刃物的形状考

2018年07月12日 全部手造りに向けての思考と試行!


現在製作途中の第三弾ナイフの完成予想図を描いてみた!



「見た目を取るか実用性を取るか?悩むところですが」

進行中の第三弾ナイフについて形状が気になるので書いてみます。

上の画像は、ヒルトまで完成した状態のブレード写真にハンドルを取り付けた状態をフォトショップで描いたものです。完成形の確認をしたかったのでね。ハンドル材はフレームメープルまたはキルトメープルになる予定です。届いた材を見て判断したいと思っています。ですので、上の画像はあくまでも「こんな感じかなあ?」と作画しただけです 。

今回の初作業のポイント一番目はヒルト(鍔)の自作でした。これは手ごわかったのですがなんとかクリアできてほぼ満足しています。次に初作業二番目はグリップに見える二つの丸い真鍮です。これはファスナーボルトと言います。下の画像をご覧ください。部品は2つに分かれています。頭は10mm径で軸の部分は4mm径です。片方はネジが切ってあり、頭にはマイナスドライバー用の溝が切ってあります。ハンドル材の接着後、この二つのパーツを両側から差込みネジ締めします。予めブレードのハンドル部分に4mmの穴を二か所開けていたのはこの作業のためですよ。


実はこのファスナーボルトを使うに当たっていろいろ悩みました。技術的な問題が発生するからです。このファスナーボルトは取り付けた後にハンドル材と共にヤスリで頭を半分ほど削ってハンドル材と同じ平面にする必要があります。そのためには予め、ハンドル材にこの頭の部分が半分ほど埋まるように穴を開けなければなりません。直径10mmで深さ1mm、更にそのセンターには4mm径の貫通穴が必要です。この精度が、私の持っているドリルの刃だけで出せるのか?という問題があるのですよ。さらに、ファスナーボルトを取り付けたら削り代は0.5mmしか無いという厳しさ。

下準備から完成まで、きっちり寸法通りに加工出来ないと「アラララやっちまった〜!」となってしまいます。そのための思考と試行が必要です。ギター製作者の谷口さんから前回頂いたローズウッドで削りの加工テストをしてみました。まず4mm径の穴を開け、その穴を中心に10mm径で1mm掘り下げました。ファスナーボルトを取り付けてみると見事にピッタリ収まり、これで当家の工具だけで加工作業できることが確認できました!仕上げで表面から出っ張っている部分1mmを削り取ればOKです。本番で気をつけるのはセンター出しだけですね。あっ!センター出しの方法を今思いついたので、心配事が一つ消えました!

 

本番では、ファスナーボルト自体もエポキシ接着剤で固めてしまいますので、一旦作業したら後には戻れません。こうやってみると、初めての作業は事前にテストすることがいかに重要か解ります。ぶっつけ本番は絶対にダメですね。

この文章を書いていたのには理由があります。頭で妄想していた製作手順や加工方法を文字にすることで明確化したかったのです。勿論、初めて行う加工方法にも不安がありましてね。それを定着させるために書いていたというわけです。思考しながら書き続けることで、疑問が湧いたり解決方法を閃いたりしてとても有用な行為だと思っています。あっ!!!そうか〜!今気づきました。よく医療ドラマで「手術の術式と手順」を予め図解し確立させるシーンが出てきますが、あれと同じ考え方なんですね。後戻りできない作業を行う前のシミュレーションというやつ。

さて、ここでもう一つ完成予想図を描いたことでデザイン上の問題点が浮かび上がってきました。お尻が重い感じがしませんか?もう少し下側の出っ張りが小さい方がデザイン的に美しくないか?と思ってしまったのです。しかし、すでにこのブレード材は焼入れが済んでいるのでこの状態から削って小さくするのはかなり難しい作業です。削り取った後に「いや前のほうが良かった!」と思っても後の祭りですからね。


ここで再考です。あの下側の出っ張りは何故存在するのか?それは深めの革シースに収めてみるとよく解りますが、腰につけた革シースからナイフを抜く際に、あの出っ張りに指を引っ掛けるためです。そのためこの様なサイズになっていると。つまり、実用的にはこれくらいの大きさが使いやすいと判断してのデザインなのですね。実際にブレードを握ってみると手に馴染む形状なんですよ。見た目を取るか実用性を取るか?悩むところですが、今回はこのまま仕上げましょう。オリジナル・シェイプで自作する際にはその点も考慮してのデザインを目指しましょう!


本日の結論
ということで、作業そのものではなくそこに至るための思考と試行でした!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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