鬱病的聖林者


2014年08月12日 このひともまた犠牲に!


ロビン・ウイリアムズ 享年63歳


「私がその見本です。実例です」


今朝のニュース番組を見ていたら飛び込んで来たニュースは。ロビン・ウイリアムズ が死亡したと。ビックリしましたが、更に驚いたのは、鬱病の悪化による自殺であったとの詳細情報でした。ロビン・ウイリアムズ といえば、元気で明るいオジさんというイメージが強かっただけにその落差に驚くばかりです。

同時に、私は今回もまた書かなくてはならないという使命に駆られます。今日は、鬱病の入り口で苦しんでいるあなたへ向かって書きます。

ロビン・ウィリアムズ(Robin Williams, 1951年7月21日生まれ)ですから、私より10か月先に生まれたんですね。ほぼ同世代です。彼がどうして鬱病に侵されたかは知りませんが、ハリウッドスターである状況から金に困っていたとは思えずですがね。マネージャーが「彼は鬱病に悩まされていた」と証言しているようですから事実なのでしょう。

日本では「かとうかずひこ」さんが亡くなったとき、やはり鬱病であったと報道されました。日本での自殺者の70%以上が鬱病であったとのデータをみた事が有ります。日本での年間自殺者は約3万人。つまり年間に2万人以上が鬱病で自殺している事実が有るのです。私は「あの人が自殺した」と聞くと鬱病だったんだなと反射的に思ってしまいます。

さて、何を書こうとしているかというと、鬱病の本質についてです。鬱は突然ある日やって来て頭の中に住み着きます。その切っ掛けは些細な事です。しかし、気付かぬ内にジワジワと精神状態を蝕んで行きます。脳の緊張状態が延々続き、不眠が続き、食欲が消え、そして1か月〜2か月してから、あまりの体調の悪さに気付くのです。ここで精神科に飛び込む勇気があれば、手当が早くなりますが、それに躊躇しているとますます深みにハマッって行きます。まずは自分が鬱病であると自覚する事が脱出への入り口です。

抗鬱剤が全てでは有りませんが、取りあえず目の前の「不眠」を取り除かなければ体が動かなくなります。そして、やがて離人症に 悩まされ始めます。自分の体と精神状態が分離する感覚です。鏡の中の自分が自分に思えなくなってきます。全ての他人の言葉が刺さり始めます。些細な一言に涙を流します。自分の過去に後悔の念が沸き上がり、父母への郷愁が纏わり付きます。何も無いのに突然悲しみがこみ上げ涙が止まらなくなります。

やがて、体が動かなくなります。それは精神的に蹂躙されているのであって、機能的に麻痺しているわけではないのですが、とにかく朝起き上がるのが辛く、どこにも出かけたくなくなります。なのに、生きて行く為に仕事をしなければならないと。この境遇に精神状態が耐えられなくなり始めると、消えてしまいたいと思うようになります。「死にたい」ではなく「消えたい」です。自分の存在そのものを消してしまいたいと強い願望が沸き上がり始めます。しかし「消える」為には「死ぬ」しか方法が無いと知るのですよ。

その死への願望は、抗う事が出来ないほど強いものです。私もこの感覚に長い間悩まされ続けました。やがてその時が来ます。ここから大きくふたつに分かれます。「死」を選び遂行する事と、その直前に思いとどまることのふたつの道です。

ロビン・ウイリアムズはひとつ目の道を選びました。私はいったんひとつ目の道を選び、その遂行直前に後ずさりをして命を長らえました。そして今に至っています。私の場合は線路に飛び込もうとしたその瞬間に「家族の顔」が浮かびました。妻と娘の顔です。私がいなくなったあと彼らはどうするのか?彼らを見捨てるのか?その思いが一瞬にして私を現実に引き戻しました。

鬱病で自殺する行為を愚かだと思う方が多いようですが、実際にその立場になってみると、これ以外に解決方法が見つからないのです。全てを終わらせる為にその道を選ぶのです。それほどまでに鬱病の苦しみは強く深いのです。人はなかなか自分で死ねるものでは有りません。それでも死んでしまう人がこれほどに多いのは「死への強い誘惑・願望」がそこにあるからです。

少しは分かっていただけたでしょうか?

私は、鬱病で死を選んだ方々の気持ちがよく分かります。ある意味では「良かったね・・・脱出できて」と声をかけたくなる部分も有ります。では、生き延びたとしたらどうなるのでしょうか?さらに鬱病の苦しみは続きますね。もう一生抜け出せないと思えます。しかし、それでもいつか治るかもしれません。脱出可能かもしれません。

私がこれを書く意味はそこにあります。

鬱病発症から1年後、自殺寸前まで行きやがて7年掛けて私は脱出しました。そして、鬱病の間にリハビリをかねてやっていたペダル作りでなんとか食って行けるようになりました。世界中にギタリストの友人が増えました。ヘンリー・カイザー、ラリー・カールトン、ロベン・フォード、ポール・ジャクソン・ジュニア等、多くの有名ギタリスト達とも友達になれました。以前の私には信じられない現実です。

この、世界中に友人が出来る過程で、褒められる事で精神状態は改善され快方へ向かって行きました。私だけに起こる事では有りません。誰にもそのチャンスは有ります。私はたまたまギターが好きだったからこの方向へ動いただけです。私に才能が有ったワケでは有りません。他に何も出来る事が無かったので、たまたましつこく続けていたら、回りの方々が認めてくれたのですよ。あなたにはあなたの道があるはずです。きっと見つかるはずです。

まずは、死なないこと。生きていれば何かが起こります。その何かの切っ掛けを掴めば、あなた自身の世界でもうひと頑張り出来るはずです。しかし、鬱病患者へ一番言ってはいけない言葉が「頑張れ!」です。どうやっても頑張れなくなっているのが「鬱病」だからです。いわれてもやれない事をやれといわれると死にたくなります。

つまり、自分で見つけた世界観を自分で掴んで自主的に頑張ってみようと思えるまで、回りも自分も頑張ってはならないのですよ。自分で「これをやってみたい!」と思えるようになるまでジッと待つしか無いんです。鬱病で辛くなったら、思い切って冬眠してください。何もしないで日々を過ごしてください。時間はかかりますが「動きたい」と思える日がきっとやってきます。私がその見本です。実例です。それを信じて生き続けてください。


本日の結論
お願いですから生き続けてください。

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