試作的十年前

2018年03月09日 過去の自分と対峙する!

ZENKUDO TWIN CUSTOM SUPREME (2008)



「自分の歴史として残そう」

ふと部屋の隅に目をやるとそこに懐かしいペダルが置いてありましたので、今回はそのペダルについてちょっと書いてみましょう。ちょっとワケアリなんですけどね。

2008年3月に試作しただけで満足してずっと使わなかったペダル。禅駆動 TWIN CUSTUM をアルミ削り出しケースにセットしたプロトタイプです。大人の事情が有ってプロトタイプだけで終わった機種ですね。プロトだけで終わった理由の一つが、あまりにもケースの製作にコストが掛かり過ぎてとても量産できなかったからです。それともう一つ「アルミ削り出しケース」使用に関してネットで「某社のパクリだ!」と叩かれたことも要因の一つです。そんなつもりではなかったのですがね。試作しただけだし、今やアルミ削り出しケースは市販されてますけどね。

ケース・コスト高の理由は、アルミの塊からケースを削り出すので時間も金もかかるから。このプロトは金属加工業の方のご協力が有って成立したものでした。当時、日本でコレと同じ削りだしケースの見積もりを頼んだら10万円以上だと言われました。使用したケースは中国の工場で削って提供してもらったものですが、それでも支払ったとすれば5.5万円程度だったと記憶しています。このケースを採用して無理やりペダル販売価格を設定すると20万以上になります。かなり良いアンプが買える価格なので、ペダルとしては成立しないという理屈ですね。

このプロトタイプは、 禅駆動 TWIN CUSTUM にいくつかの新規機能を加えたものです。電源は通常の9V使用と、それを内部で昇圧し18Vにしてパワー感を出せるようにしてあります。電圧は切り替えて使えます。特徴的なのは、左右の回路の前後関係をスイッチで入れ替えられること。左右で違うセッティングにしてスイッチで入れ替えてみると、明らかにサウンドが違ってきますね。内蔵電池は006Pを並列で2個セットできます。長時間使用の対策です。


ZENKUDO TWIN CUSTOM SUPREME (2008)

完成後10年間ずっと放置していたので、まだ可動するかね?と気になったので引っ張り出して試奏してみましたところ問題なく作動しました。中域がかなり太く出てきます。かなり好きなサウンドであるとあらためて理解しました。ケース全体がアース(グランド)になっているので、かなり分厚いアルミ・ケース構造の効果ですね。このペダルを使って試奏してみると、アルミ・ケースも回路の一部であると理解できます。

そして久々に裏蓋を外して中を覗いてみると・・・。あららら・・・。かなり初期に造ったプロトタイプなので、作業の未熟さがモロに分かる状態でした。恥ずかしい過去がそこにありました。いったん全部バラして再度新しい部品や基板で組み直すかと思慮しましたが、結局その作業は中止しました。理由は「当時の状態を維持することで自分の過去を残す」ということを決意したから。この恥ずかしい内部状態の現物を自分の歴史として残そうと考えたからです。

たまに、初期のペダルが修理で送られてくるときがあります。内部を覗くと、やはりそこには恥部が詰まっています。ですが、それは私自身が施したもの。それが有ったから今の自分があると理解しています。ド素人が繰り返し10年作り続けて少しずつ自分の中に蓄積した知識と経験が有ったことで今があるとね。たまには過去を振り返って観るのも人生の何かの役に立つ気がしますね。

時々、このサイトの古い日付の記述を読むことがあります。すると、同じく当時の私の思考や文体に出会えます。読み直すとそれを描いた時の状況を思い出しますね。1996年に何気なく始めた tanabe.tv という記録媒体は、今まで時間を掛けて私自身の人生の23年間を記録し続けていたのですよ。自分で書き続けなければそれは残らなかった記録ですが、日記とはまた違う存在をありがたいなあ・・・と思う本日であります。


本日の結論
過去を覗いてみると悲しくもあり嬉しくもあり!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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