価格的茶碗蒸

2017年08月03日 作り続けるモチベーションは?



「それなりに覚悟と資金が必要」

少し涼しめの朝に、24時間つけっぱなしのクーラーを止めてみました。するとやはり部屋が蒸し暑くなり、窓を開け放ちましたが、やはり蒸し暑さは消えてくれませんね。遠くから蝉しぐれが聴こえてきます。 煩くはありますが、日本の夏の音として必須ですね。ストレスで少し右耳が聞こえづらくなっている今朝ですがね。

先日ふと思ったことが有ったので書いておきましょう。

朝から、妻が孫の世話を頼まれて娘の家に向かいました。しかし、夕方になってもなかなか帰って来るとの連絡がないので、妻に電話してみると「渋滞にハマってなかなか帰ってこれないって言っているのよ」 夜遅くなってようやく戻ってきたので迎えに来てとの連絡を受けて、車で向かいました。

孫の世話が忙しくて朝から食事もしていないという妻に「じゃあ、さくっと回転寿司で夕飯にするか!」と、帰路にあるはま寿司へ。そこで見つけた新しいメニューが「鰻茶碗蒸し」でした。なんと250円!我々は、はま寿司のクーポンを持っていたので、それが200円になるというのです。迷わず注文しました。

味付けはちょっと濃いめでしたが、とても美味しく頂きました。そして食べながら思ったのです。この鰻は確実に中国産だな・・・。普段は決して口にしない中国産鰻も、こうやって料理に入れられてしまうと、原産地がわからなくなってしまうので口にしてしまいますよね。それは他の食材でも同じこと。いくら気をつけていても加工品を食べる限りはその手から逃れられません。

これはなにがそうさせるのでしょうか?もちろんコストですよね。日本産鰻なら2倍〜3倍の価格になってしまいますから。それにしても私が支払ったのは200円+消費税16円。216円の鰻茶碗蒸し。これって正常なことなの?って思ったのですよ。

安いことは消費者にとってありがたいことです。だが安いことで失っているものも有るんじゃないの?って思いません?海外からのお客が「日本は物価が安い!」と喜んで買い物しまくっていますが、それは悪循環ではないかと。安く商品を提供することは結果として、従事者への還元も少ないということ。還元が少なければ、当然彼等は消費行動が取れない結果に。そうなると日本全体の消費力が減少していく。今まさにその際中ですね。

チェーン店やコンビニのアルバイト時給が1,000円程度あるいはそれ以下の状況では、いくら頑張っても月収20万円を越すのは難しいですよ。しかし、人件費を上げると企業が回っていかないという現実。アメリカではチップ収入があるので時給は抑えられていますが、最近はアメリカでも時給を上げてチップ無しの店が出始めたと聞きます。安定した収入を得るためにはそれが必要なのでしょう。

ある程度の生活を営もうとすると、それなりにコストがかかります。給与でそれが満たされないと国は劣化していきますよね。反面、韓国や中国の人件費が上がって海外企業が逃げ出し、中国では経済劣化が始まっていると。もちろん韓国も例外ではなく、借金が払えなくなった人々が多すぎて(43.7万人程度)国家的に借金棒引きの動きがあるとか。「徳政令」と言うそうですが。ただし、100万円以上を10年間借金返済ができなかった人という条件付きのようです。逆に考えれば、9年目の人はわざとあと1年引き伸ばして10年間返済を遅らせれば逃げ得ということになると・・・。これじゃあクレジット会社や銀行は堪ったものではない!国家経済破滅の前兆ですね。

よく使う「経済的」という言葉は、間違った使い方をされていると感じます。お金を使わないことや安いことが「経済的」であるように使っていますが、それでは経済は回っていかない。お金を使って市中流通総量を増やし国家全体が潤っていくことが本来の「経済的」という使い方ではないの?と感じます。

実は、私もそれに加担しているのでは・・・。と考えてしまいました。某楽器店の店長に「田辺さんのペダルは安すぎます!」と言われたのです。私は価格に対して無頓着だったのですが、10年前に作り始めた頃に比べて、その後の円安もあり輸入部品などかなり材料費が上がってしまいました。ほぼ値上げはせずここまで来ましたが、この金額では材料実費の上昇に追いつかず、現在ではかなり実収入が減少。しかし、もともと儲けようという気はないので、そこそこ材料費がクリアできればよいかと思っていましたが、それにしても厳しくなってきて・・・。

まあ、10年も経てばオーダー量も減少しているので、さほど問題はないかとも思っていたのですが、材料を発注する際には、1個2個という単位ではできないので、どうしてもまとまった量をオーダーせねばならず、収入は激減なのに材料仕入れは100万円単位の支払いになってしまい、自ずとそれなりに覚悟と資金が必要なのですよ。

そうなると、そろそろペダル造りをやめようかな・・・と考える日も多くなってしまい、どうしたもんかと・・・。そんな時にこんな画像つきで嬉しそうに「Larryのボードに乗っているのを観て勧められたので、同じものを作ってください!」と写真付きでオーダーが来ると「私はもう疲れたから造りません」と無碍に断れないじゃ無いですか!ユーザーに喜んで欲しいと思うのが、職人の本質ですから。


しばし悩んだ末に、製作開始丸10年を迎える今年の10月から少し価格改定を決意しました。というのも、このような業務形態は、まず資材の仕入れから始まりますが、そろそろ加工済みアルミケースが残り少なくなってきたので、昨日まとまった量を発注したのですが・・・。えええ???!!!と、その見積もりを見て焦りました!明らかに今までの価格だと造り続けるのが難しいのですよ。一部の仕様変更をして、値上げも已む無しという状況です。

それからユーザーへの送付方法も変えなくてはなりません。10月1日からヤマトが値上げしますので、九州や北海道へは「レターパック・プラス」の方がかなり安くなりますね。例えば郵便局の「レターパック・プラス」は全国一律510円ですが、宮崎へはヤマトだと1,328円になります。明らかに遠い地方の方は不利になりますから「レターパック・プラス」に切り替えざるをえないと。

配達にかかる時間はどうなのでしょうか?試しに今年の頭に「レターパック」で宮崎まで送ったところ、翌日には配達されました。なんとヤマトより早かったのですよ。その理由は、羽田から航空便で宮崎まで運ぶようです。しかし、そこには条件があり航空便の場合は電池が入れられなくなります。ということで「レターパック」ではテスト用の電池抜きでお送りすることとなりますね。


本日の結論
造り続けるためには悩みが多いですよ。

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