前日「YAMAHA SG-175B BUDDA」の購入を決定していたのだ。片品村から帰れば次の日には引き取りに行く手はずなのである!うおおお〜〜〜!!!これはキツイ経済状況となったぞ〜〜〜!!!

だが、武士に二言はない。金も無いが二言も無いのだ〜〜〜!!! なんとか約束の現金を準備し「Fender TELECASTER 」を引き取る為に5月2日夕方、東急池上線「雪が谷大塚駅」に向った。改札口を出たところで、待ち合わせし、駅の通路での商談となった。相手は販売のプロではないが、ギターのプロであった。さっそく現物をチェック。傷は小さなものが多い。まあこの程度は覚悟していたので問題は無いが。色は思っていたより深いブルーである。実に大人っぽい。

糸巻きはウイルキンソンのロックペグだった。アーミングでも狂いは少ないはずだ。演奏上のコンディションはまったく問題ないと思われる。ストラップピンもロックピンになっている。かなり贅沢仕様になっているな〜!ギターを持ってみると、ずっしりと重い。私が知っている「Fender TELECASTER 」とはまったく違う重さだ!これはなかなかのギターだぞ!と商談成立!

ハードケース入りなので指先がちぎれんばかりの重さであったが、そのまま担いで、青山「SEABIRD」へと急いだ。ここに持ち込んですぐにライブで登録会員00035橋本様にステージで使ってもらうのだ。これによって客席から客観的に「音の判断」をするのだ!だが、そんな日に限って橋本氏は残業なのかなかなか登場しなかった。ううむ・・・。このまま試奏されずにスゴスゴ帰らなければならないのか〜?

そう苛立ち始めた頃、橋本氏が登場した。ギタリストはもちろん自分のギターを持ってくるが、それはさておいて、私が持ち込んだ「Fender TELECASTER 」をいきなり弾いてもらわなければならない。アンチ・フエンダー派の橋本氏にそれを弾かせなければならない!例えれば「仏教徒」に「十字架をぶら下げろ!」と強要する状況なのだ!だが、橋本氏は「弾き倒し王」である!他人のギターを何でも弾きまくる趣味があるのだ!むしろ、それを楽しみにしているのである!そして、その試奏の結果は〜〜〜!!!


「Fender TELECASTER 」と「弾き倒し王 橋本!」


甘い!実に甘く切ないサウンドが飛び出して来た。コシがあるサウンドだ。非常に心地よい!ピックアップが「デイマジオ PAF Classic」に交換されている理由が良く理解できる!ライブ終了後、さっそく橋本氏に感想を聞いてみた「弾き易いっすね〜!通常のFenderと全然違いますよ〜! ピックアップの所為ですね」つまりプレイヤーとしても合格と言う事である!ふふふふ・・・「ひょうたんから出た六弦」とでも言うか。一時は危うい精神状態だったが、ここで一気にその傾きは修正される運びとなった。大成功である!大正解であ〜〜〜る!!!

しばらく中身のない状態だった玄関先のギター陳列ケースは、その夜再び居住者を迎える事になった。これで、当分の間は新しいギターを買う事はなさそうだ。本日になりギターに関してなんだか「満腹状態」なのだ。いずれ飢餓感が生まれるまで、ひとまずギター収集はお休みする事にしよう〜〜!!!


本日の結論
収集お休みのホントの理由は財力枯渇である!あああ・・・あああ・・・あああ・・・。

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