増幅的元帥届

2011年10月16日 今度は Marshall が届きました!


Marshall Lead12  出力6W


「不幸なギターアンプが有ったら」


今日は暑かったですね!久々に半袖Tシャツに短パンで過ごしています。そんな天気に恵まれた本日、又してもギターアンプが届けられました。先日私が、VHT Special6 が気になると書いた際に、もうお1人「しばらく使わないうちに音が出なくなった6wのMarshall アンプが1台ありますが、この先使うことも無いので、修理できるのであれば差し上げますよ。よろしければご自宅までお持ちします」と連絡があったのです。

その方は大森でバイク販売店を経営されているアンクル山田さまです。数年前に顔合わせしたことがありました。私と同じ昭和27年生まれ。息子さんが使われていたアンプだそうです。このアンプは私も以前持っていたのですが、1年ほど前に譲渡していました。ということで内部構造も理解しているので、喜んでお引き受けすることにいたしました。修理が終わって無事に作動したら、私が使わなくても、いずれどこかへ寄贈することが出来ますしね。ただ眠らせておくのはもったいないです!

さて、音が出ない症状について受け取る前から予測していました。Marshall Lead12 はソリッドステートアンプですから、回路自体が自然に破壊されることは可能性としてとても少ないですね。そうなると、ヒューズが切れている可能性あり。しかし6Wのソリッドステートアンプで、それほどの過電流が流れることも想像しがたいし・・・。まさか、スピーカーが死んでいるとか?

長期間使っていなかったそうなので、原因として一番臭いのは入出力のジャックが接点不良を起こしている可能性ですね。その次に考えられるのは、やはり長期間放置していた場合のコントロールポットの内部接点が腐食している場合の接点不良です。いわゆるバリの状態ですね。

10月16日13時、アンクル山田様が当家へ到着されました。お元気で何よりです。すぐに当家へ Marshall Lead12運び込み、窓から吹き込む風に身を委ねつつ、1時間ほどあれこれ世間話を。アンクル山田さまも、日々tanabe.tv にアクセスされていますので、数年会わなかったブランクは全く無しでした。てなことで、アンクル山田さまがお帰りになった後、さっそく不良か所チェックに入りました。

まずは、ヒューズが切れていないか電源を入れてみました。問題なくパイロットランプが点灯!これで電源部は大丈夫ですね。次にスピーカーのチェック。スピーカーケーブルプラグの導通を計ってみると問題無し。これでスピーカーも生きています。念のために VHT Special6 に繋いで音出しすると、やはり真っ当な音が出ています。

では次に、ヘッドのチェックを。まず、入出力端子の接点を磨きましょう。接点復活剤を吹き付けたプラグを突っ込んでグリグリ回転させた後に数回出し入れしました。通常であれば、この程度やればOKのはず。では、ギターを繋いで、音が出るか確認してみましょう。

はい!見事に音が出ませんでした。では、コントロールをいじってみましょう。VOLUME を回しても反応無し。GAIN を回すと、バリバリと音が聴こえてきました。なるほど、やはりコントロールポットの接点不良が臭いですね。次にTREBLE を回してみると、さらにひどいバリバリが聴こえてきました。MID、BASS もそれぞれかなりひどいバリが聴こえてきます。なるほど!そういうことですか!


コントロール部に使ってある5つのポット全部がかなりひどい接触不良のバリ状態であると。それが原因で、スムーズに音が出る位置が見つからないと言うことですね。わかりました!それではさっそく対処を始めましょう!ヘッドキャビからシャーシを抜き出しました。回路全体を見回すと、基板には焼けこげたか所も見当たらず問題なさそうです。


では、5つのコントロールポットに絞って対策を始めます。各ポットの上面にある切れ目から、接点復活剤を吹き込んでコントロールノブをグリグリ回します。この時、ギターは繋ぎっぱなしで音も小さく出し続けています。まず GAIN から。ううむ・・・バリバリといつまでも続きますね・・・。かなり長期間放置されていたんですね。ひたすらグリグリを繰り返します。やがてバリ感が減ってきました。そこで再度接点復活剤を吹き込んでグリグリを続行!すると、見事にバリが消えてくれました。

どの程度のダメージか予測がつきましたので、他のポットも順次、接点復活剤を吹き込みつつグリグリ作戦です。これが結構時間がかかる作業となりました。ある程度終わった時点で、まともに音出ししてみましたが、それでもまだ HIGH の出方が強すぎて変です。もう一度 TREBLE をチェックすると、やはりバリが全体的に残っています。ううむ・・・しつこいですなあ。となれば、こちらもしつこく作業するしかありません。もう一度接点復活剤を吹き込んでグリグリ・・・グリグリ・・・グリグリ・・・としばらく繰り返していましたら、ある瞬間にスッとバリ音が消えてくれました!これでOK!

改めて音出しすると、ようやく真っ当な Marshall Lead12 のサウンドが出てきました。では、元通りにヘッドキャビへシャーシを戻しましょう。組み上げて再度サウンドチェック!各コントロールノブは問題なくスムーズに作動します。音の出方も問題無し。はい!これで、修理作業は完了で〜す!


このような状態で「故障して音が出ない!」と放置されているアンプは、アマチュアギタリストの押し入れの中に沢山あるんでしょうね。もしあなたのお手元にそんな不幸なギターアンプが有ったら、諦めずに一度「接点復活剤」を使ってしつこくグリグリしてみてください。たぶんそれで使える様になる可能性は大きいですよ。

ちなみに、アンクル山田さまのご好意により、このアンプはいずれどこかへ寄贈することにいたしました。東北の被災地で機材が流された中学校のバンドあたりにお渡しするのが適切でしょうかね。修理して使えるものは、捨てずに再利用しましょうね!


本日の結論
意外に簡単な作業結果となり、いささか物足りない感じがしますなあ。

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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