破壊的真空管


2010年12月26日 おっ?こいつか?


「自分だけの至福の時間」

ジャンクの「Fender The Twin Red Knob」について、調査及び修理開始のご報告である!

修理するにはまず、どこがジャンクなのか?を見つけ出さなくてはならないのはご存知の通り。

スピーカー以外に判明していたダメージは、リバーブのポットだった。触れるとグルグル回ってしまって、明らかに壊れているのがわかる。交換しなければならないな。では、このポットの定数はいくつなのだ?と回路図を眺めてみた。そこには「100KL」と表記されている。これは、いつも使っている表記で言えば「100KのBカーブ」ということになる。ペダル用に「100KB」を大量所有しているのだが、ノブを外してみたところ、シャフトの形状が手持ちの物と違って「D型シャフト」だった。残念だが、ご新規購入するしかないな。



そして、初日のチェックで真空管は7本全部が点灯していたので問題ないと思っていたのだが、昨日の朝、回路図をジックリ見ているうちに「あら?このアンプには真空管が11個も使ってあるではないか!」と気付いたのだった。先日チェックしたのは裏面からすぐに見える7本だけだったのだ。

私はその7本の通電だけでチェックが終わったつもりでいた。いかんいかん!やはり回路図は必要だね!すぐにアンプの下側から潜り込んで内部を眺めてみると、アルミカバーで保護された4本の真空管が見えた。カバーを外してみた。すると!4本のうち1本が素人目にもすぐに分かるほど「おまえはすでに死んでいる!」状態に陥っていたのである!


空気が入り白くなっていたその真空管を抜き出そうと、手でユルリと力を加えたところ、ぽろりとガラス部分が割れて落ちて来た!あららら〜〜〜!!!こりゃいかん!アンプに残されたヒーターと足の部分もニッパでソロリと抜き出しでみた。これでは役に立たないのは当たり前だね。型番は「GT-7025」と書いてあった。調査したところ、「GT-7025」はすでに廃盤となっていた。ちなみに「GT-12AX7」の軍用高精度品に当たる型番のようだ。つまり「12AX7」であれば、差し替えられるということなんだね。



幸い「12AX7」は以前いただいた物が何本か引き出しに入っているはずなので、その中から適当な物を差し替えてチェックしてみよう!ゴソゴソと捜索したところまず「TUNG-SOL 12AX7」が2本見つかった。とりあえずぶっ壊れてしまった「GT-7025」の代わりにこいつで試してみよう!



ちなみに、同列にある残りの3本も抜き出してみると・・・あら?あららら???全部品番がバラバラぢゃん!
「Marshall LVE-00041」「Marshall-ECC 83」「通測用 P3」とそれぞれ表記してあるのだが、これってどうしたら良いのだ?「Marshall-ECC 83」であれば「12AX7」に差し替え可能なので問題ないのだが・・・。たぶんこれらは全部「12AX7」に換装してかまわないのだろうな・・・。しかしまあ、この不揃い具合は不格好だなあ・・・。手持ちに同じメーカーの「12AX7」は4本も揃っていないので、いずれどこかで手配して換装しなくてはならないな。



では、いよいよ「12AX7」を差し替え通電して確認してみよう!このアンプは出力が25wと100wへ切り替え出来る。まずは、25wで試す。スピーカーは、外部の小さなキャビを使ってみる。スイッチを入れると、真空管は全部問題なく灯が入った。しばし待ったのち、スタンバイスイッチをONにすると・・・バズッ!とかなり大きめのノイズが聞こえた。イカン!だが、その後にノイズは続かなかった。

ではギターをチャンネル1に繋いで弾いてみる。ボリュームを上げて行くと・・・ん?なんだか小さな音が聞こえ始めたぞ!フエンダーっぽいサウンド・・・だが・・・ボリュームを10にしても数w程度の音量しか出てこない。これって・・・どういうこと?とりあえず音が出るのだからアウトプット・トランスは大丈夫ってことか?

次に、チャンネル2にギターを突っ込んだ。こちらはGAIN付きのチャンネルなので、GAINをかなり上げてみたが、やはり数w程度の音量しか出てこない。では、出力を100wに切り替えてみよう。ん?やはりフルボリュームでも数w程度の音量にしかならない。GAINコントロールもちゃんと利いているので、回路基板上の問題は無いと思われるが・・・。これって、増幅回路上の問題か?それとも増幅管の問題か?一度、増幅管4本をすべて取り替えないとここから先には進めそうにないな・・・。

そういやあ、もうひとつ気になる部分がこのアンプにはある。自力で「バイアス調整」ができるよう、裏面にアジャスタが設置してあるのだ。しかも、その部分にはちゃんと「バイアス調整」方法が書かれている。これならやってみるべきだね。それでは・・・調整開始!



まず、BIASをテスターで計りながらアジャストして行く。0.04vにすればよいのだが・・・初期値は0.01vになっていたので右にゆっくり回した。あら?なんだこれ?目一杯右に回しても0.03vまでしか上がらない。なにこれ?ではBALANCEも調整してみよう。こちらはあっさり0vにセットできたぞ!これで音を出してみたが、やはり小さな音しか出なかった・・・。やはり出力管がダメってこと?

いま出来ることはここまでだね。次は、新しい出力管が4本手に入ってから続きをやることにしよう。こうやって一カ所ごとに気になる部分を調整して行けば、そのうち真っ当なサウンドが出るようになるだろう。そう信じてやるしかないのだがね。自力でなんとかしようとドタバタしながら時が過ぎるのは楽しいものだ。上出来のミステリーを読み進むような快感があるね。これは自分だけの至福の時間なのだ。

そういやあ、ネットでこのアンプのリバーブ用ポット「D型シャフトの100kB」を探したんだけど見つからなかったんだよ。当然インチサイズの長いシャフトだけど。どなたか販売しているショップを教えて頂けないだろうか?




本日の結論
この先、あんまり早く解決しても面白くないか?

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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