非売的撮影機

2013年11月20日 今更だけど銀塩カメラが欲しい・・・!


HASSELBLAD 500C/M  DEMO UNIT



「NOT FOR SALE」

少年の頃、金はなかったが夢はあった。1960年代の後半はエレキギターが欲しかった・・・。加山雄三、寺内タケシ、ベンチャーズ・・・モズライトが欲しかった。やがて時は流れ1999年になり、円高とオークションが盛んになった事でモズライトをようやく手に入れることが出来た。だが・・・弾いてみるとそれはすでに古い仕様のギターであると感じさせた・・・。その後勢いづいて、いろんなギターを蒐集するはめに陥ってしまったが・・・。弾きもしないのにね。男子にありがちな行動。

そして別の夢が・・・。

3か月ほど前に少し触れたのだけれど・・・私は1971年にカメラマンを目指して上京して来た。その希望はやがてムービーの面白さが取って代わり、テレビコマーシャルの世界で生計を立てる事となった。かくして以来約40年は、銀塩カメラを手にする事はほとんど無くなってしまった・・・。

1970年代前半に私が憧れていたカメラが有る。HASSELBLAD スウェーデン製の名機だ。アポロに乗って宇宙にも進出し歴史的映像を残し続けて来たカメラである。現在はデジタル撮影にも対応出来るパックが存在するが残念ながら高額すぎる!基本的にはブローニーフィルムを使用する中判カメラだ。すでに生産が中止されたカメラでもある。

3か月ほど前の事、ふとヤフオクで気になり検索してみたところ HASSELBLAD がかなりの数出品されていた。かつて1ドル360円時代にはとても手が出なかった高額カメラであるが、現在の為替レートとオークション価格によってかなり手が出しやすい価格になっていた。そこで値ごろ感を確認する為に、しばらく調査を続ける事にした。

やがて分かって来た事は、私が知っていた時代から進化した機種がいくつも発売されていたこと。それらの時代を追って行くと新しい機種ほど価格は上がって行くということ。当たり前だけどね。さらに、古いカメラだけにあまりにも使い込んだ個体は安いけれど、様々な点で部品交換を要したり、修理しなければならないものも有ると。安ければそれだけ後になって手がかかるってことね。


HASSELBLAD 203FE
そこで、機種を決めて絞り込んで行く作戦にした。一番最初に欲しいと思ったのは HASSELBLAD 203FE だ。オークションでも25万円〜30万円とかなり高額だったので、どうしようかと悩みつつ・・・。ギターを1本〜2本売れば大丈夫か?とも思い始めて、悶々とする日々が続いた。ううむ・・・欲しい・・・しかし今更・・・銀塩カメラを手に入れてどうするのだ?何を撮影するのだ?と自問自答がループする日々だった。妥協して、程度の良いHASSELBLAD 500C/Mの10万円程度のものにするか・・・それとも思い切って25万円以上の新しい機種にするか?

その苦悩は2か月にも及び、私もそろそろ思い悩む事に疲れ切ってしまった・・・。ヤフオク探しの日々にすっかり飽きてしまった事も有るし「もう手に入れなくてもいいか・・・」とも思い始めていたのだよ。

そんな時、私はひとつの情報を見つけてしまった。撮影後のフィルムを現像し、そのままデジタルスキャンしてCDで納品してくれるサービスが有ったのだよ!しかもかなり安い金額である。

ちなみに、ブローニー120 1本 現像 + CD書き込み16Bベース(2048×3072pixel) = 480円

こうなるとMac で画像データが扱いやすくなる!フィルムで撮影するデジカメってな感じになるかね?

数撃ちゃ当たる方式のデジカメと違って、フィルムで撮影する醍醐味は「一発必中」のゴルゴ13的シャッター感覚である。それを味わった後、画像がデジタルデータとして扱えるなら結構楽しめそうな気がするなあ・・・よし!本格的に HASSELBLAD を手に入れることにしよう!と再決心したのだが・・・。

そんな先週の事・・・。意外な伏兵が現れて来たのだ!なんと、孫の幼稚園入園決定である!孫の母親である実娘は言うのだ「幼稚園の送り迎えは自転車限定と指定されているのよ。車が使えないので電動アシスト自転車が欲しいんだけど・・・12万円・・・」ううむ・・・ううむ・・・。言外に買ってくれと言っているではないか!そして私の妻は言うのである!「サポートしましょうよ!孫の為だから!」そうか・・・孫の為か・・・亭主のためという発想は無いのだね・・・人類は子々孫々の為に財力を使い果たさなくてはならないというのが定めか・・・。分かった!

かくして私の HASSELBLAD に対する野望は、一気に「一式で10万円以内」の機種に限定されたのである!再度ヤフオクの検索をやり直す事にした。金額的にターゲットの機種は HASSELBLAD 500C/M 。一番長く生産され続けた機種だ。それだけ安定してるってことだろうからね。


HASSELBLAD 500C/M  DEMO UNIT

すると検索の結果、妙な出品物を発見した。「HASSELBLAD 500C/M DEMO UNIT NOT FOR SALE」と表記された個体である。画像を良く見ると、機種名にスターマークが付いている。スターマークというのは日本の正規代理店「シュリロ」を経由した商品だという事。並行輸入品にはスターマークが付いていない。何のメリットが有るかというと、修理やメンテナンスの代金が、スターマーク付きだと半額になるのだ。スターマーク付きは高額で取引されがちである。



で、この出品物は「シュリロ」がデモ用に使った個体らしいので、使用頻度は少ないようだ。きれいな状態を保っているように見える。気になる・・・・。大いに気になる・・・。通常商品ではない個体には男心をクスグル魔力が潜んでいる。ギターで言えば、NAMM出品物というのに当たるのだろうか?

ひとつだけ気になるのは、出品者が動作確認していないということ。このようなカメラを扱った事が無いので詳細なチェックが出来ないと書いているのだ。つまり「ジャンクとして考えてね!クレームは無しでね!」と訴えているわけ。そうか・・・ちょっとリスクがあるね・・・。

さて、リスク覚悟で入札額がいくらまで上がるのか?真っ当に作動する個体だと考えた場合、この機種に出せる金額は75,000円までとした。それ以上になるなら買う気はない。まずは4万円で入札した。11月17日午後になりその入札金額は少しずつ上がり始め、夕方には私の金額が追い越された。これは想定内である。

ではそろそろ本気モードで再入札してみるか。6万円と入札してみた。これまた1時間後には追い越されてしまった。想定内である。何の問題も無い。次はいよいよ私の限度である 75,000円をぶち込んでみた。徐々に入札金額が上がり始め、締め切り時刻直前、急激に上がり始め7万円を越して、ついに 75,000円 へと到達したのである!

追いかけて来ている入札者が次に1円でも多く入札金額を書き込んだら、その瞬間に私は退散しなければならない!その時心理的には・・・まあどっちでもいいかなと半分諦めの感情も有るのだった。というのも、同程度の他の個体だと10万円前後で売れているようだから。 75,000円 ・・・微妙な金額だね!まあ、そろそろその金額は突破されるだろうね!追いかけてくる入札者もシツコそうだから。と思っていたら、そこでピタリと入札金額が動かなくなったのだ。

締め切り4分前の段階で 75,000円 のまま。3分前・・・2分前・・・えっ?まだ動かない?そして1分前・・・。オークション終了! 「おめでとうございます!! あなたが落札しました」の表示が現れた!ううむ・・・そうか・・・私はリスクを負ったわけね!商品が届くまでドキドキもんだね!

2013年11月20日9時30分。
オークションで落札したブツを佐川急便が無事に届けてくれた。



仕事でバタバタしていたので午後まで開封はお預けとした。14時になり、ようやく仕事が片付いたので小包を開いた。厳重にプチプチで包まれていた。それを開いて行くと、黒い皮ケースに包まれた本体が出て来た。ところが・・・皮ケースを開こうとしたところ、ジッパーを開く為のつまみが取れていて、ジッパーを開く事が出来ない!おっと〜〜〜!!!で、とりあえずゼムクリップを代用して皮ケースを開いた。ちなみに、この皮ケースにはよく見ると「BRONICA」の文字がうっすらと見えている・・・。事前に分かっていた事なので、まあこれくらいは許してやろうか!



ではいよいよ本体とご対面!おっ!外観は美しい!未使用品ではないが、かなり丁寧な扱いを受けていた美品である!わずかな擦り傷が有る程度。これでちゃんと稼働すれば7.5万円は安い買い物だ!アクセサリーシューも付いている。これまたキレイだ。アクセサリーシューを外そうとしたら・・・あら?構造は簡単そうなのに、外し方が分からない。しばし悩みつつコツを見つけて無事に外せたがね。



その後は、フィルムマガジンを外して本体のバルパスを確認した。まったく損傷が無く美しい!シャッターを切ってみたが問題ない。心地よいシャッター音が響いた。レンズのヘリコイドもスムーズだね。フィルムマガジンの中もとてもキレイだ。よし!ほぼ合格!次は、フィルムを買って実際にテスト撮影してみようっと!

ところで、どこかに日本語のマニュアルは転がっていないかなあ?イマイチ使い方が分からないんだよね!


本日の結論
NOT FOR SALE なのに販売している不思議!

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