逝去的弾振男

2022年01月18月 彼らがいなければ成立しなかった私だ!



「私の人生にも多大な影響を与えた人物」

今朝早く、アメリカの友人ギタリスト Mr. Henry Kaiser からメールで知らせが届いた。アンプビルダーのMr. Howard Dumble が亡くなったと。表現は難しいが「ギターアンプ業界の頂点」にいた方である。多くのビルダーがDumble AMPサウンドを研究しそれを目指していた。ギターペダルの世界もそうだ。多くの「Dumble sound風」ペダルが誕生した。私もその中のひとりである。しかし、私が目指したのはDumbleサウンドではなく、自分で気持ち良い歪ペダルを作ったらたまたま「Dumble sound風」になったということなのだが。

そもそもの私とDumbleの関係について書いてみることにした。

私がペダルを作り始めた頃、まだDumbleという名前を知らなかった。ギタリスト是永巧一氏から「Dumbleサウンドを目指すといいよ!」といわれたときも「そうですか・・・」とまだ理解はできていなかった。やがて、2007年9月にペダル試作を始めた私は、2週間かかってようやく1台のペダルを作り上げた。「禅駆動」是永さんがシャレで名前をつけてくれた。そしてそれは是永さんに気に入られた。製作台数は私の分と是永さんの分で2台作って終わる予定だったが・・・。その後、是永さんの友達から火が着いて、毎日オーダーの依頼が来るようになった。ド素人の私は焦った。材料を集めるだけでもひと苦労だったのだ。

やがて、禅駆動の噂はアメリカに飛び火した。2018年秋にアメリカの、ジャズギタリストから問い合わせがきた。国外からは初めてだったので試奏用に1台送った。すると気に入ったと連絡があり、すぐにもう1台も送った。一週間後、そのギタリストは試奏動画をYoutubeにアップロード。その中で「このペダルはDumbleサウンドだ!これが欲しかったら田辺にメールを送れ!」と私のメールアドレスを口走っていた。すると翌日、世界中から問合わせのメールが相次いだ!英語が苦手な私はメールの内容を理解するのに四苦八苦したが、ほぼ同じ内容の問い合わせばかりだったのでテンプレートの返事文章を英語で作り全員に送り返した。ここから怒涛の製造ラッシュが始まった。

2008年12月23日。製造開始200個目としてアメリカのプロギタリストMr. Henry Kaiser から弾駆動のオーダーがあった。私はその時点でHenryのことは全く知らなかった。ただ、彼が送ってきた画像によってDUMBLE AMPを4台も所有していることが判明した。すげえと思いつつも、何者だこのギタリストは?と浮かび、是永さんに「Henry Kaiserって知ってる?」と聞いてみた。「DUMBLE AMPを世に広めた張本人です!」との返事。

その後、2010年9月にアメリカへ行きHenryと初顔あわせして判明してきたことがあった。彼が若い頃1980年代に家のガレージでギターを演奏していたら、Dumble がバイクでその前を通りかかり「俺はアンプを作ってるけど試奏しにくる?」と誘われたと言う。それから友だちになり、知人たちにもDumble AMPを薦めていたようだ。HenryとDumbleは一緒に演奏したりディズニーランドに遊びに行ったりしたそうだ。

2015年9月に再び、Henryの家にホームステイしたときは、Dumble の家の近くまで行ったが、どうもDumble は日本人嫌いらしく会いに行くことはなかった。ちなみに、Henry 所有の弾かせてもらったことがある Dumble AMP のひとつはシリアルナンバーが1番である。

こうやって私とつながったHenryとDumble。その後幾度となく禅駆動や弾駆動を「Dumble Sound」という単語で評価され続け今に至っている。Larry や Robben を始めとする有名ギタリストたちと交流を持てたのも、そもそもはDumbleがあのサウンドを作り出し、Henryがそれを世に広めた結果であると!一度も会うことは叶わなかったが、私の人生にも多大な影響を与えた人物であったと言わざるを得ない。RIP Mr. Howard Dumble.


本日の結論
弾駆動の弾はもちろんDumbleの一部分を頂いたのだ

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