貢物的記念日


2010年12月21日 結婚記念日に届けられた貢ぎ物は!


「このまま放置は出来ないなあ」

12月21日は、私たち夫婦の結婚記念日だ。早くも35回目の記念日となったなあ。かといってな〜んにもイベントは無いし、近所のレストランで飯でも食うか・・・程度のアイディアしか湧かない私だ。朝起きてすぐに妻へ「今日は結婚記念日だね」と声をかけたところ「あら?そうだったわね!」と返って来た。この歳になると、妻さえ結婚記念日を忘れてしまうようになっちまうよね・・・。

なんてな、どうって事ない日が突然とんでもないことになっちまったのだ!午後14時になり、大型貢ぎ物の搬入が突如行われたのである!その貢ぎ物とは?

そもそもの始まりは、12月12日に私が書いた「物欲的重増幅」である。ここで私は「Fender The Twin Red Knob」が気になると、安けりゃ手に入れたいと「どこかに安く転がってねえのか?」と書き連ねたのであった。eBayで調査し、良さそうな物件を見つけたが、重すぎるために送料もバカにならないと判断し諦めた。ヤフオクでも出品されていたが「電源は入るが音は出ない」ジャンクものだった。その他にも、多くの登録会員や、禅駆動、弾駆動ユーザー達から「ここに売ってるぞ!」とか「この練習スタジオに置いてあるぞ!」などの情報が送られて来た。

しかし、真っ当な物はやはりある程度の価格であり、今の私にはちょっと手を出し辛い。かといって貸しスタジオに試奏に行くのもなんだかかったるいし・・・。そんな中、私が使う基板を作って頂いているアルニックの野村社長から「今、ヤフオクに出ているジャンクの赤ノブに入札しますか?」と電話が掛かって来た。野村社長も「安けりゃ落札してレストアしたいんですがね。でも、田辺さんと入札合戦になるのは避けたいので・・・」そうでしたか。最終的には私のIDが入札者の中に出現したら、野村社長は手を退くとのお話だったのだが。

その時点で私は1万円以内なら落札しても面白そうだな。レストアに失敗してもあきらめがつく金額だし。なんて思っていたのだがね。さらに私が考えていたのは、もし手に入ったら、思い切ってキャビをぶった切り、アンプヘッド仕様にリビルドしようとも企んでいたのだ。何せ重すぎるコンボアンプなのだ。ヘッドだけにすれば25kg程度にはなるはずだからね。そしてスピーカーを取り出して、単体のスピーカーキャビを作ってみようかとも企んでいたのである。しかし!ある時点で入札価格は2万円を越していた。もう私が手を出す物件ではないと判断し深追いするのはヤメにしたが・・・。

やがて、ヤフオクの「ジャンク赤ノブ」はオークション終了の時が来た。気になっていたので、結果を観に行くと・・・あららら〜〜〜!!!なんと落札価格は「42,500円」にまで高騰していた。eBayだとその価格にちょっと足せば、ちゃんと稼働する「赤ノブ」が買えるのだが・・・。なんてな他人の懐具合を心配をしつつ。無事にレストアされて活用されることを祈る私であった。

そして!ヤフオク騒ぎが落ち着いた翌日のこと、突然 tanabe.tv の啓示倉庫に書き込まれた一文を見つけた。

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初めまして
田辺さんのブログを見て、その後ヤフオクを検索していたら、
レッドノブのジャンク品が出ていて、
ひやかし半分で入札してたら落札してしまいました。
田辺さんが直ぐに直せるようなら使って欲しいです。
まだ、出品者と連絡も取れてない段階ですが、
僕の所に届いたら車で田辺さんの所まで運ぶことは、全然オッケーです。

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これはどういうことだ?何を言っているのだ? 理解するのがいささか難しい文脈である。あの「ジャンク赤ノブ」を落札されたご本人であるということかい?しかもひやかし半分で入札って・・・。さらに書き込みは翌日も続いた。

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私が入札した時点で最高額だった方を500円だけ
追い越して、残り時間もだいぶあったので、(二時間以上)
他の方が落札するもんと思ってワイン飲んで寝ていましたら
自分が落札してて少しびっくりしました。
田辺さん一度みていただけますか?
直れば田辺さんに活用していただく、
駄目なら僕の家のインテリアにします。

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ヒヤカシで入札してみたら「読み不足で落札」してしまったということかい?そして、私に貢ぎ物として届けたいということ?それは有り難いお申し出だが・・・なんだか複雑な感情が湧いている私だ。この方は51歳のおじさんだとメールのやり取りで判明した。と言っても、私より若いのだが。4年ほど前からtanabe.tv にアクセスされているという。ということは、私が鬱病に陥り休職を経て「楽屋1号」を作り始め、やがて「禅駆動」「弾駆動」へと進化し、それが海外にまで広がる様をリアルタイムで観察し続けておられた方なのだな。これ以降はS氏と呼ぶことにしよう。

ということで、当方の事情を良くご存知のS氏だと確認できたので、当家の住所をお知らせし、本日12月21日14時に当家へと「ジャンク赤ノブ」搬入スケジュールを組んだのであった。町田市在住の人物なので、車で動けば1時間程度でたどり着ける距離である。やがてその時が来た。

実は当家のマンションは、重量物搬入にとても不向きなのだ。当家は9階だが、エレベータは7階までしか使えない。7階から9階までは自力で階段を昇らなければならないのだ。今回の「赤ノブ」は40kg近いと聞く。かなりの覚悟をしなければならない。現物を積んだ車が、当家へやって来たのはちょうど14時だった。私は迎えに出た。S氏は車から梱包された「ジャンク赤ノブ」を下し、当家へと運び込まれた。当然私も力を貸して、階段を二人でズンズン上がるのである。一人で持つにはいささか重すぎるなあ。

私の部屋に運び込んでから改めてご挨拶だ。そしてお土産として「辛子明太子」をいただいた。やまやの名品である。S氏は福岡出身なのだそうだ。さらに、ブランデー入りおせんべいというのもいただいたが、食べてびっくり!数個食べると下戸にはかなりキクのだ。


挨拶も終わったところで、さっそく「Fender The Twin Red Knob」がどの程度のジャンクであるかチェックだ!まず電源を入れてみた。裏面を観ると真空管はすべて点灯していた。電源部には問題ないようだね。ギターを繋いでみたが、ウンすんスンとも言わない。まず、スピーカーアウトのジャックを掃除してみよう。だが、これまた何にも反応がない。インプット側も接点復活材を使って掃除してみた。やはり何も音が出てこない。まあ、これは予想された事だがね。この程度で治るようではジャンクとは言わないし。


そもそもこのスピーカーは生きているのか?それをチェックしなければ!スピーカーの抵抗値を計ってみた。ところが、テスターは無反応である。うそ〜っ!もうひとつのスピーカーもチェックするとこれまた無反応。いやいや!参った。スピーカーが両方死んでるってか!これで単体スピーカーキャブ構想は早くも頓挫してしまった。

小さなスピーカーを繋いで、再度チェックしたところ、電源を入れるとブツブツとノイズが聞こえて来た。ギターの音は全く出てこない。ある程度時間が経つと、そのノイズも聞こえなくなった。コンデンサあたりが経年変化でヘタっているのだろうか?いずれにせよ、このまま放置は出来ないなあ。

そうなると、スピーカーは廃棄して、この次はヘッドとして復活させるための戦いを挑まなければならない。この筐体をぶった切るのか?それとも新しくヘッドキャビを用意するのか?トーレックスも派手な色に張り替えるか?もちろんさびた金属パーツは総とっかえとなるはず。色々悩むべきことは沢山ありそうだな。年が明けたら少しずつ手を付けて、1年がかりでレストアできるか?もちろん私だけでは出来ないだろうから、野村社長にもお知恵を拝借することにしよう。そう言えば、トワグロさんもアンプ修理の達人だったはず!いざとなったら泣きつくか?



この先どうなるのかは、全く未知である。そして無知である。これは来年たっぷりと苦しみなさいというS氏からの挑戦でもあるのだろうな。「でも・・・なぜワザワザ落札してまで当家に届けられたのか?」この疑問が私の中で最後まで残ったが・・・S氏が当家から帰られる際に発した言葉がその回答に聞こえ実に興味深かった。

「田辺さんに会いたかったんですよ。そのための理由を見つけたかったのかもしれませんね」

S氏に感謝!
これから先どう進んで行くのかは、随時進展があるたびに tanabe.tv でお知らせするのでお待ちいただきたい。


本日の結論
長い戦いの始まりである!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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