自作的測定器

2011年10月29日 バイアス測定器具を製作しました!


これが基本材料です。


「バイキン1号」


先日、禅駆動をお届けしたばかりのアリゾナ州在住ギタリストから、ファーストインプレッションが送られてきました。その文章を読んで大笑いです。その喜び様が手に取る様に分かったからです。以下に転記しましたのでお読みください。特に書き出しが素晴らしいです!

Mr Tanabe-
OH MY GOD!!! WOW!!! Pure guitar tone, tone, tone and more tone!!! It is a pleasure to play thru this beautiful pedal and a true privilege for me to make make this the centerpiece of my guitar rig. This is the BEST pedal I've played and owned in my life. Thank you for such a truly excellent item full of magic and good vibe. May God bless you and bring you much happiness.

Your biggest fan,
Miguel R. Crisantes

さて、このような英文に出会った場合、ほぼ理解は出来たものの念のため翻訳ソフトで日本語にしてみたくなりますね。それではWEBの翻訳ページでやってみましょう。まずはエキサイト翻訳です。

田辺氏-
大変だ!!!まあ!!!
純粋なギター調子、調子、調子およびより多くの調子!!!
この美しいペダルおよび私が形をこれにするべき真実の特権によって遊ぶことができて嬉しい、
私のギター装備の中央の飾り物。
これは私が一生のうちし所有したBESTペダルです。
マジックおよびよい感じでいっぱいのそのような本当に優れたアイテムをありがとう。
祝福がありますように、あなたに多くの幸福を持って来てください。
あなたの最も大ファン、ミゲルR.Crisantes

分からんでも無いが、日本語として不自由な感じは否めませんね。それでは次にグーグル翻訳でやってみましょう。

氏田辺
オーマイゴッド!! WOW!純粋なギタートーン、トーン、トーンとより多くのトーン! それはこの美しいペダルを介して再生する喜びと私のギターリグのこの目玉を作るために私のための真の特権です。これは私が演奏し、私の人生で所有してBESTペダルです。魔法と良い雰囲気の完全なそのような本当に優秀なアイテムいただき、誠にありがとうございます。神はあなたを祝福し、あなたに多くの幸福をもたらす可能性があります。

あなたの最大のファン、
ミゲルR. Crisantes


「氏田辺」ってなんだよ〜?と大笑いしつつも、全体的に眺めてみるとグーグルの方が文章的にスムーズな感じですね。とは言え、どっちもどっちってな感じですかね。

はい。それでは本日の本題に移りましょう。

先日、近所にお住まいで弾駆動ユーザーのギタリスト「海野」さんから問い合わせがありました。「古いFender Twin Reverbが手に入ったのですが、低音弦を弾くと変な共振音が出るのでその原因追及をしてもらえませんか?スピーカーのヘタリのような気がするのですが・・・」というもの。しかもちゃんとお仕事としてお願いしたいとの申し出でした。やったことは無いけれど私も興味津々だったので、探偵みたいな気分で安請け合いしてしまいました。今回は修理ではなく、あくまでも異音の原因追求だけのオーダーですから気は楽ですね。

出かける前に、予測したのは以下の3つの可能性です。

1 スピーカーの取り付けボルトが緩んでいる。
2 真空管がヘタッているか損傷している。
3 回路基板上のハンダに割れが出ている。

私の持っているThe Twin の真空管を全部外して持って行くことにしました。電動ドライバーやハンダ等の工具類も全部持って行きます。さらに、12インチのスピーカーも1個持って行くことに。差し替えてみればスピーカーの異常であるかどうか判断できますからね。

てなことで、10月25日の午後に乗り込みました。その Fender Twin Reverb は1968年製造のビンテージでした。外装はかなり傷ついていました。内部を見るとこれまた年期を感じる風情です。スピーカーは観たことも無い古い感じのスタイルでした。で、海野さんにギターを弾いてもらったところ確かに低音減で変な響きが出ていました。

しかしその音は、基板のハンダ割れのような異音ではありませんでした。スピーカーの取り付けも増し締めしてチェックしてもらいましたので問題無し。とその時、4本あるパワー管6L6のうち1本が白くなっているのを発見。ガラス管にひびが入って空気が入っている様子。いったん電源を落として冷めるのを待ってから6L6を全部抜きました。長年抜き差ししていないので、これが大変!

持ち込んだ6L6を4本刺して再び音を出してみました。幾分良くなりましたでも、まだ低音減の変な響きが出ています。そこでプリ管も取り替えてみました。するとこれが一気に解決!あの変な低音の響きが無くなりました。しっかりハリのあるサウンドが蘇っていました。結論は「真空管全取っ替え」ですね。その後は、ジャックや端子類を接点復活剤で磨いて仕上げておきました。作業時間は2時間。

さて、真空管全取っ替えと結論づけたところで、これから真空管を手に入れても「バイアス調整」が必要となります。ショップに出すとかなりの料金が発生しますし。重い筐体ですから送料だってバカになりません。ここまで面倒を見たのだから「バイアス調整」も私がやるべきですね。ずっと面倒を見たくなるアンプだったんですよ。でもどうやってやればいいんですかね?

自宅に帰って悩んでいたそんな時、いつもの「基板屋のやっさん」から偶然にも電話がかかってきました。悩んでいたときだったので「 Fender Twin Reverb のバイアス調整はどうやるんですか?」と聞いてみました。すると面白い提案がありました。真空管のバイアスを簡単チェックにできる「バイアスキング」なる商品が販売されているのですが、それと全く同じ構造のチェックツールが自力で製作できると言うのです。さらに「その材料を複数手に入れたばかりなのでプレゼントします!自分でハンダ作業をして組んでくださいね!」

おおお〜〜〜なんと言うタイミング!ということで、10月28日お昼にその材料が届きました。その品はソケット2個と、1w10Ωの抵抗1本です。他に必要なものは、内部配線用のワイヤ8本と、測定用の端子を出す為のステレオワイヤ1本です。ちなみに、これから作るものは「バイアスキング」の亜流ですので略して「バイキン1号」と名付けました。これは「基板屋のやっさん」が名付け親です。



まずはオス側の側面に開けた穴にワイヤを通して10Ω抵抗をハンダづけします。ここまでは簡単ですね。


次にオス側の内部端子に配線材をハンダづけします。上で取り付けた抵抗は配線のマイナス側を8番ピンにハンダづけ。抵抗から外部に出したケーブルが外れない様に、ホットボンドを流し込んで留めます。この時にホットボンドの量が多すぎると、メス側がハマらなくなりますので気をつけましょう。


この後は、メス側のそれぞれ対応した端子に各配線材をハンダづけします。ハンダが終わったらすぐに各端子の導通を確認します。OKであればメス側をオス側に入れてピッタリしまるまで差し込みます。差し込みが完了した状態で再度導通確認。今回はこのときに抵抗のリードが切れてしまいました。再度ハンダづけし直しです。

組み立てた状態で導通が確認できたらメス側にホットボンドを塗って、素早くオス側に差し込みしばらく手で押さえます。ホットボンドが固まるまで待ちます。びくともしない様に固まったら次の作業に入ります。外に出したワイヤに測定用の端子を取り付けます。以下の画像が端子を取り付けたものです。これで基本的な作業は完了しました。



最終的には、この「バイキン1号」へテスターを繋げば装備完了です。では繋いでみましょう。10Ωの表示が出ていますので、正常に測定してますね。


実際にアンプに真空管を取り付けて計測する場合は、このソケットに真空管を刺してアンプに取り付け、電源を入れてから端子間のカソード電圧を計ります。この「バイキン1号」で計測できる真空管は、6V6GT、6L6GC、5881、EL34、6550、KT88 等です。


基本的な測定値は以下の通りです。
   カソード電圧  電流
 6V6GT  0.3V  30mA
 6L6GC  0.45V  45mA
 EL34  0.5V  50mA
 KT88  0.7V  70mA
 *カソード抵抗 10Ω時の測定値


本物の「バイアスキング」は、24,000円ほどしますが、この作り方ですとテスターまで入れて材料費は3,000円で作れます。ハンダ作業に自信がある方は、ご自分で作るのも面白いかと。ということで「海野」さん、これでいつでもバイアス計りに行けますよ!

ご丁寧に材料までご提供いただいた「基板屋のやっさん」様ありがとうございました!貴重な経験が出来ました!


本日の結論
簡単に見えて、実は作業にコツがいるんですよ!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



GO TO HOME PAGE