試奏的讃田邊
2017年11月20日 混乱して迷路に突入したので試奏してもらいに!

 


「こうなるとプロトタイプが増えるばかり」

2017年11月19日 四谷Doppo にてプロギタリスト清水一雄さんと会うために出掛けることにしました。お誘いがあってリハにお邪魔して試奏してもらおうという作戦です。もちろん、清水さんも「SANTANABE」の完成を楽しみにされています。清水一雄さんは「サンタナナ・サウンド研究」の達人なので、ふさわしい方に試奏してもらうのが完成への早道だと考えました。


私とギタリスト清水一雄氏

余談ですが、「SHIVOL」の開発時は「こんなペダルが欲しいけど、売っていないので作ってもらえませんか?」との清水さんからのご依頼で、ネーミングも「清水さんが欲しかったボリュームボックス」を略して「SHIVOL」と付けました。音を絞るペダルだからですがね。これは、密かにプロギタリスト達のステージで使われています。地味な存在ですが「ライブで助かるペダル」と言うやつです。

さて、今回は私の方からお願いしての試奏です。

そもそもは「SANTANABE」(讃田邊)なんてふざけたネーミングを思いついた瞬間からこれは始まっていたのですよ。カルロス・サンタナの音だけを出すペダルを作ってみたいと考えたのです。もちろん、自分でニヤニヤするための遊びでした。2か月ほど前にプロトタイプ1号はミニケースで1個作ってみました。そしてその個体は現在、株式会社アルニック社長の野村さんが試奏中です。大のカルロス・サンタナファンなのですよ。結構いい線いっていると一度感想が届いて、その後は大音量でスタジオで試してみると連絡があって・・・今ここまでです。

最近仕事が暇になってきたので、さらにその先は何をしたらいいのだろうかと考えて始めていた時、目の前に少し傷ついた「弾駆動」ようのアルミケースが転がっていました。そこでこのケースを流用して「SANTANABE」 の「別バージョンは造れないか?」と思い始めました。通常の製作方法ではサイドのスリーモードスイッチは必要ありませんが、このケースには予めその穴開け加工がしてあるのでそのまま使わなければなりません。いや!使ってやりたい!と思ったのですよ。では何を3つも切り替えるのでしょうか?

カルロス・サンタナ の歴史は長いですね。その間ギターはギブソン→ヤマハ→PRSと変わるし、もちろんアンプも変わったと。それに合わせた3つの時代のサウンドは出せないのか?と考えたわけです。基本的な「サンタナサウンド」があるわけですから、それを崩さずにハイやローの出し方で変化をつけられないのか?音のヌケ具合とか、もっこりスッキリのどのあたりを狙うのか?と回路自体は大きく複雑には出来ないので、最低限のパーツでなんとか出来ないのか?とやってみたわけです。

まずは、パッケージから入りましてこれが結構時間がかかりました。ロゴはサンタナのおなじみロゴを拝借して・・・。これは自分の趣味用ですからお許し下さい・・・。やがて回路に取り掛かってバタバタとしながらいじくり回しているとある壁にぶち当たりました。「私はどこに向かっているのだろうか?欲しかった音ってどこにあるの?どこにたどり着けばいいの?」と疑問だらけになる始末。

やがて「禅駆動」を開発していた時の状態を思い出したのです。あの時も「これでいいのか?もっと手を加えなければならないのか?」と混迷を深めた末に是永巧一氏に試奏・判断してもらったわけです。そうすると、方向性が示唆され一気に問題を整理し追加2日間で目的の音に到達しました。さらにその後改良も加えましたけどね。

結局、自室で1人悩んでいても何も解決しないのですよ。客観性が失われますからね。特に今回はサンタナのサウンドですから、クリーンを出すつもりはなく、最初っから歪は大きくしてあります。つまり、他への転用はほぼできないオーバードライブになっていると。汎用性がないペダルなんです。GAINは最小でも充分歪んでいて、右に回すとGAINは上がりますがそれほど上がるわけではなくローが出てきて分厚くなります。

私が今悩んでいるのは「スタート時点の歪はもっと少なくてもよいのか?」という部分ですね。しかし私のイメージするサンタナ・サウンドは明らかに歪んでいるので、最初っからある程度歪っぱなしという設定にしてしまったわけです。つまりクリーンはまったく出ないと。そこを進めていくと、いっそのこと・・・。と別の考えも浮かびます。

さらに、当初は「JRC4558D艶あり」を組み込んでいましたが、これも「違うオペアンプで試さなくてもよいのか?」と思い始めて、昨日時点では違うオペアンプを組み込んでみました。このあたりからさらに混乱が始まって、オペアンプ違いのサウンドの変化がよくわからなくなってきました。たぶんその原因の一つが、私の加齢による可聴周波数の減少だと思うのですよ。

聴覚はハイもローも60歳ころからかなり削られ始めているわけですから、自力判定がかなり苦しくなっているとね。10年前は、かなり小さな変化が聞き取れたのですがそれはもう出来ないようです。機械で測定はどうなのだ?と言われても、データ的には捉えられても、それが私の求めているサウンドであるかどうかまではわかりませんよね。「あっ!このサウンドだ!」と確認してからデータを取るのであれば「こういう波形だったのか!」と理解できますが。

とにかく耳で聴いて「あっ!サンタナだ!」と思えれば正解という、実にアバウトな状況の「SANTANABE」試作なのですよ。
-------------------------------

昨夜のライブ
昭和歌謡ナイト 環輝美帆
with SUPER SPECIAL BAND


この写真を見ただけで、なにを歌っているのかが分かるのは素晴らしい!

異邦人
カモメが飛んだ日
背中合わせのブルー
プレイバック パート2
みずいろの雨
パープルタウン
羽生くん(パリの散歩道)
魅せられて

ソウルサスティファイ サンタナ
秋の気配 オフコース
ウーマン 薬師丸ひろ子
木綿のハンカチーフ
青春の輝き
スカボローフェア
さよならの向こう側
イッツ・マジック

アンコール
スペイン チックコリア
プレイバックパート2

こんなタイプのライブは初めてだったのですが、リラックスして気持ちが過去へ翔ぶという経験でした。昭和歌謡だけでなく、カーペンターズ、サンタナ、チック・コリア サイモン&ガーファンクルありと、昭和に聴こえていた音楽という括りでした。

曲名紹介の際「羽生くん」という曲がありました。もちろん聴こえてきたのは「パリの散歩道」ゲイリー・ムーアでした(笑)そしてこの写真、なにを歌っているか写真を観ただけで分かるという貴重な曲ですね!ギターは Kz One Standard でした。プレイバックパート2のギターサウンドは特徴的なのですが「讃田邊」使用でソックリなサウンドが出ていました!気持ちいい〜〜〜!!!てなことで、アンコールでもう一回やってもらって満足!

さて、四谷 Doppo での試奏の結果です。試奏というより、リハを含めていきなりライブ本番での実戦テストでした。結果は上々。まず基本的なことはクリアしていて現状でもほぼOKとの評価でしたね。あとは「3モードスイッチの一番ハイが出るセッティングを一番下にして、もっとハイ方向が出るセッティングを2段階プラスしたほうが良い」と「GAINはフルでしたが、フィードバックを得やすくするためにもう少しGAINを上げたほうが良いだろう」との判断でした。なるほど。じつはGAINの件とハイ方向の件は密接なつながりがあるので、トータルとして私には理解しやすい話でした。

これからやるべきことは、3モードスイッチの「ハイの出し具合3段階」の調整ですね。やりすぎるとキラキラしすぎてサンタナではなくなるので、かなり微妙な範囲での3段階ですね。まあこれはトライアンドエラーで組み合わせを試すしかないです。果たして出来るのか?とも思いますがね。そう言えば、是永巧一さんからもこんな助言が届きました。「 JALIの代わりにlow mid〜midのコントロールにするというのもアリかもです 」

コレを読んで、また全く別のやり方があるのでは?とも考え始めたのです。「そもそもGAINはMAX固定でいいんぢゃね?」ようするにGAINはユーザーに調整させないという設定。それはアリなのか?なんて思考を続けつつ・・・こうなるとプロトタイプが増えるばかり。しかし、いつかはたどり着きたいですから、地味に試作を続けてみましょう。まずは清水さんが判定したサンタナ・サウンドが出るように、今のプロトタイプ2号を早めに仕上げてみましょう。


試奏時のセッティング


本日の結論
1回目の試奏で、ほぼイケテルの判断は嬉しかったですよ!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



GO TO HOME PAGE