六弦的豪華表

2000年9月21日 さらに大物が釣り上がったが・・・


Gibson Les Paul Jimmy Wallace Model
 1992年製

「思わぬ落とし穴が待っている」

本日は、久々にギターネタにした(久々か〜?)今まで様々なギターをオークション等で入手してきたが、最近は小物や安物にはすっかり手を出さなくなってしまった私である。小物は所詮小物で、資産価値も生まれない。転売したって買いた叩かれるだけだ。そんなモノはつまらないね。どうせ手に入れるならガツン!と腹を据えて大物を手に入れた方が面白いぞ!(おいおい!強気だね〜!)

そこで、前回のP.R.S.サンタナモデルに引き続き、今回の獲物もかなりの大物なのだ。 Gibson Les Paul Jimmy Wallace Modelである!かなりの高値で取り引きされているらしい。それが格安で、オークションに出されていたのである。といっても一般人はなんのこっっちゃと思われるだろうな。当然である。通常であれば、ギターに人の名前が付いていれば、そのギタリストの使っているシグネチャーモデルである事を示している。P.R.S.サンタナモデルなんぞはその典型だ。Fender E.クラプトンモデルなんてのもポピュラーである。ギターに興味がない方でも分かりやすいモデル名であろう。



このギターは「Jimmy Wallace」と名付けられている。こいつは一体誰だ〜?そう呟かれた方も多いはずだ(多くねえよ!) Jimmy Wallaceはテキサス州「Sound Southwest」というショップのオーナーである。彼は、無類の「キルトトップ好き」で有名な蒐集家なのだ。その為、ギターメーカーに贅沢な木目を持った材料を使ったギターを特注するのである。一説には、工場を見に行き木材をギターの形に切り出した状態や、製産途中で気に入った木目を見つけると、即刻ツバを付けるために、見えない部分に自分の名前をサインしてしまうと言う(ホントか〜?)つまり、このギターは「Jimmy Wallace特注ギター」なのだ!

ちなみに、ギターにおける「キルトトップ」というのは、その表面に見える木目のことである。木目の様子が布で作られたパッチワークの「キルト」のように見えるところからそう呼ばれるようになった。光の当たり具合で、木目がメラメラと美しい3次元の動きや輝きを見せるのである。キルトトップの材料となるメイプルは希少価値があるため、ギターの材料としてはとても高価である。

余談だが「キルトトップ」に使われるメイプルは、健康にすくすく育った木ではない。強い風に煽られながら、ひたすらネジ曲って育ってしまったものだ。つまり、ネジ曲った複雑な性格で育ちの悪い木なのである。これが人類であるならば、きっと「15で不良と呼ばれたよ〜!」状態の育ち具合なのである!だが、若い時の不良は大人になってしっかり反省し、某力士のように立派になって恩返しをしてくれるのである!(ワケがわからんぞ〜?)

特注品は工場の大量生産ラインとは違い「カスタムショップ」と呼ばれる特注工房で制作される。量産品と違って1本ずつ丁寧に職人が造っていくのである。その為価格は量産品よりかなりの高いモノとなってしまう。車で言えばカローラとF-1の関係のようなものだ(そんなに違うのか〜?)それはどの世界でも同じだな。GibsonやP.R.S.は「Jimmy Wallace」の特注に応じているのだ。それらは、いずれも美しい木目の仕上がりになっている。

ということで、「Jimmy Wallace」と名付けられているギターは高価であり、なおかつ豪華であると言える。アートであると言っても過言ではないだろう。今回届いたGibson Les Paulは「Jimmy Wallace」が92年に ギブソンへオーダーして製作された物らしい。 美しいキルト・トップを生かすため、ピックガードは始めから付けられていない。 キャビティー内には「トム・マーフィー」のサインが入れられて、サンバーストフィニッシュに彼の癖が現れているらしいが、どんな癖かは私は知らない。

今度は「おいおい!トム・マーフィーって誰だよ〜?」って問われるか?そこの一般人よ!こちらは特注された側のギター職人である。伝説の名職人である。ギタービルダーってやつだ。特に仕上げの塗装技術が有名らしいのだ。ギター関係雑誌を眺めていると「トム・マーフィー」はかなりの頻度で出現する。信頼される今一番人気のギター職人なのであろうな。

その「トム・マーフィー」が「Jimmy Wallace」の特注に応じて造った逸品がこのギターなのである!そんじょそこらの「●ェルナンデス」や「●レコ」のレスポールコピーモデルとはワケが違うのだ!!!そもそも「●ェルナンデス」や「●レコ」が製造している同じ形のギターはレスポールモデルとは呼んではならない。Gibsonで製造されたものだけがレスポールモデルなのだ。たとえ「トム・マーフィー」といえども「●ェルナンデス」や「●レコ」に移籍して同じものを作ったとしたら、それはもうレスポールモデルと呼んではならないのだ!(ちょっと力んでないか〜?)

さて、このギターの出所であるが、千葉県在住のGibson Les Paul収集家から譲渡されたモノである。この方はGibson Les Paul59年Reissueモデルを分析研究するのが趣味のようだ。当然その成果である詳細なデータをWEBで発表されている。その意気込みは感嘆に値する。調べたいがために高価なGibson Les Paul59年Reissueモデルを次々購入し続けるのである。大いなる財力も必要であろう。その精神状態、経済状態、家族関係は推察するに我が身を振り返るようで実に涙を誘うのである!彼の心中は、私には実にまったくもって多いに理解できるのである!

と、ここまではメデタシメデタシ!の様相を呈している。だが、こう言うときに限って思わぬ落とし穴が待っている。宅配便によって届けられたギターケースを開いた途端、私は絶句したのである!「違う!色が違う!思っていたモノと全然違う〜〜〜!!!」下の画像を比較していただきたい。私は赤みがかった派手な色を想像していたのである。だが、目の前に横たわるのはシブ〜〜〜ク年期を感じさせる「エイジド処理」されたと思われる退色カラーリングだったのだ!こりゃ参った!

 


マニアにとってはたまらないエイジドカラーなのかも知れないが、私は単なるミーハーなのである!誰が造ったか?誰が注文したかは関係ないのだ!美しく華麗ななギターが届くと想像していて、自分の中で盛り上がりすぎていたのだ。 ギターのクオリティーに問題はない。カラーが私の想像していたモノとギャップがありすぎたのだ。さて、困った。どうしよう?半日悩んだ末、出した結論は「お願い!キャンセルさせて!」であった。私が愛でるにはシブ過ぎると感じるのである。すぐにご返却することを決意した(もう決意したのかよ〜?)

悲しいが、このような結果になってしまった・・・。過去にも一度、オークションに表示されていたギターの色や程度が、実物とあまりに違いすぎていてキャンセルした経験がある。今回の程度は文句無く抜群である。ミント状態なのだ。ピッカピカである。まことに非常にヒジョ〜に残念である。泣くなくご返却するのである!

もう少し安ければ、このまま買い取ったかも知れないが、現状のコストバランスを考えると、私にはちょっと重荷であった。スマン!千葉県のGibson Les Paul収集家殿!!!今週中には必ず、お手元に届くよう宅配便の手配をするのでお許しいただきたい! お許しいただきた〜〜〜い!!! と、メールをしたため連絡をした。ところが!!!収集家殿から驚愕すべきメールが返ってきたのであ〜〜〜る!!!

「急ぎませんので実際に使ってみて
  飽きたら返して頂いて結構ですよ。
   レンタル気分で気にせず使ってください」

ううむ・・・ううむ・・・なんなのだ?この方の余裕は!この太っ腹は〜〜〜!!!このように高価なものを私に預けっぱなしにするというのか〜?当方をそこまで信用するというのか?本当に信じて良いのか私のことを!私でさえ自分自身を疑っているというのに!(おいおい!)なぜ!顔も見たことがない他人が私を信用できるのだ?妻でさえ私の事を信用していないのだぞ〜〜〜!!!

私がこのまま持ち逃げする危険性をあなたは感じないのか?明日にでも中古楽器屋に叩き売ってトンズラする危険性をあなたは感じないのか〜? 地震予知はなかなか難しいが、私の持ち逃げは容易に予測できるのではないか?

などと、ごちゃごちゃ言っているが、実は困ったことになった。しばらく手元に置いていると、ついついじっくり見直してしまい、一度絶ってしまったはずの、このギータに対する未練が・・・未練が〜〜〜!!!断ち切れないではないか〜〜〜!!!

すでに精神的にその兆候が現れ始めている!!!イカンイカン!しかも、昨日までは「このギターは、ちょっと地味だな・・・」と思っていたのだが、今日になったら「これはこれで美しいではないか!ビューティホ〜〜〜!」と思い始めたのである!このまま行くとあの収集家の策にはまりそうな気がする!うおおお〜〜〜!!!どうすればいいのだ〜〜〜!!!(とっとと返却しろよ!)


本日の結論
で結局、買うのか?買わないのか?どっちなのだ?

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