組立的音感想

2010年11月08日 組んでみたところ!


「Umble」

10月29日に書いた「深夜的目撃者」のご本人であるM谷氏は、その後「弾駆動」の引き取りのため11月06日に当家に来られた。M谷氏に確認したところ、先日の深夜の遭遇は彼にとって「手元のiPhoneで見ている人物が、なんと本当に目の前に存在している!」と、その光景はとてつもない驚愕だったようだ。声をかけてもらえればよかったのだが、ご本人にしてみれば、あまりの驚きにそれも出来なかったという。

じっくり話してみると、音楽の造詣が深いM谷氏であった。もちろん「弾駆動」も試奏して頂いて大いに気に入ってもらえたようだ。「弾禅駆動 TWIN CUSTOM」や「燦駆動」も試奏してもらったところ、これまた気に入ってもらえた。さらに「GAKUYA 1号」も気に入ったと「欲しい欲しい!光線」が眼から飛び出していた。いきなりアレもコレもオーダーというのも無茶なので、とりあえずまずは「弾駆動」を充分に弾きこんでから改めてにした方がよろしかろうとお話しして当日は終わりとした。ちなみに4時間半も話しは続いていたのだ。M谷氏には私が所有しているギターもあれこれ弾いてもらったぞ。

M谷氏に貢ぎ物もたくさんいただいたが、その内容はここには書けないのでご容赦いただきたい。
M谷さま!ごちそうさま!

さて、本日の本来のネタに移ろうか。

数ヶ月前から気になっていたのだが、アメリカのWEBで通販しているギターペダルのキットがある。かなりの種類を販売しているのだが、その中に「Umble 」という名のオーバードライブがあった。その名の通り「Dumble」をイメージしたサウンドのようだった。果たしてその実力はどのようなものか?気になってしまって「買おうか?買うまいか?」としばらく考え続けていたのだが・・・。

9月末になりそのWEBにアクセスしたところ、セール中であった。10%OFFだと書いてある。日本円にしてそのキットは約6000円だった。それに送料が1000円程度。これならお試しとして買ってもいいんじゃないか?と。しかも9月30日でセールが終わると書いてあったので、あわてて1セットを注文してみた。アメリカからの小物は1週間程度で届くはずなので、そのつもりでいたら見事に届かなかった。

そこで、ショップに問い合わせをしたところ「ごめんごめん!セールでオーダーが殺到してしまって対応が追いつかなかったんだ!1週間以内に出荷するからもうちょっと待っていて!」と返事があった。そしてそれから待つこと2週間。ようやく「Unble」のキットが手元に届いた。時間かかり過ぎだって〜の!

で、パッケージを開けて中身を確認したところ、ある程度予測はしていたのだが、どうもアルミケースの仕上げがガサツなのだ。モチベーションがいささかダウンしてしまった。本来であればすぐにでも組んでいたのだろうが、全くその気になれず放置。そのうち、例の「BAD Co.騒ぎ」になり、オーダーも立て続いたことでさらに「Unble」のキットから意識が離れてしまったのだった。

11月6日まではオーダーがあったものを作り続けていた私だった。そして7日の朝になり、突然何も作るものが無くなってしまった。午前中はのんびりしていたのだが、昼になりどうも落ち着かなくなってしまった。何となくそわそわイライラし始めている自分に気づいたのだ。「仕事依存症」か?それとも「ハンダ症候群」か?その時「そうだそうだ!Umbleがあるぢゃないか!」と思い出した。

それに気づけば本日は1日つぶせるではないか!と、しまっておいた「Unble」のキットを引っ張り出して、ジックリ作戦を練る事にした。アルミケースは必要な穴だけは開けた無愛想なものだ。表面は全くの未加工なので、かなり汚い上にデコボコまであった。まずはこれをフラットにしなければ先に進めない。金属用の平ヤスリをTOP面にスリスリして、なんとか平面を取り戻した。

次に、無愛想な未加工ケースでは話しにならないので、TOP面のデザインから取りかかることにした。そのネーミングから分かるようにDUMBLEを意識しているのだからデザインもそれに習うことにしよう!あれこれ試作デザインを作ったのだが、最終的に Henry Kaiser が所有している Dumble のカラーを採用した。出来上がったのが以下のTOPデザインである。今回はtanabe.tvの文字やUmbleの文字はあえて入れないことにした。


いつものごとく、このデザインをフィルムに出力してさらに保護シートでカバーした。これをアルミケースに貼り込んで、パーツ取り付けの穴をカッターで切り出す。まずはボリュームポットを取り付けよう!ところが・・・ところが・・・!5つあるポット取り付けの穴がすべてポットのシャフトよりかなり大きいのだ!つまり、慎重に取り付けないとノブの位置がずれてしまうということになる。それでは格好悪い!この辺りの気使いの無さがガサツな国民性なのだろうな。しかも!ボリュームポットを取り付け始めてから気づいたことがもうひとつ!なんと!必要な定数のポットが足りなかったのだ!というより間違えて入っていたのだ!

A100kΩのはずがB250kΩが入っていた。なんだよこれ?これでクレームを付けてもまた3週間待たされるってか?ええい面倒だ!このまま作っちまえ!この違いはなんとかしよう!次に気づいたのはLEDの取り付け穴。これは逆に小さいのだ。入りゃしない!ということで、少しドリルで修正を施した。

次はいよいよ基板の作成だ。基板自体はちゃんとプリント基板で出来ているので安心だ。と思っていたらここにも盲点が!説明書は添付されていないのだが、購入した時点で、詳しい製作手順を示したWEBがあるのでそこを参考にするようにと指示があった。覗いてみると、そこに表示されている基板と、私の手元にある基板はレイアウトが違うのだ。メーカー側の言い分としては「改善しているので変更している場合がある」と書かれていたのだ。かなり経験したユーザーであれば対応できるが、全くの初心者はこの時点で呆然とすることになるなあ。省かれているパーツもあり、全く不親切な説明書である!しかも基板には無駄な穴がたくさん開けてあり、初心者はその意味が分からず混乱すること請け合いである。

さらに困ったことが起こった!1本1本抵抗の定数を計りながら取り付けて行ったのだが、 キット内の抵抗の数が必要数よりやたらに多いのだ。10本ほど多めに入っていた。これは「この抵抗は必要なのか?必要ないのか?」と混乱の元となる。初心者はワケが分からんだろうな!この辺りにもガサツな国民性が現れているなあ。

なんてな壁を乗り越えつつ、5時間ほどで組み上げることが出来た。すぐに試奏開始!ところがここで又しても壁が!音がまともに出ないのだ。ファズの電流不足のような音しか出ない。思いっきり強く弾くとバリバリしたサウンドが出るが、弱く弾くと全く音にならない。自信を持って組み上げたのだから、回路は間違いないはずだ。そこで念のために再度ハンダ部分を溶かし直してみた。結果は同じ。ううう・・・。

そこではたと気づいた。基板内に取り付けたトリマーが4つあるのだが、その位置をすべてセンターにしておいたのだ。これを細かく調整しないとサウンドにならないのでは?やってみた。ふむふむ徐々にサウンドが出始めた。すべてのトリマーを細かく調整して一番スムーズに音が出る状態を探した。10分後、なんとか真っ当なサウンドが出るようになった。はあ・・・。疲れた!

それでは、正式に再度サウンドチェックをしよう!で、やってみたところ「なんぢゃこりゃ!」という感想になったのだ。はっきり言って、私はこのサウンドはボツである!とても使う気にならない。歪みのツブダチも実にガサツ!ちっとも心地よくない。しばらく弾き続けてみたのだが、やはりダメだった。そこで「禅駆動」とどう違うのだ?と弾き比べてみたところ・・・。ううう・・・私は「禅駆動」を基準にしてサウンドの判断をしていたと気づいたのだった。


自分がとても気に入っている「禅駆動」サウンドとかけ離れたサウンドの「Umble」なのだ。私が気に入るはず無いではないか!まあ、そんなこんなでなんとかドタバタしながらも1日をつぶせた私であったぞ。とは言え「Umble」サウンドが好きな方もおられるだろうから、ここに書いた感想は、あくまでも私にとってどうだったのかを表したのものであることを書き加えておく。

それに、私自身にもひとつ発見があった。かつて「禅駆動」サウンドに関して Howard Leese が「クリ〜ミ〜!」と表現してくれた。それが「Umble」と比較することで自分でもしっかりと体感できたのだ。これは嬉しい誤算であったなあ!


本日の結論
初心者は手を出さないように!作りにくい上に途中でわけが分からなくなる可能性あり!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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